退魔師と悪魔

レイティア

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闇背負う少年

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少年は退魔師になる為に教会へ預けられたわけでは無かった

少年の記憶には母しかおらず、その母でさえ、少年を拒否していた
そして、少年に退魔師としての力があると分かった8つの時、少年はなんの躊躇いもなく親に教会へと捨てられたのだ

人は醜い

少年は齢8つにして、それを理解していた


しかし、そんな少年にはただ一人、心を許せる者ができた
その者は超が付くほど素直で、愚直で…だからこそ何も考えずに信じられた

少年は退魔師になどならなくていいと思っていた
しかし、その者は退魔師になる事を誇りと信じて疑わない
だから少年は退魔師を目指した
その者と一緒にいたいから


だが運命は残酷だ
少年を嘲笑うかのようにその者は奪われた
唯一信じていたその者は、実の父によりその命は奪われた
それも、悪魔の生贄にされるという最悪の裏切りのもと…

もうすぐ一人前の退魔師として認められる時だった
悪魔召喚が行われた
それに気づいた先生に連れられ、現場に向かった

現場には無残に食いちぎられた肉塊
既に悪魔はいなくなっていた

肉塊を埋葬するため近づいた少年は絶望した
肉塊は既に顔なども判別つかない
しかし、少年には分かった
残った右手、中指には魔力増強指輪がはまっている
それは、少年がその者とお揃いのデザインで揃えた物だった
少年はピアスを外し、肉塊の指輪と並べる

それはまごうこと無き信じていたその者の遺体である証拠だった

少年は指輪を外し、己のそこにはめた

少年は肉塊を大事に布にくるみ、埋葬した





その翌日…教会からは少年が一人消えたのだった
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