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結局家に着いたのは、家を出てから6日目の昼前だった。
『ただいま。』
『ローゼン‼︎』
入るなり、母さんに抱きしめられた。
子猫は驚いて俺の尻尾の下に隠れた。
俺の尻尾は母さん譲りのふわふわだからな。子猫一匹くらいなら隠れるスペースはある
『ごめん母さん…』
『ローゼン、ライドに話は聞いたが、きちんと説明してくれ。』
父さんが静かに来て言った。
母さんは少し落ち着いたのか身体をはなして父さんに寄り添っている。
『うん、ちゃんと話す。
けど…まずはこいつを温めてやりたいんだ。』
俺は子猫を母さん達の前に鼻先で少し押すと、子猫は俺の鼻先を避けて、胸にすり寄ってきた。
優しく舐めてやると嬉しそうに、満足そうに鳴いた。
その体は少し震えている。
拾った時からずっとかすかに震えて、寒がっていた。
『まぁまぁ、話は夜聞くから、お風呂で洗ってあげなさい。』
母さんは何か勘違いしてる気がする…
けど、お言葉に甘えて、洗い場に行く。
子猫は俺から離れないように着いてくる。
この家では、いつでも猫が入れるように、ぬるま湯の小さめの風呂がある。
俺は初めての風呂に怯える子猫を優しく洗ってやる。
驚いたことに、子猫は雄だった。
声が高いから雌だと思っていた。
一緒に湯に浸かると、子猫は俺にくっついてきた。
可愛いやつだ
風呂を出ると子猫を拭いてやる
震えは止まっている
さっぱりして眠くなったのか、うつらうつらしている。
俺専用のクッションで抱き締めるようにしてやると、安心したように眠った。
夕飯の時間になると、ライドが呼びに来た。
『兄さん、ご飯だけどどうするの?
その子すごく疲れてるみたいだけど…』
『もう少しだけ寝かしてやってくれ』
『それはいいけど…どうすんの、その子?』
『前も言ったが、帰り『違うよ』…』
『兄さん…その子のこと、すごく大切になってるんでしょ?分かるよ。弟だもん。今まで見たことないくらい優しくて愛おしそうにその子のこと見てる。』
『…』
『何も言わないつもり?もしその子が帰りたいって言って、帰したら…後悔しない?』
『…こいつはまだ幼い…俺はすでに13だぞ?俺よりいい奴がきっといる…』
『歳とか関係ないよ。好きなら伝えなきゃ。』
『…今のこいつに言っても、わからないだろう。そうなれば、なし崩しにこいつの人生を俺に縛ることになる。
俺は…結婚なんてどうでもいいと思ってたが、こいつとはちゃんと理解して、愛し愛される関係になりたいんだ。』
『そう…』
ライドはそう言うと、部屋から出て行った。
『ただいま。』
『ローゼン‼︎』
入るなり、母さんに抱きしめられた。
子猫は驚いて俺の尻尾の下に隠れた。
俺の尻尾は母さん譲りのふわふわだからな。子猫一匹くらいなら隠れるスペースはある
『ごめん母さん…』
『ローゼン、ライドに話は聞いたが、きちんと説明してくれ。』
父さんが静かに来て言った。
母さんは少し落ち着いたのか身体をはなして父さんに寄り添っている。
『うん、ちゃんと話す。
けど…まずはこいつを温めてやりたいんだ。』
俺は子猫を母さん達の前に鼻先で少し押すと、子猫は俺の鼻先を避けて、胸にすり寄ってきた。
優しく舐めてやると嬉しそうに、満足そうに鳴いた。
その体は少し震えている。
拾った時からずっとかすかに震えて、寒がっていた。
『まぁまぁ、話は夜聞くから、お風呂で洗ってあげなさい。』
母さんは何か勘違いしてる気がする…
けど、お言葉に甘えて、洗い場に行く。
子猫は俺から離れないように着いてくる。
この家では、いつでも猫が入れるように、ぬるま湯の小さめの風呂がある。
俺は初めての風呂に怯える子猫を優しく洗ってやる。
驚いたことに、子猫は雄だった。
声が高いから雌だと思っていた。
一緒に湯に浸かると、子猫は俺にくっついてきた。
可愛いやつだ
風呂を出ると子猫を拭いてやる
震えは止まっている
さっぱりして眠くなったのか、うつらうつらしている。
俺専用のクッションで抱き締めるようにしてやると、安心したように眠った。
夕飯の時間になると、ライドが呼びに来た。
『兄さん、ご飯だけどどうするの?
その子すごく疲れてるみたいだけど…』
『もう少しだけ寝かしてやってくれ』
『それはいいけど…どうすんの、その子?』
『前も言ったが、帰り『違うよ』…』
『兄さん…その子のこと、すごく大切になってるんでしょ?分かるよ。弟だもん。今まで見たことないくらい優しくて愛おしそうにその子のこと見てる。』
『…』
『何も言わないつもり?もしその子が帰りたいって言って、帰したら…後悔しない?』
『…こいつはまだ幼い…俺はすでに13だぞ?俺よりいい奴がきっといる…』
『歳とか関係ないよ。好きなら伝えなきゃ。』
『…今のこいつに言っても、わからないだろう。そうなれば、なし崩しにこいつの人生を俺に縛ることになる。
俺は…結婚なんてどうでもいいと思ってたが、こいつとはちゃんと理解して、愛し愛される関係になりたいんだ。』
『そう…』
ライドはそう言うと、部屋から出て行った。
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