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5章:エルフの国と軍師の策略
117:使命と神の戯れ
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あれから二日。俺達は迷宮都市を出た。向かう先は王都だ。
お世話になったアル、テクル、フェリたちとは一緒に飯を食ったり、欲しそうなものをプレゼントしておいた。幸いと言っていいのかお金には余裕があるからな。
王都への移動手段は勿論ノワールだ。本当に世話になる。4人が乗れるだけの大きさというと、かなり大きくなるが離陸は町の外で行ったから問題ない。
あれからムラクモのことを聞くためにティナの信託のスキルを使ってクロノスと連絡を取ろうと試みたがそれは失敗に終わった。今がタイミング悪く忙しいのか、場所が悪いのか、そもそも連絡を取る気がないのか。あいつの考えることに関しては俺は全く分からない。
王都にいるレジーナやアイリスたちへの報告とこれから俺たちの行う事との辻褄合わせをするために王都に向かうのだ。今の迷宮都市の状態や王都の状態はアイリスからの意思疎通で伝わっている。だが、今後の俺たちの行動の末を意思疎通で伝えるのは少し違うと思う。
そんなこんなで俺たちはノワールの高速移動で王都に向かうのであった。後ろから悲鳴が聞こえるが今は気にしないことにしよう、
❖ ❖ ❖
奇妙な音共に二人の足が地面に着いた。それと同時に一人は地面に足を付き、思い切り嘔吐する。
その嘔吐物はほぼ液体状で、よく見るとその液体には赤いものが混じっていた。
その後、嘔吐を繰り返し三度目以降は、ほとんどが赤い液体だった。
「大丈夫ですかな?」
「だ、大丈夫。これくらいはね」
落ち着いたように、崩れた体制を直し立ち上がる。唇からは若干、赤い液体が残っていた。
ふらふらになりながらも、前に進む。確かな意思を持って。
(まだ、私はこの思いを、この使命を真っ当せずに死ぬわけにはいかないの! 絶対に)
いつの間にかその足取りは、普通に戻っており、その後ろにはその意思に付き従う従者がいた。
まだ大人にもなっていない。その主人には確かな強さと意思があった。だからこそ付き従うのだ。イヴァナの視線の先には唯一仕える主人、不知火雛乃の姿をしっかりと捉えていた。
不知火の見つめる先には大きな扉、それを見据える左目はかすかに紫色の光を放っていた。それに気づいたものは、この場に誰もいなかった。
❖ ❖ ❖
「ねぇ? 聞いていいかい?」
「なにかしら?」
「君は一体僕の胸で何をしているんだい?」
「なにって、見ればわかるじゃない。揉んでるのよ! 弄んでるのよ! そうこの豊満な胸で!」
「そんな高らかに宣下することじゃないからね!? ツクヨミ!」
状況としては単純。ツクヨミを尋ねた私、クロノスの胸が、いつの間にか背後に回ったツクヨミに揉みしだかれているという状況、わけがわかんない。
「えぇい。うっとおしい。離れてくれない?」
「ちっ、つれないわね」
クロノスのまじなトーンを聞き、ツクヨミは素直に両手をクロノスの胸から離した。最後にギュッと揉んでから。
痛そうにしながらも、クロノスは振り返り、ツクヨミと目を合わせた。
「ねぇ、ツクヨミ? あなたは何がしたいの? 私があれを見て気づかないと思う? そんなわけないよね?」
「まぁ、気づくわよね。流石にあなたの目までごまかせるだなんて思ってないわ・何がしたいのか、別に私は敵対してないわよ。むしろ協力してる範囲だと思うわ」
ツクヨミは豊満ではないが、紫のドレスを揺らし、それなりにある胸を揺らす。
クロノスはそれに対抗するように、胸を張る、
「だいたい、最初にあの子に目を付けたのは私だよ。それを横からちょこちょこと」
「私も見染めてたわよ。確かに先に声をかけたのはあなただけど、そうやすやすと譲る気はないわ」
クロノスとツクヨミの周りに魔力が可視化できるほどに膨れ上がっていく。魔力同士がぶつかる寸前。両者の魔力は落ち着いていった。
「はぁ、まぁここで言い争っても意味ないね」
「そうですわね。ここでこんな討論始めても意味ないですわ」
「まぁ、味方だというなら今は信じるよ。ムラクモちゃんにも何かしたんでしょ」
「そうそう、言い忘れていましたわ。ユウちゃんが壊れないよう。対応よろしくお願いしますわ」
「は? どういうことか説明……:
意味深なことを言うだけいって、クロノスからの追及に逃れるように、転移でその場からツクヨミが消えた。しかも、自分の移住場所と共に。
伸ばした手は虚空を掴み、クロノスは何もない、白い地面に残された。
「あぁもう、あの頭の狂った女神。ホントに手に負えない」
転移で後を追おうと試みるが、見事にブロックされている。
クロノスは深い溜息を吐き、自らの居場所に戻るために、転移を発動させた。
お世話になったアル、テクル、フェリたちとは一緒に飯を食ったり、欲しそうなものをプレゼントしておいた。幸いと言っていいのかお金には余裕があるからな。
王都への移動手段は勿論ノワールだ。本当に世話になる。4人が乗れるだけの大きさというと、かなり大きくなるが離陸は町の外で行ったから問題ない。
あれからムラクモのことを聞くためにティナの信託のスキルを使ってクロノスと連絡を取ろうと試みたがそれは失敗に終わった。今がタイミング悪く忙しいのか、場所が悪いのか、そもそも連絡を取る気がないのか。あいつの考えることに関しては俺は全く分からない。
王都にいるレジーナやアイリスたちへの報告とこれから俺たちの行う事との辻褄合わせをするために王都に向かうのだ。今の迷宮都市の状態や王都の状態はアイリスからの意思疎通で伝わっている。だが、今後の俺たちの行動の末を意思疎通で伝えるのは少し違うと思う。
そんなこんなで俺たちはノワールの高速移動で王都に向かうのであった。後ろから悲鳴が聞こえるが今は気にしないことにしよう、
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奇妙な音共に二人の足が地面に着いた。それと同時に一人は地面に足を付き、思い切り嘔吐する。
その嘔吐物はほぼ液体状で、よく見るとその液体には赤いものが混じっていた。
その後、嘔吐を繰り返し三度目以降は、ほとんどが赤い液体だった。
「大丈夫ですかな?」
「だ、大丈夫。これくらいはね」
落ち着いたように、崩れた体制を直し立ち上がる。唇からは若干、赤い液体が残っていた。
ふらふらになりながらも、前に進む。確かな意思を持って。
(まだ、私はこの思いを、この使命を真っ当せずに死ぬわけにはいかないの! 絶対に)
いつの間にかその足取りは、普通に戻っており、その後ろにはその意思に付き従う従者がいた。
まだ大人にもなっていない。その主人には確かな強さと意思があった。だからこそ付き従うのだ。イヴァナの視線の先には唯一仕える主人、不知火雛乃の姿をしっかりと捉えていた。
不知火の見つめる先には大きな扉、それを見据える左目はかすかに紫色の光を放っていた。それに気づいたものは、この場に誰もいなかった。
❖ ❖ ❖
「ねぇ? 聞いていいかい?」
「なにかしら?」
「君は一体僕の胸で何をしているんだい?」
「なにって、見ればわかるじゃない。揉んでるのよ! 弄んでるのよ! そうこの豊満な胸で!」
「そんな高らかに宣下することじゃないからね!? ツクヨミ!」
状況としては単純。ツクヨミを尋ねた私、クロノスの胸が、いつの間にか背後に回ったツクヨミに揉みしだかれているという状況、わけがわかんない。
「えぇい。うっとおしい。離れてくれない?」
「ちっ、つれないわね」
クロノスのまじなトーンを聞き、ツクヨミは素直に両手をクロノスの胸から離した。最後にギュッと揉んでから。
痛そうにしながらも、クロノスは振り返り、ツクヨミと目を合わせた。
「ねぇ、ツクヨミ? あなたは何がしたいの? 私があれを見て気づかないと思う? そんなわけないよね?」
「まぁ、気づくわよね。流石にあなたの目までごまかせるだなんて思ってないわ・何がしたいのか、別に私は敵対してないわよ。むしろ協力してる範囲だと思うわ」
ツクヨミは豊満ではないが、紫のドレスを揺らし、それなりにある胸を揺らす。
クロノスはそれに対抗するように、胸を張る、
「だいたい、最初にあの子に目を付けたのは私だよ。それを横からちょこちょこと」
「私も見染めてたわよ。確かに先に声をかけたのはあなただけど、そうやすやすと譲る気はないわ」
クロノスとツクヨミの周りに魔力が可視化できるほどに膨れ上がっていく。魔力同士がぶつかる寸前。両者の魔力は落ち着いていった。
「はぁ、まぁここで言い争っても意味ないね」
「そうですわね。ここでこんな討論始めても意味ないですわ」
「まぁ、味方だというなら今は信じるよ。ムラクモちゃんにも何かしたんでしょ」
「そうそう、言い忘れていましたわ。ユウちゃんが壊れないよう。対応よろしくお願いしますわ」
「は? どういうことか説明……:
意味深なことを言うだけいって、クロノスからの追及に逃れるように、転移でその場からツクヨミが消えた。しかも、自分の移住場所と共に。
伸ばした手は虚空を掴み、クロノスは何もない、白い地面に残された。
「あぁもう、あの頭の狂った女神。ホントに手に負えない」
転移で後を追おうと試みるが、見事にブロックされている。
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