妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

文字の大きさ
上 下
124 / 133
5章:エルフの国と軍師の策略

115:残されたもの

しおりを挟む
「ヒサメ。これはなんだと思う?」

 今はノワールに乗って迷宮都市に向かってるところだ。
 もう少しで、目的地に着くというところで、折れたムラクモが光りだしたのだ。

「えっとーおねぇさんには分からないかなー」

 これはムラクモが生きているっていう解釈でいいのか?

[もう着くよ~]

 ノワールの声が聞こえてきた時、すでに目の前は戦場と化していた。
 見えるのは魔物と迷宮都市の冒険者、聖神教の連中だ。
 その中でも特に目立っているのはティナ、フロン、フィリアの三人だ。
 襲ってくる魔物と聖神教の連中を躊躇なく殺していく。
 普通に考えて、女性が、そもそも人が躊躇なく人を殺す光景を見たらおかしいと思うだろう。だがここは異世界。それにユウ自身も異世界に来た初日に人を殺め、今では人をやめている。そんなユウの普通の感性は等の昔に消えていた。

「ノワール。ここで降りる。ヒサメ来い!」

 いつの間にか腰にあるムラクモは光を発するのをやめていた。
 ヒサメは刀の姿に身を変え、ユウの腰には一本の白い鞘が出現していた。
 そのまま、ノワールから飛び降り、戦場へと降下する。

[じゃあ私は適当に遊んでくるね]

 そのままノワールは俺が降りた場所とは離れた場所へと向かった。
 意思疎通で一応、味方と敵の識別はしっかりとするように釘だけは差しておく。
 落下しながらあたりを見渡す。戦場は見て取って明らかに迷宮都市側の陣営が有利になっていた。

「あっご主人様!」

 降り立った場所の一番近くに居たのはどうやらフロンだったようだ。
 フロンは正面の敵をバサバサと斬り倒しながらこちらへと駆け寄ってくる。俺もそれに合わせ、周りの雑魚どもをヒサメで切り刻む。
 周りにいた迷宮都市の冒険者たちはいきなり空中から降りてきたユウに驚き、誰かが発した『黒妖鬼』という単語で、ユウが何者かを察していく。

「ご主人様。王都の方の襲撃は落ち着いたのですか?」
「まぁ……な」

 俺は自然と左手をムラクモの柄へと添えていた。

「それよりこっちの状況はどうなってるんだ?」

 空中から見ただけではわからないこともたくさんある。情報は大事なのだ。
 俺はフロンから状況をは把握し移動する。そしてただただ物を斬る。人であろうと魔物であろうと敵意を見せて襲い掛かってくるものすべてを。

「エル。敵の固まってる場所の把握、敵と味方の区別をしっかり頼む。あの二人もこっちには気づいてるだろうから敵を惹きつけるよう連絡してくれ」
(了解しました。ますたー)
「ご主人様今から何をするんですか?」

 フロンは投げナイフのように投げた双剣を手元に回収するとこちらに駆け寄ってくる。俺がしたいことは何か? それは簡単だ。

「敵を一気に殲滅する」
「はい!?」

 フロンが驚くのと同時にエルから連絡が入る。天星ノ瞳を併用して敵の情報が送られてくる。味方は緑の点、敵は赤の点で表示されていた。これを見ているとまるでゲームのように見えてくる。

「さぁ行くか」

 俺はヒサメを鞘に仕舞い傍に居たフロンを抱き寄せる。そしてエルによってつけられた座標の位置へと月夜視ノ瞳を使い移動する。

「きゅ、急に何をって空!?」

 そう、瞳の能力で飛んだ先は空中だった。エルには俺がしたいことが伝わっているため、座標が空中でも俺は驚きはしない。ただ、腕の中で急な状況に理解が追い付かないままフロンがこちらへぎゅと抱き着いて来る。俺はフロンを落ち着かせるように引き寄せた左手に力を入れる。
 ツクヨミで飛べる距離には限度がある。なので、今いる場所もそこまで高いわけではない。ただ周りが見渡せて、敵が多く集まる位置に移動したかっただけなのだから。

『変形:魔法士』『黙示録』

 黒霧のコートはコートからローブへそして手元には一冊の黒い本が出現していた。

(エル。いつも通りに頼む)
(はい、ますたーの望むがままに。私はますたーの魔導書ですから)

 エルから合図を確認して、魔導書を開ける。
 俺たちはまだ空中にいる。そこで、俺は詠唱を始めた。地面までの距離はそうない。

『地を這い潜む蛇よ 眼覚め、天地を穿つ刃となれ』

 詠唱が終わると同時に地面へと着地する。エルの風魔法による補助もあり、俺たちは静かに地面へと着地した。
 左足から着地それと同時右足のつま先を地面につける。

地を穿つ刃グランドグラディウス

 力強い言葉と共に地面から土でできた刃が突き出す。
 それらは的確に敵だけを貫き、絶命させていく。魔獣も人も敵になった者は全て。

「ご主人様……」

 フロンは俺の横で、この惨状を眼にしていた。周りの冒険者も全てがこの状況に唖然としていた。
 俺はそんな中、魔導書を閉じフロンを下ろしてからただ一言口にした。

「さぁ、王都に帰ろう」と。



 迷宮都市でにユウが向かった後、冒険者と騎士団が一致団結し、無事に魔物の殲滅に成功した。
 ただ失ったものは多く、戦場には魔物以外の死体も転がっていた。

「また俺は……」

 剣と盾を持ち、この戦いでも奮闘を尽くした勇者の一人が、戦場を見渡し口にした。
 その後ろには仲間である他の勇者二人の姿も、無傷ではないものの、無事にこの戦いを生き残った彼らだが、元日本人である彼らにこの惨状は余りにも残酷だった。そしてそれと重なる仲間の失踪。
 この二つは勇者三人に大きな精神的ダメージを与えた。

「ほら行くぞ、まだやることは残ってる」
「そうだよ。せめて、安らかに眠らせてあげなきゃ」

 二人に後を押されるように、勇者は騎士団の後処理を手伝い始めた。
しおりを挟む
感想 118

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

流石に異世界でもこのチートはやばくない?

裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。 異世界転移で手に入れた無限鍛冶 のチート能力で異世界を生きて行く事になった! この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。

処理中です...