36 / 45
第35話 黄金の三頭竜(3)
しおりを挟む
「あのブレスに当たったら一発で蒸発しちまうな。ありゃ、魔法の一種か?それとも科学的な何かか?」
キングヒドラと少し距離をとって体制を整える。あのブレス攻撃を連続でされると勝ち目はなさそうだが、キングヒドラはまだ第二射を撃ってこない。
「あのブレスの連射は出来ないようですね。しかし、岩を溶かすほどの高温ということは、プラズマか陽電子などかも知れません。おそらく、口の中で魔力によってエネルギーを錬成し放出しているのかと。口から出た後は、魔力のようなものは感じませんでした」
今の攻撃を見た力丸は、一瞬で科学的魔法的な考察をする。さすがは力丸だ。
「しかし、ちまちまと鱗の隙間を狙っていても倒せそうにはないな。覚えたばかりのあれを使ってみる。蘭丸達は詠唱の時間を稼いでくれ!」
「承知しました!」
蘭丸達は3人がそれぞれ予測のできない剣筋でキングヒドラに斬りつける。さっき鱗の隙間に剣を刺されたばかりなので、キングヒドラも慎重になっているようだ。
「・・・・七つの魂を捧げ煉獄の扉が今開かれん。フェーリーメドウズーーー!!!」
『人族の分際で中級の火魔法だと?こざかしい。しかし、中級魔法では我の鱗を打ち抜くことなど出来ぬ。・・・ん?何だと!?』
詠唱をしている信長の両手には、青白く輝く火球が生じていた。そして、詠唱が終わったと同時に、その火球は音速を超える速度でキングヒドラに迫ってきたのだ。
『ま、まずい!!!』
キングヒドラはその魔法の危険性を一瞬にして判断した。あれは危険だ。明らかに中級魔法のエネルギー量を超えていて、あれをまともに喰らってはただですみそうに無い。
その青白い光球を避けようとしたのだが、足が氷で固められていて一瞬遅れてしまった。ただの水が固まっただけの氷だ。力を入れればすぐに砕けると思っていたことが裏目に出てしまったのだ。ほんの一瞬、その遅れがキングヒドラにダメージを負わせることになった。
「アギャアアアァァァァァァァーーー!」
その光球はキングヒドラの一つの首をかすめていた。そして、そのかすめた部分の鱗がはがれて下の肉が露出している。
「あれだけのエネルギーをぶつけてもこの程度のダメージしか与えられないのかよ!」
魔導書で覚えた中級の火魔法に、信長は自分なりの工夫をしていたのだ。この「フェリーメドウズ」の魔法はてのひらに火球を作って打ち出す魔法だ。ラノベやアニメにあるファイヤーボールのような魔法なのだが、信長はその火球の中心にある分子の振動をさらに加速させ、プラズマ化させることに成功したのだ。おそらく中心温度は1万度以上。そのプラズマを「フェリードウズ」の魔法によって凝縮し打ち出したのだ。
これによって、ただ単に魔法を詠唱した時の何倍もの威力を獲得していた。
「だが、全く効かないというわけじゃなさそうだな。もう一度行くぞ!」
信長は再度魔法の詠唱に入った。そして、その時間を稼ぐために蘭丸達は剣を振り下ろす。
『なめるなぁ!人族!』
キングヒドラの叫びは、信長達の頭の中にはっきりと聞こえた。音声では無い。テレパシーのような超感覚で伝わってきたのだ。
そして、キングヒドラの翼の端から、何枚もの鱗が信長達に跳んできた。
蘭丸達はその跳んできた鱗を剣でたたき落とす。信長も詠唱を中断して鱗を避けた。
しかし、
「あぶねぇ!」
鱗の一枚が緑色の髪の少女に向かっていったのだ。
信長は少女を抱きかかえて避けようとする。しかし、一寸(いっすん)遅い。
「信長くん!」
ガラシャはとっさに氷魔法で信長の背中に氷壁を作った。しかし、その程度では鱗による攻撃を防ぐことは出来なかった。
キングヒドラの鱗は信長の右肩を貫いて岩に突き刺さった。そして。傷口からは真っ赤な血が噴き出す。
「く、くっそお!奇形のトカゲの分際でよくも俺様に傷を付けてくれたな!おっと、嬢ちゃん、怪我は無いか?あの岩の陰にでも隠れていろ。すぐに終わらせてやるからな」
信長の血で髪の毛を真っ赤に染めた少女は、小さくコクンと頷いて岩の陰に隠れた。それを見た信長は、親指を上げてウインクをする。
「おいっ!トカゲ野郎!ここからはタイマン勝負だ!正々堂々と戦えよ!俺様もお前を真っ二つにしてやるからよぉ!覚悟しな!」
『ふっ、こざかしい。ひ弱な人族に何が出来る。我のブレスを受けるがいい』
今度もキングヒドラの声が頭の中に響いた。やはり、かなりの知性を持っている生物のようだ。そして、ブレスを使うことは、信長の望むところだった。
キングヒドラはブレスを吐くために大きく口を開けた。そして、口の中に光の球が形成される。
だが、信長はその瞬間を待っていたのだ。
「これでも喰らえ!」
信長は懐から出した木製の筒をキングヒドラの口の中に投げ入れた。そして、その筒に対して魔法で温度を上げた。
ドーーーン!
その筒はキングヒドラの口の中で大爆発を起こした。そして、その爆発による煙が晴れたとき、キングヒドラは首を一つ失っていた。
そして、信長はその一瞬の隙を逃さない。
「鱗は頑丈そうだが、それ以外の所はどうなんだろうなぁ!」
信長はキングヒドラに向かって駆け出し「フェリーメドウズ」の詠唱を始める。信長はジャンプして吹き飛んだ首の切り口に両手を突っ込んで詠唱を完了させた。
「・・・・七つの魂を捧げ煉獄の扉が今開かれん。フェーリーメドウズーーー!!!ぶっ飛びやがれ!トカゲ野郎!」
キングヒドラと少し距離をとって体制を整える。あのブレス攻撃を連続でされると勝ち目はなさそうだが、キングヒドラはまだ第二射を撃ってこない。
「あのブレスの連射は出来ないようですね。しかし、岩を溶かすほどの高温ということは、プラズマか陽電子などかも知れません。おそらく、口の中で魔力によってエネルギーを錬成し放出しているのかと。口から出た後は、魔力のようなものは感じませんでした」
今の攻撃を見た力丸は、一瞬で科学的魔法的な考察をする。さすがは力丸だ。
「しかし、ちまちまと鱗の隙間を狙っていても倒せそうにはないな。覚えたばかりのあれを使ってみる。蘭丸達は詠唱の時間を稼いでくれ!」
「承知しました!」
蘭丸達は3人がそれぞれ予測のできない剣筋でキングヒドラに斬りつける。さっき鱗の隙間に剣を刺されたばかりなので、キングヒドラも慎重になっているようだ。
「・・・・七つの魂を捧げ煉獄の扉が今開かれん。フェーリーメドウズーーー!!!」
『人族の分際で中級の火魔法だと?こざかしい。しかし、中級魔法では我の鱗を打ち抜くことなど出来ぬ。・・・ん?何だと!?』
詠唱をしている信長の両手には、青白く輝く火球が生じていた。そして、詠唱が終わったと同時に、その火球は音速を超える速度でキングヒドラに迫ってきたのだ。
『ま、まずい!!!』
キングヒドラはその魔法の危険性を一瞬にして判断した。あれは危険だ。明らかに中級魔法のエネルギー量を超えていて、あれをまともに喰らってはただですみそうに無い。
その青白い光球を避けようとしたのだが、足が氷で固められていて一瞬遅れてしまった。ただの水が固まっただけの氷だ。力を入れればすぐに砕けると思っていたことが裏目に出てしまったのだ。ほんの一瞬、その遅れがキングヒドラにダメージを負わせることになった。
「アギャアアアァァァァァァァーーー!」
その光球はキングヒドラの一つの首をかすめていた。そして、そのかすめた部分の鱗がはがれて下の肉が露出している。
「あれだけのエネルギーをぶつけてもこの程度のダメージしか与えられないのかよ!」
魔導書で覚えた中級の火魔法に、信長は自分なりの工夫をしていたのだ。この「フェリーメドウズ」の魔法はてのひらに火球を作って打ち出す魔法だ。ラノベやアニメにあるファイヤーボールのような魔法なのだが、信長はその火球の中心にある分子の振動をさらに加速させ、プラズマ化させることに成功したのだ。おそらく中心温度は1万度以上。そのプラズマを「フェリードウズ」の魔法によって凝縮し打ち出したのだ。
これによって、ただ単に魔法を詠唱した時の何倍もの威力を獲得していた。
「だが、全く効かないというわけじゃなさそうだな。もう一度行くぞ!」
信長は再度魔法の詠唱に入った。そして、その時間を稼ぐために蘭丸達は剣を振り下ろす。
『なめるなぁ!人族!』
キングヒドラの叫びは、信長達の頭の中にはっきりと聞こえた。音声では無い。テレパシーのような超感覚で伝わってきたのだ。
そして、キングヒドラの翼の端から、何枚もの鱗が信長達に跳んできた。
蘭丸達はその跳んできた鱗を剣でたたき落とす。信長も詠唱を中断して鱗を避けた。
しかし、
「あぶねぇ!」
鱗の一枚が緑色の髪の少女に向かっていったのだ。
信長は少女を抱きかかえて避けようとする。しかし、一寸(いっすん)遅い。
「信長くん!」
ガラシャはとっさに氷魔法で信長の背中に氷壁を作った。しかし、その程度では鱗による攻撃を防ぐことは出来なかった。
キングヒドラの鱗は信長の右肩を貫いて岩に突き刺さった。そして。傷口からは真っ赤な血が噴き出す。
「く、くっそお!奇形のトカゲの分際でよくも俺様に傷を付けてくれたな!おっと、嬢ちゃん、怪我は無いか?あの岩の陰にでも隠れていろ。すぐに終わらせてやるからな」
信長の血で髪の毛を真っ赤に染めた少女は、小さくコクンと頷いて岩の陰に隠れた。それを見た信長は、親指を上げてウインクをする。
「おいっ!トカゲ野郎!ここからはタイマン勝負だ!正々堂々と戦えよ!俺様もお前を真っ二つにしてやるからよぉ!覚悟しな!」
『ふっ、こざかしい。ひ弱な人族に何が出来る。我のブレスを受けるがいい』
今度もキングヒドラの声が頭の中に響いた。やはり、かなりの知性を持っている生物のようだ。そして、ブレスを使うことは、信長の望むところだった。
キングヒドラはブレスを吐くために大きく口を開けた。そして、口の中に光の球が形成される。
だが、信長はその瞬間を待っていたのだ。
「これでも喰らえ!」
信長は懐から出した木製の筒をキングヒドラの口の中に投げ入れた。そして、その筒に対して魔法で温度を上げた。
ドーーーン!
その筒はキングヒドラの口の中で大爆発を起こした。そして、その爆発による煙が晴れたとき、キングヒドラは首を一つ失っていた。
そして、信長はその一瞬の隙を逃さない。
「鱗は頑丈そうだが、それ以外の所はどうなんだろうなぁ!」
信長はキングヒドラに向かって駆け出し「フェリーメドウズ」の詠唱を始める。信長はジャンプして吹き飛んだ首の切り口に両手を突っ込んで詠唱を完了させた。
「・・・・七つの魂を捧げ煉獄の扉が今開かれん。フェーリーメドウズーーー!!!ぶっ飛びやがれ!トカゲ野郎!」
9
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
誰もシナリオを知らない、乙女ゲームの世界
Greis
ファンタジー
【注意!!】
途中からがっつりファンタジーバトルだらけ、主人公最強描写がとても多くなります。
内容が肌に合わない方、面白くないなと思い始めた方はブラウザバック推奨です。
※主人公の転生先は、元はシナリオ外の存在、いわゆるモブと分類される人物です。
ベイルトン辺境伯家の三男坊として生まれたのが、ウォルター・ベイルトン。つまりは、転生した俺だ。
生まれ変わった先の世界は、オタクであった俺には大興奮の剣と魔法のファンタジー。
色々とハンデを背負いつつも、早々に二度目の死を迎えないために必死に強くなって、何とか生きてこられた。
そして、十五歳になった時に騎士学院に入学し、二度目の灰色の青春を謳歌していた。
騎士学院に馴染み、十七歳を迎えた二年目の春。
魔法学院との合同訓練の場で二人の転生者の少女と出会った事で、この世界がただの剣と魔法のファンタジーではない事を、徐々に理解していくのだった。
※小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。
小説家になろうに投稿しているものに関しては、改稿されたものになりますので、予めご了承ください。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる