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第30話 何で知ってんの!?
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「アーシャ! 久しぶりだね」
「そうね……お父さん……」
どこか恥ずかしげなアーシャの肩を、父親は朗らかに叩く。
「なかなか帰ってきてくれないから、心配していたんだよ。それでこっちの人は……あっ! 結婚の報告だね。そうか……少し寂しいけれど、お父さんは応援するよ」
娘をよろしくと手を握られたカケルは、混乱と戸惑いを隠せない。
「ち、違います。そんなつもりはないです!」
「……へえ。そんなつもりはないんだ。そうなんだ」
「い、いや、男として責任は……じゃなくて、何か目的があるんだろ!」
大慌てで父親から離れたカケルを、しばらくジト目で見ていたが、アーシャはやがて「はあ」とため息をついて本題を切り出した。
「いきなりだけど、お父さんにお願いがあるの」
「わかってるよ。これのことだろう?」
父親が懐から取り出したのは、アーシャとカケルで完成させた民主化の顛末を描いた絵本だった。それ以外にも、アーシャの絵本はすべて持っていた。
「お父さん、これ……」
「王都に住んでる知り合いが教えてくれたんだ。最近は本も安くなっていて、私でもなんとか買えたよ」
アーシャの瞳が潤みだす。表面上は父親を嫌ってはいたが、根っこの部分ではずっと大切に思っていたのだろう。
そのうちに声を聞きつけた母親も加わり、ひとしきり再会を喜ぶ。
「ねえ、お父さん。さっきわかってるって言ってたけど……」
「ああ、そうだったね。王都から選挙の説明をしに文官が来てたんだ。民主化すると不便になるとね」
「なっ……! 明らかな不正じゃないの!」
憤るアーシャの肩に、父親が優しく手を置いた。
「心配はいらないよ。きちんと説明し直しておいた。このあたりの住民は、全員がリア様に投票すると言ってくれたよ」
「それにお父さんの呼びかけで、リア様の応援を決めた貴族もいるのよ。難色を示す人もいたけれど、昔、お世話になったからと決意してくれたの」
アーシャの母親が、嬉しそうに夫の腕を取る。
「人望があるんですね」
カケルが言うと、アーシャの母親は「ええ」と満面の笑みを返した。
「貴族としての野心も頭脳も武力もないけれど、優しさと人望はあるの。それだけあれば夫して合格よ。だから私は結婚した。でも……アーシャには苦労をかけてしまったわね」
「そうだな……私は貴族らしい生活でなくとも、家族がいれば満足だった。むしろ貴族としての義務が足枷になっていたから、喜んで財産を分け与えていたんだが……」
ガックリと肩を落とす父親。次いで謝罪をしそうになったところで、アーシャは慌てて押し留めた。
「謝らないで! アタシはただ……」
「ただ……?」
「……許せなかったの。大切なお父さんが自分を犠牲にして助けたのに、いざ逆の立場になったらあっさり見捨てた人たちが。でもお父さんはアタシが文句を言うと、そんなことを言ったら駄目だって……」
「そうか……まあ、お父さんも身勝手だったからな。そういうところは、やっぱり貴族だったのかもしれないね」
家族で抱き合う三人を見守りながら、カケルはふと都会でエリートだったサラリーマンが定年後に田舎に移り住んで、家族とギクシャクするテレビ番組を思い出した。
(そういやテレビなんて、もうずっと見てないな……)
「また何か考え事?」
「うわっ!?」
気付いたら、目の前にアーシャの顔があった。心配そうで、それでいて不満そうだ。
「はっはっは。ウチの娘は意外と寂しがり屋だからね。苦労すると思うけど、よろしく頼むよ。ええと……」
「カケルです。自己紹介がまだでした。すみません」
「良い名前ね。アーシャといつまでも仲良くね」
「はい……って、なんだか結婚の挨拶みたいになってる気が……」
「不服なの?」
「いえ、そんなことないです……」
ぎょろりと愛すべき女商人に睨まれれば、カケルはもう何も言えなかった。
※
「それで半ば結納みたいな挨拶をしてきたのでありますか。どうにもカケル殿は優柔不断でありますね」
連れ立って王都を歩くセベカにため息交じりに言われ、何故かカケルは小さくなる。
ちなみにアーシャはこの場にいない。
昨日、王都へ戻ってくるなり、彼女の父親から頼まれたという貴族が投票だけでなく、リア陣営に加わる決断までしてくれ、今は王城でサグヴェンス家の当主を中心に対策会議を行っている最中だ。
カケルも参加予定だったが、根を詰めすぎてもいけないと、気分転換がてらに外へ連れ出されたのである。
昼が近くなった王都は、いつもより多くの人で賑わっている。話題の中心は大統領選挙の行方だ。一般国民の人気は圧倒的にリアだが、貴族人気はいまだゴフルが上回っている。
「自分に有力者とのコネがあればいいのでありますが……」
両手で抱える紙袋に、セベカが視線を落とす。詰め込まれている林檎に映った表情は、とても悔しそうだった。
「適材適所って言葉がある。セベカにはリアを支える役目があるじゃないか」
「……まさかカケル殿に慰められるとは思わなかったであります。これも男として余裕が出てきたからでありますか?」
「え? そ、そんなことは……ない、と思うぞ」
気まずくなって視線をあちこちに彷徨わせると、宿から出てきた男女を発見した。
「子爵様はどちらに投票なさるのかしら」
「何だ、君も興味があるのか」
「ええ。娘がリア様を応援していますの」
「ほう。若い人間はやはり民主化とやらに心を惹かれるのか」
意味ありげに微笑んだあと、女は男の耳に口を寄せる。
「……何? レアード男爵も? うむむ。情勢が読めなくなってきてるな」
難しい顔でなおも一言二言交わしたあと、宿の前で男女は別れた。
「……母上」
「えっ!? 前に話してくれた……」
「そうであります」
頷いたセベカはとても複雑そうだ。嫌っていた母親が、リアの当選のために骨を折っている場面を目撃したのだから当然だった。
「行ってこいよ」
「……何を話すのでありますか? それにリア様が待って――カケル殿!?」
ズルズルと引き摺るように、カケルは腕を掴んだセベカを母親の前へ連行する。
「俺は……もう両親と会えない。喧嘩することもできない。なあ、セベカ。今の当たり前ってさ、きっと当たり前なんかじゃないんだよ」
「……難しい謎かけでありますね」
セベカの身体から力が抜けた。諦観の溜息をついたあと、彼女は小脇に紙袋を抱えて、両手で自らの頬をパンと叩いた。
「……セベカ」
娘に気づいた母親が表情を硬くする。
「久しぶりであります」
「……念願の侍女になれたそうね」
「……それも、その……母上が……自分に勉強をさせてくれたからであります」
途中途中で詰まりながらもセベカが言い終わるなり、母親は感極まったように娘へ抱き着いた。濃いめの化粧が施された頬に、一筋の涙が零れる。
「こんなところで……」
「いいじゃない。久しぶりに会えたんだもの……」
その言葉は、セベカに避けられていた母親が、会いたくても会えなかったと告白しているみたいだった。
「……そのうち、時間があれば、家にも帰る……かもしれないであります」
「無理しなくていいのよ。セベカはリア様の侍女だもの。母親がこんな女だと知られたら、女王様にまで悪い噂がたってしまうわ」
感動的な母娘の抱擁に水を差すつもりはなかったが、ついうっかりとカケルは口を滑らせてしまう。
「大丈夫ですよ。民主国家になれば、職業に貴賎はなくなります。表面上は」
「えっ? あっ、そうですね……ええと、セベカ。この方は……」
胡乱気にカケルを見ていた母親が、まさかとばかりに目を見開く。
「もしかして、あなたの旦那様なの!?」
またこの展開かと苦笑し、カケルは否定してもらうつもりでセベカを見た。
しかしセベカは、真顔で母親にこう返してしまう。
「その通りであります。カケル殿は自慢の旦那様であります」
「おいっ!?」
慌てるカケルを後目に、母親はセベカを潤んだ瞳で見つめて「もうそんな歳になったのね」などとのたまっている。これもどこかで見た展開だ。
「だから違うって! 着々と既成事実を作ろうとすんな!」
「まあ、そうなの?」
母親がチラリとセベカの様子を窺う。
「不本意ながらまだ堕とせていないであります。挙句にこの男は意外とモテるであります。ついこの間も、恋敵に先を越されたばかりで……」
「お前、何言ってんの!? いや、そもそも何で知ってんの!?」
話が聞こえていたらしい通行人の何人かが、こちらを注目する。すぐに逃げ出したいが、そうすると知らないところで何を言われるかわからない。
「そこで母上に伺いたいであります。どうすれば自分の虜にできるでありますか」
真顔でとんでもない質問をする娘。
「簡単よ。恋敵では手も足もでない甘美な体験をさせるの。知り合いは男の胃袋を掴めと言うけれど、私の持論は違うわ。掴むべき袋はた――」
「――うわああああッ!」
真顔でとんでもない回答をしだした母親の言葉を途中で遮る。
「カケル殿、大事なところですので、静かにしてほしいであります」
「でも口で説明するのは難しいわね。そうだ、そこの宿で実演してあげるわ」
不敵に頬を赤らめる母娘の前から、カケルは脱兎のごとく駆け出す。
「どうして逃げるのでありますか、カケル殿!」
「バレたらアーシャに殺されるからだよ!」
「大丈夫であります。自分は口が固いであります!」
懸命な追いかけっこに興じる愛娘の背中を眺めながら、母親は静かに微笑む。
「……いつでも帰っていらっしゃい」
「……はい。母上」
「その時は孫も一緒で構わないわよ」
「はい! 母上!」
「俺を見るな! やめろ! 服を脱がそうとするなあああ!」
「そうね……お父さん……」
どこか恥ずかしげなアーシャの肩を、父親は朗らかに叩く。
「なかなか帰ってきてくれないから、心配していたんだよ。それでこっちの人は……あっ! 結婚の報告だね。そうか……少し寂しいけれど、お父さんは応援するよ」
娘をよろしくと手を握られたカケルは、混乱と戸惑いを隠せない。
「ち、違います。そんなつもりはないです!」
「……へえ。そんなつもりはないんだ。そうなんだ」
「い、いや、男として責任は……じゃなくて、何か目的があるんだろ!」
大慌てで父親から離れたカケルを、しばらくジト目で見ていたが、アーシャはやがて「はあ」とため息をついて本題を切り出した。
「いきなりだけど、お父さんにお願いがあるの」
「わかってるよ。これのことだろう?」
父親が懐から取り出したのは、アーシャとカケルで完成させた民主化の顛末を描いた絵本だった。それ以外にも、アーシャの絵本はすべて持っていた。
「お父さん、これ……」
「王都に住んでる知り合いが教えてくれたんだ。最近は本も安くなっていて、私でもなんとか買えたよ」
アーシャの瞳が潤みだす。表面上は父親を嫌ってはいたが、根っこの部分ではずっと大切に思っていたのだろう。
そのうちに声を聞きつけた母親も加わり、ひとしきり再会を喜ぶ。
「ねえ、お父さん。さっきわかってるって言ってたけど……」
「ああ、そうだったね。王都から選挙の説明をしに文官が来てたんだ。民主化すると不便になるとね」
「なっ……! 明らかな不正じゃないの!」
憤るアーシャの肩に、父親が優しく手を置いた。
「心配はいらないよ。きちんと説明し直しておいた。このあたりの住民は、全員がリア様に投票すると言ってくれたよ」
「それにお父さんの呼びかけで、リア様の応援を決めた貴族もいるのよ。難色を示す人もいたけれど、昔、お世話になったからと決意してくれたの」
アーシャの母親が、嬉しそうに夫の腕を取る。
「人望があるんですね」
カケルが言うと、アーシャの母親は「ええ」と満面の笑みを返した。
「貴族としての野心も頭脳も武力もないけれど、優しさと人望はあるの。それだけあれば夫して合格よ。だから私は結婚した。でも……アーシャには苦労をかけてしまったわね」
「そうだな……私は貴族らしい生活でなくとも、家族がいれば満足だった。むしろ貴族としての義務が足枷になっていたから、喜んで財産を分け与えていたんだが……」
ガックリと肩を落とす父親。次いで謝罪をしそうになったところで、アーシャは慌てて押し留めた。
「謝らないで! アタシはただ……」
「ただ……?」
「……許せなかったの。大切なお父さんが自分を犠牲にして助けたのに、いざ逆の立場になったらあっさり見捨てた人たちが。でもお父さんはアタシが文句を言うと、そんなことを言ったら駄目だって……」
「そうか……まあ、お父さんも身勝手だったからな。そういうところは、やっぱり貴族だったのかもしれないね」
家族で抱き合う三人を見守りながら、カケルはふと都会でエリートだったサラリーマンが定年後に田舎に移り住んで、家族とギクシャクするテレビ番組を思い出した。
(そういやテレビなんて、もうずっと見てないな……)
「また何か考え事?」
「うわっ!?」
気付いたら、目の前にアーシャの顔があった。心配そうで、それでいて不満そうだ。
「はっはっは。ウチの娘は意外と寂しがり屋だからね。苦労すると思うけど、よろしく頼むよ。ええと……」
「カケルです。自己紹介がまだでした。すみません」
「良い名前ね。アーシャといつまでも仲良くね」
「はい……って、なんだか結婚の挨拶みたいになってる気が……」
「不服なの?」
「いえ、そんなことないです……」
ぎょろりと愛すべき女商人に睨まれれば、カケルはもう何も言えなかった。
※
「それで半ば結納みたいな挨拶をしてきたのでありますか。どうにもカケル殿は優柔不断でありますね」
連れ立って王都を歩くセベカにため息交じりに言われ、何故かカケルは小さくなる。
ちなみにアーシャはこの場にいない。
昨日、王都へ戻ってくるなり、彼女の父親から頼まれたという貴族が投票だけでなく、リア陣営に加わる決断までしてくれ、今は王城でサグヴェンス家の当主を中心に対策会議を行っている最中だ。
カケルも参加予定だったが、根を詰めすぎてもいけないと、気分転換がてらに外へ連れ出されたのである。
昼が近くなった王都は、いつもより多くの人で賑わっている。話題の中心は大統領選挙の行方だ。一般国民の人気は圧倒的にリアだが、貴族人気はいまだゴフルが上回っている。
「自分に有力者とのコネがあればいいのでありますが……」
両手で抱える紙袋に、セベカが視線を落とす。詰め込まれている林檎に映った表情は、とても悔しそうだった。
「適材適所って言葉がある。セベカにはリアを支える役目があるじゃないか」
「……まさかカケル殿に慰められるとは思わなかったであります。これも男として余裕が出てきたからでありますか?」
「え? そ、そんなことは……ない、と思うぞ」
気まずくなって視線をあちこちに彷徨わせると、宿から出てきた男女を発見した。
「子爵様はどちらに投票なさるのかしら」
「何だ、君も興味があるのか」
「ええ。娘がリア様を応援していますの」
「ほう。若い人間はやはり民主化とやらに心を惹かれるのか」
意味ありげに微笑んだあと、女は男の耳に口を寄せる。
「……何? レアード男爵も? うむむ。情勢が読めなくなってきてるな」
難しい顔でなおも一言二言交わしたあと、宿の前で男女は別れた。
「……母上」
「えっ!? 前に話してくれた……」
「そうであります」
頷いたセベカはとても複雑そうだ。嫌っていた母親が、リアの当選のために骨を折っている場面を目撃したのだから当然だった。
「行ってこいよ」
「……何を話すのでありますか? それにリア様が待って――カケル殿!?」
ズルズルと引き摺るように、カケルは腕を掴んだセベカを母親の前へ連行する。
「俺は……もう両親と会えない。喧嘩することもできない。なあ、セベカ。今の当たり前ってさ、きっと当たり前なんかじゃないんだよ」
「……難しい謎かけでありますね」
セベカの身体から力が抜けた。諦観の溜息をついたあと、彼女は小脇に紙袋を抱えて、両手で自らの頬をパンと叩いた。
「……セベカ」
娘に気づいた母親が表情を硬くする。
「久しぶりであります」
「……念願の侍女になれたそうね」
「……それも、その……母上が……自分に勉強をさせてくれたからであります」
途中途中で詰まりながらもセベカが言い終わるなり、母親は感極まったように娘へ抱き着いた。濃いめの化粧が施された頬に、一筋の涙が零れる。
「こんなところで……」
「いいじゃない。久しぶりに会えたんだもの……」
その言葉は、セベカに避けられていた母親が、会いたくても会えなかったと告白しているみたいだった。
「……そのうち、時間があれば、家にも帰る……かもしれないであります」
「無理しなくていいのよ。セベカはリア様の侍女だもの。母親がこんな女だと知られたら、女王様にまで悪い噂がたってしまうわ」
感動的な母娘の抱擁に水を差すつもりはなかったが、ついうっかりとカケルは口を滑らせてしまう。
「大丈夫ですよ。民主国家になれば、職業に貴賎はなくなります。表面上は」
「えっ? あっ、そうですね……ええと、セベカ。この方は……」
胡乱気にカケルを見ていた母親が、まさかとばかりに目を見開く。
「もしかして、あなたの旦那様なの!?」
またこの展開かと苦笑し、カケルは否定してもらうつもりでセベカを見た。
しかしセベカは、真顔で母親にこう返してしまう。
「その通りであります。カケル殿は自慢の旦那様であります」
「おいっ!?」
慌てるカケルを後目に、母親はセベカを潤んだ瞳で見つめて「もうそんな歳になったのね」などとのたまっている。これもどこかで見た展開だ。
「だから違うって! 着々と既成事実を作ろうとすんな!」
「まあ、そうなの?」
母親がチラリとセベカの様子を窺う。
「不本意ながらまだ堕とせていないであります。挙句にこの男は意外とモテるであります。ついこの間も、恋敵に先を越されたばかりで……」
「お前、何言ってんの!? いや、そもそも何で知ってんの!?」
話が聞こえていたらしい通行人の何人かが、こちらを注目する。すぐに逃げ出したいが、そうすると知らないところで何を言われるかわからない。
「そこで母上に伺いたいであります。どうすれば自分の虜にできるでありますか」
真顔でとんでもない質問をする娘。
「簡単よ。恋敵では手も足もでない甘美な体験をさせるの。知り合いは男の胃袋を掴めと言うけれど、私の持論は違うわ。掴むべき袋はた――」
「――うわああああッ!」
真顔でとんでもない回答をしだした母親の言葉を途中で遮る。
「カケル殿、大事なところですので、静かにしてほしいであります」
「でも口で説明するのは難しいわね。そうだ、そこの宿で実演してあげるわ」
不敵に頬を赤らめる母娘の前から、カケルは脱兎のごとく駆け出す。
「どうして逃げるのでありますか、カケル殿!」
「バレたらアーシャに殺されるからだよ!」
「大丈夫であります。自分は口が固いであります!」
懸命な追いかけっこに興じる愛娘の背中を眺めながら、母親は静かに微笑む。
「……いつでも帰っていらっしゃい」
「……はい。母上」
「その時は孫も一緒で構わないわよ」
「はい! 母上!」
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