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三章

リュカside 恋バナ

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「ノアちゃんがお兄さんを好きなのは少し意外でした。」

リュカはそう前置きをしてから本題に入る。

「リュカは、《リュカ》になる前までは貴族って言う生き物自体嫌いだった。
あいつらはリュカ達平民のことを生き物だとすら思ってない。

よく貴族に性的なことに使われた。

ーでも、リュカはそれを笑って受け入れるしかなかった。
お金を稼ぐにはそうするしかなかった。
それに、あいつらは魔法が使えて、抵抗したところで負けるだけだから。

本当は嫌だった。毎日毎日体を売る生活なんて。
殴られることだってあった。

ーだから、貴族のことは嫌い。」

思い出すと胸が苦しくなる。

「ー嫌い、だった。でも、皆が皆、そうじゃないって分かった。
少なくとも、トワちゃんは…。
助けてもらったとき、輝いて見えたんだ。」

ただそれだけの理由かよって、しょうもない、って、思われてしまうかもしれない。
だけど、リュカにとってはそれだけで充分だった。

「そうだったんですね…。大変だったでしょう。リュカ様。」

いつもの喋り方でなくなっているノアはリュカの頭をただひたすら撫でてくれた。


ノアも元は貴族で、何かしらの理由があって現在こうなっているということもリュカには何となく分かっていた。

魔法を使っている姿を見て確信した。

ノアは貴族だったのだと。

だから、あの時、ノアがひどく恐ろしく見えたのだ。

「僕にも分かります。リュカ様の気持ちが。だから僕は今、ここにいるわけですし。」

(でも、今のノアを見ていると、勘違いしていたのだと思う)

何があったのかは分からないが、
ーノアはあの貴族達とは違う。
そう思った。





「ありがとう…。話聞いてくれて。」

「いえいえ~!大丈夫ですよぉ~?リュカ様ぁ~!疲れちゃったでしょうしそろそろ寝ましょぉかぁ~!」

いつもの喋り方に戻ったノアはそのまま部屋の灯りを消した。


(きっと、ノアの期待した恋バナではないんだろうな)

ノアに対し申し訳ない、と思いながらも、すっきりした気持ちに
なったリュカは、そのまま眠りに落ちた。





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