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一章 目覚めた死神姫
episode4 王城でのご挨拶
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「お初にお目にかかります。皆様。私はアストレア帝国現国主、白雪・A・アストレアと申します。以後、お見知りおきを」
お見知りおきをのところを少し強調してしまったのは、まあ、仕方ないだろう。なにせ、白雪の目の前にずらりと座るのは、自分のことを一生懸命隠していた張本人達なのだ。これくらいはご愛嬌だろう。
いつもより丁寧に挨拶したあと、優雅に席につく白雪に、リーリア王国の重鎮達は少しのまれていた。
「それで、一応あなたがたにもお話を伺いたい所存なのですが」
両手の指を絡ませ、机の上に肘を乗せた白雪が、ニコリと笑う。わざと行儀悪くしているのは、舐めてんの?という意思表示だ。その様子に、重鎮達がたかが魔物と侮っていたことを後悔する。
スッと手を挙げたのはリーリア国王。
「では、私から。姫陛下には、王族の血と引き換えに、この国の王都にあるリーリア王立学園に通ってもらいたい。正直申し上げますが、私達人族は他族に比べて劣るものが多く、未知なる種族は恐ろしいのですよ」
サラリと本音を言うリーリア国王に、重鎮達が勇者を見る目で見ている。
ーー王族の血って、言い方…。何か結婚みたいじゃないですか。やめてほしい…
「なるほど…」
暫く考える素振りを見せた白雪だが、小声でまあ、いいかな。と呟いたあと、じっと国王の目を見て言う。
「分かりました。その要求は受けましょう。ただし、私からもうひとつ条件があります」
「…条件、とは?」
ゴクリと生唾を飲み込んだ国王に、少し口角をあげた白雪。
「今、行方不明の英雄2人を探してほしいのです」
「…それならいいでしょう」
「ありがとうございます。それでは、私はこれで」
元々、行方不明の英雄達は国で探していたので、少しだけ考えたあと、すぐに頷いた国王を置いて、ガチャと扉を開けて部屋を発った。
お見知りおきをのところを少し強調してしまったのは、まあ、仕方ないだろう。なにせ、白雪の目の前にずらりと座るのは、自分のことを一生懸命隠していた張本人達なのだ。これくらいはご愛嬌だろう。
いつもより丁寧に挨拶したあと、優雅に席につく白雪に、リーリア王国の重鎮達は少しのまれていた。
「それで、一応あなたがたにもお話を伺いたい所存なのですが」
両手の指を絡ませ、机の上に肘を乗せた白雪が、ニコリと笑う。わざと行儀悪くしているのは、舐めてんの?という意思表示だ。その様子に、重鎮達がたかが魔物と侮っていたことを後悔する。
スッと手を挙げたのはリーリア国王。
「では、私から。姫陛下には、王族の血と引き換えに、この国の王都にあるリーリア王立学園に通ってもらいたい。正直申し上げますが、私達人族は他族に比べて劣るものが多く、未知なる種族は恐ろしいのですよ」
サラリと本音を言うリーリア国王に、重鎮達が勇者を見る目で見ている。
ーー王族の血って、言い方…。何か結婚みたいじゃないですか。やめてほしい…
「なるほど…」
暫く考える素振りを見せた白雪だが、小声でまあ、いいかな。と呟いたあと、じっと国王の目を見て言う。
「分かりました。その要求は受けましょう。ただし、私からもうひとつ条件があります」
「…条件、とは?」
ゴクリと生唾を飲み込んだ国王に、少し口角をあげた白雪。
「今、行方不明の英雄2人を探してほしいのです」
「…それならいいでしょう」
「ありがとうございます。それでは、私はこれで」
元々、行方不明の英雄達は国で探していたので、少しだけ考えたあと、すぐに頷いた国王を置いて、ガチャと扉を開けて部屋を発った。
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