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一章 目覚めた死神姫
episode5 おやすみなさい
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「そう言えば、私はどこに住めばいいんですかね?」
謁見の帰り、赤絨毯のしたかれた長い廊下を歩く白雪が思い出したように呟く。
「あれ?言ってなかったっけ?ここだよ、この城。因みに僕の隣ね」
「なるほど。近い方が喉が乾いた時に便利ですしねぇ」
「そういう事、なんだけど…。もうちょっと警戒しようね?」
「何をですか?」
「……いや、何でもないよ」
こてんと首を傾げる白雪に、はぁとため息を吐きながら項垂れるレオン。
「じゃあ、早速ください」
「…何を?」
「?血ですけど…。さっきは少ししか飲めていないので」
だからはやく!と急かす目で見る白雪に、またあの我慢という名の苦痛を味わうのかと遠い目をするレオン。
「分かった……」
「なんでそんなに嫌そうなんですか」
ちょっと不満そうな顔をしながら、てくてくとレオンにつづく白雪。
着いたよ、とレオンが言ったのは、ふたつの部屋の前。
「右側が僕で、左が白雪ちゃんね。何かあったら呼んでよ。すぐ行く」
「何かあったとしても自分で何とか出来ますよ」
そう言いながら、右側の部屋の扉に手をかける白雪。
「…白雪ちゃん。白雪ちゃんの部屋はそっちだよ?」
「わかってますよ!今から血をもらうから今だけ入るだけです」
ぷんすこと可愛いらしく怒りながらレオンの部屋に入っていく後ろ姿を諦めたように見つめながら、自分も部屋の中に入っていくレオン。
「レオン。ここに座ってください」
暫くして、メイドから貰ってきたお茶を机の上に置いたレオンに、白雪がベッドに乗ってそばをポンポンと叩きながら手招きする。
「?!……誘ってるのかな」
一瞬目を疑ったレオンは、ここまで警戒してないとは凄いなと思いながらボソリと呟く。聴力強化をしていない白雪には聞こえていないが。
「…どうなっても知らないからね」
「はーやーくー!」
キングサイズのベッドの上で早く早くと急かす白雪。ベッドの上で(色々)やめて欲しいと思うレオンである。
ギシとレオンの体重にベッドが軋む。レオンは、自分のネクタイと首元のボタンを外すと、白雪の方を見る。
すると、白雪は何か考えた素振りを見せたあと、レオンのシャツのボタンを全部外し、シャツを二の腕まで下げる。
「!何っ?」
「脱いだ方が汚れないですよ?」
「~~~っ!もう、本気で知らないから」
「?」
無邪気な顔でシャツを脱がせてくる白雪に、諦めた目を向けるレオン。そのまま白雪は、足を伸ばしたレオンの上に乗ると、肩に手を置き、首筋をぺろりと舐める。
「ーっ!」
さっきとは違って、素肌に当たる白雪の豊満な胸や髪、服の感触が余計に煩悩を生まれさせる。
そんな事を考えていると、牙をたてた白雪がゆっくりと血を飲んでいく。無意識に魔法を流しながら。
「はむっ。ごくごくっ、おいひ…んくっ」
「っ────うっ…んっ!」
耐えるように白雪をぎゅっと抱くレオン。血を吸われるたびに身体がビクビクと震える。
「……し、らゆきちゃんっ!本当、ダメだっ!これ、血を吸われると、んっ!なんでか知らないけど、気持ちよくなるみたいでっ!」
「大丈夫です、よ。そのまま楽に、ごくっ。していて、くれたら…」
「そんな事、言ったって!んっ!!」
本当に我慢が出来そうにないレオンは、無理やり白雪を引き剥がそうとしたが、そんなレオンの胸に白雪の指が這う。
「なに、やって…?!」
「んふ、かぁいいですね、レオン」
にこりと妖艶に笑う白雪に、レオンがゴクリと喉を鳴らす。
「白雪ちゃん…。僕、もう、無理っ、んっ!!」
「はむ。ごくっごくっ。ん…ごちそうさっ、んむっ」
ご馳走様、と離れようとした白雪をぎゅっと抱きしめるレオン。
「耐えられないなら、次からは献血します?注射器で」
「……最初から言ってよ。そんなのあったんならさ」
可愛くってつい。と言いながらえへへと笑う白雪に、可愛いのは白雪ちゃんだよ。と思うレオン。
「もう、もどって…ね?僕はこのまま寝るよ…明日からは学園に行かないとだし」
「ふぁ…そ、ですね…わたしも寝ます。おやすみなさい…」
そう言いながら、その場にこてんと寝転ぶ白雪。
「……え?ちょっと待って、白雪ちゃん!隣の部屋へ行こうね?ね?」
「……すー……」
「嘘だろ…」
慌てて促すレオンを無視して、1分も経たずに寝息が聞こえてきた。その様子に絶句するレオン。
謁見の帰り、赤絨毯のしたかれた長い廊下を歩く白雪が思い出したように呟く。
「あれ?言ってなかったっけ?ここだよ、この城。因みに僕の隣ね」
「なるほど。近い方が喉が乾いた時に便利ですしねぇ」
「そういう事、なんだけど…。もうちょっと警戒しようね?」
「何をですか?」
「……いや、何でもないよ」
こてんと首を傾げる白雪に、はぁとため息を吐きながら項垂れるレオン。
「じゃあ、早速ください」
「…何を?」
「?血ですけど…。さっきは少ししか飲めていないので」
だからはやく!と急かす目で見る白雪に、またあの我慢という名の苦痛を味わうのかと遠い目をするレオン。
「分かった……」
「なんでそんなに嫌そうなんですか」
ちょっと不満そうな顔をしながら、てくてくとレオンにつづく白雪。
着いたよ、とレオンが言ったのは、ふたつの部屋の前。
「右側が僕で、左が白雪ちゃんね。何かあったら呼んでよ。すぐ行く」
「何かあったとしても自分で何とか出来ますよ」
そう言いながら、右側の部屋の扉に手をかける白雪。
「…白雪ちゃん。白雪ちゃんの部屋はそっちだよ?」
「わかってますよ!今から血をもらうから今だけ入るだけです」
ぷんすこと可愛いらしく怒りながらレオンの部屋に入っていく後ろ姿を諦めたように見つめながら、自分も部屋の中に入っていくレオン。
「レオン。ここに座ってください」
暫くして、メイドから貰ってきたお茶を机の上に置いたレオンに、白雪がベッドに乗ってそばをポンポンと叩きながら手招きする。
「?!……誘ってるのかな」
一瞬目を疑ったレオンは、ここまで警戒してないとは凄いなと思いながらボソリと呟く。聴力強化をしていない白雪には聞こえていないが。
「…どうなっても知らないからね」
「はーやーくー!」
キングサイズのベッドの上で早く早くと急かす白雪。ベッドの上で(色々)やめて欲しいと思うレオンである。
ギシとレオンの体重にベッドが軋む。レオンは、自分のネクタイと首元のボタンを外すと、白雪の方を見る。
すると、白雪は何か考えた素振りを見せたあと、レオンのシャツのボタンを全部外し、シャツを二の腕まで下げる。
「!何っ?」
「脱いだ方が汚れないですよ?」
「~~~っ!もう、本気で知らないから」
「?」
無邪気な顔でシャツを脱がせてくる白雪に、諦めた目を向けるレオン。そのまま白雪は、足を伸ばしたレオンの上に乗ると、肩に手を置き、首筋をぺろりと舐める。
「ーっ!」
さっきとは違って、素肌に当たる白雪の豊満な胸や髪、服の感触が余計に煩悩を生まれさせる。
そんな事を考えていると、牙をたてた白雪がゆっくりと血を飲んでいく。無意識に魔法を流しながら。
「はむっ。ごくごくっ、おいひ…んくっ」
「っ────うっ…んっ!」
耐えるように白雪をぎゅっと抱くレオン。血を吸われるたびに身体がビクビクと震える。
「……し、らゆきちゃんっ!本当、ダメだっ!これ、血を吸われると、んっ!なんでか知らないけど、気持ちよくなるみたいでっ!」
「大丈夫です、よ。そのまま楽に、ごくっ。していて、くれたら…」
「そんな事、言ったって!んっ!!」
本当に我慢が出来そうにないレオンは、無理やり白雪を引き剥がそうとしたが、そんなレオンの胸に白雪の指が這う。
「なに、やって…?!」
「んふ、かぁいいですね、レオン」
にこりと妖艶に笑う白雪に、レオンがゴクリと喉を鳴らす。
「白雪ちゃん…。僕、もう、無理っ、んっ!!」
「はむ。ごくっごくっ。ん…ごちそうさっ、んむっ」
ご馳走様、と離れようとした白雪をぎゅっと抱きしめるレオン。
「耐えられないなら、次からは献血します?注射器で」
「……最初から言ってよ。そんなのあったんならさ」
可愛くってつい。と言いながらえへへと笑う白雪に、可愛いのは白雪ちゃんだよ。と思うレオン。
「もう、もどって…ね?僕はこのまま寝るよ…明日からは学園に行かないとだし」
「ふぁ…そ、ですね…わたしも寝ます。おやすみなさい…」
そう言いながら、その場にこてんと寝転ぶ白雪。
「……え?ちょっと待って、白雪ちゃん!隣の部屋へ行こうね?ね?」
「……すー……」
「嘘だろ…」
慌てて促すレオンを無視して、1分も経たずに寝息が聞こえてきた。その様子に絶句するレオン。
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