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5章:エルフの国と軍師の策略
104:フェールン亭
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「ここだ」
俺たちはネルに案内されるままエルフの国を一通り回ってから、宿屋へと連れて来てもらった。
やはりエルフの国で俺たちの存在は少し浮いているように見える。
看板にはフェールン亭と書いてあった。
「私がよく利用していた宿だ」
ネルはそう言うと、扉を開けて中に入っていった。俺たちもそのあとに続いて宿の中へと入る。
「いらっしゃいませ……って、ネルちゃんじゃない」
そこには金髪長髪ロングの女の人がいた。もちろんエルフだ。
「もう、ネルちゃんはやめてください。今日はお客を連れて来ただけですよ」
見た目、女の人とネルはそう変わらないが、ネルの話し方からすると、目上の人なんだろうな。
と言うか、エルフの寿命ってどれくらいなんだ?
《様々ですが、純血のエルフの寿命平均が500歳程度かと思われます。ハーフエルフなどは200~300程度ではないでしょうか》
人種と比べるととんでもないな……。あれ? ちょっと待てよ?
(エル。俺はどうなるんだ?)
《すみません、特殊事例のため判別しかねます。ただし、人種よりは寿命が延びているのは確かです》
まぁそうだよな……。
「あら珍しい、人種じゃないか。それにこんなに」
「クシャーナ様と私の命の恩人と呼べる方たちです」
「へぇ~、命の恩人ねぇ~。それなら丁重に扱わないとね」
女の人は俺に向けて手を差し出してくる。
「私の名前はエーナ。このフェールン亭を仕切らせてもらっている。よろしく頼むよ」
「俺はユウ・ツキカゲ。気軽にユウでいい」
俺はエーナの手を取り握手する。
するとエーナは俺に向けて笑顔を向けてくる。それも満面の笑みで。
後ろから視線が刺さる。どうやら俺の態度が気に入ったらしい。
「何拍していくんだい?」
「……うーん。とりあえず1週間。部屋は……」
「一室で、ベットの数は最低二つ、最大四つあればいいです」
と、ティナがエーナに言う。
やはり、俺に拒否権はないらしい。
「な、なんだいあんたら、男女一緒の部屋でいいのかい? 部屋なら余りあるけど」
「「「いりません」」」
ティナ、フロン、フィリアの声がはもる。
「そ、そうかい。ならついておいで」
「お代は?」
「ん? もう貰ってるよ?」
あれ? 俺はお金を渡した覚えなんてない。
俺は、横を見る。するとネルが丁度財布らしきものを仕舞うところだった。
「な、なんだ。お礼はするといっただろ?」
俺の視線に気づいたのかネルはそんなことを言ってくる。
「誰もそこまでしろとは言ってないんだがな」
「それだと私の気が済まんのだ。おとなしく受けといてくれ」
「わかったよ」
こういうタイプは自分を譲らないからな、しょうがないので諦めることにした。
俺たちが案内されたのは3階の一番端で、中に入るとちゃんとベットは4つあった。
俺はほっと息をつく。そして窓側のベットに腰掛ける。
順番的には窓側から、俺・ティナ・フロン・フィリアだ。
もうここら辺の立ち位置は固定化されてきたみたいだ。
「キュア」
すると、窓の外からノワールの鳴き声が聞こえる。翼で器用に窓をコンコンと叩いていた。
ティナが立ち上がり、窓を開ける。
すると、ノワールは俺の目の前で竜人化して俺の胸へと飛び込んでくる。
「うわってノワールどうしたんだ?」
ノワールは俺の胸に頭をぐりぐりしてくる。
そして少しすると、そのままの態勢で頭だけ俺の方を向ける。
「ノワール?」
「最近こう言うこと出来なかったの」
「えっと? つまり?」
「甘えたかったの!」
俺はノワールの頭に手を置きそっと撫でた。
「んぅー、ご主人撫でるのうまいの」
そんなことをしていると、周りからの視線が痛くなってくる。
《えろますたー》
(おい)
《……呼んでみただけです》
(なんだ? エルも撫でてほしいのか?)
《なっ!? そんなことはありません。本当に変態なんですから》
エルは俺を罵倒するだけして引っ込んでいった。
すると、膝の上に新たな重みが追加される。
「……私も」
出てきたのは案の定ムラクモだった。
俺の頭の中ではヒサメが〝私はおねぇーさんだから譲らんきゃ〟とか言っている。
ヒサメはノワールとムラクモ、フロンを実の妹のようにかわいがっているように見える。なんだかんだでしっかりしたおねぇーさんをやってるみたいだ。
一回ヨリヒメを妹扱いしようとして揉め事が起きかけたこともあったな。
俺はそんなことを思いながら開いている手で、ムラクモのきれいな髪を撫でる。
「ん。」
ムラクモも体を俺に預けてくる。
今は俺の膝の上にノワールとムラクモがいる状態だ。ティナ達から見たらもう見慣れたような光景かもしれないが、知らない人が見たら、俺が危ない人にしか見えない。
すると、ドアをノック音が聞こえた。
「エーナだよ、ご飯できたけどどうする?」
「あぁ、今行く」
俺はノワールとムラクモの頭をポンと叩き、退くように促す。
俺たちはご飯を食べた後さっきの流れで、ムラクモが俺のベットに侵入しようとしたのを防ぎ、ノワールをティナに預けて眠りにつくことにした。
俺たちはネルに案内されるままエルフの国を一通り回ってから、宿屋へと連れて来てもらった。
やはりエルフの国で俺たちの存在は少し浮いているように見える。
看板にはフェールン亭と書いてあった。
「私がよく利用していた宿だ」
ネルはそう言うと、扉を開けて中に入っていった。俺たちもそのあとに続いて宿の中へと入る。
「いらっしゃいませ……って、ネルちゃんじゃない」
そこには金髪長髪ロングの女の人がいた。もちろんエルフだ。
「もう、ネルちゃんはやめてください。今日はお客を連れて来ただけですよ」
見た目、女の人とネルはそう変わらないが、ネルの話し方からすると、目上の人なんだろうな。
と言うか、エルフの寿命ってどれくらいなんだ?
《様々ですが、純血のエルフの寿命平均が500歳程度かと思われます。ハーフエルフなどは200~300程度ではないでしょうか》
人種と比べるととんでもないな……。あれ? ちょっと待てよ?
(エル。俺はどうなるんだ?)
《すみません、特殊事例のため判別しかねます。ただし、人種よりは寿命が延びているのは確かです》
まぁそうだよな……。
「あら珍しい、人種じゃないか。それにこんなに」
「クシャーナ様と私の命の恩人と呼べる方たちです」
「へぇ~、命の恩人ねぇ~。それなら丁重に扱わないとね」
女の人は俺に向けて手を差し出してくる。
「私の名前はエーナ。このフェールン亭を仕切らせてもらっている。よろしく頼むよ」
「俺はユウ・ツキカゲ。気軽にユウでいい」
俺はエーナの手を取り握手する。
するとエーナは俺に向けて笑顔を向けてくる。それも満面の笑みで。
後ろから視線が刺さる。どうやら俺の態度が気に入ったらしい。
「何拍していくんだい?」
「……うーん。とりあえず1週間。部屋は……」
「一室で、ベットの数は最低二つ、最大四つあればいいです」
と、ティナがエーナに言う。
やはり、俺に拒否権はないらしい。
「な、なんだいあんたら、男女一緒の部屋でいいのかい? 部屋なら余りあるけど」
「「「いりません」」」
ティナ、フロン、フィリアの声がはもる。
「そ、そうかい。ならついておいで」
「お代は?」
「ん? もう貰ってるよ?」
あれ? 俺はお金を渡した覚えなんてない。
俺は、横を見る。するとネルが丁度財布らしきものを仕舞うところだった。
「な、なんだ。お礼はするといっただろ?」
俺の視線に気づいたのかネルはそんなことを言ってくる。
「誰もそこまでしろとは言ってないんだがな」
「それだと私の気が済まんのだ。おとなしく受けといてくれ」
「わかったよ」
こういうタイプは自分を譲らないからな、しょうがないので諦めることにした。
俺たちが案内されたのは3階の一番端で、中に入るとちゃんとベットは4つあった。
俺はほっと息をつく。そして窓側のベットに腰掛ける。
順番的には窓側から、俺・ティナ・フロン・フィリアだ。
もうここら辺の立ち位置は固定化されてきたみたいだ。
「キュア」
すると、窓の外からノワールの鳴き声が聞こえる。翼で器用に窓をコンコンと叩いていた。
ティナが立ち上がり、窓を開ける。
すると、ノワールは俺の目の前で竜人化して俺の胸へと飛び込んでくる。
「うわってノワールどうしたんだ?」
ノワールは俺の胸に頭をぐりぐりしてくる。
そして少しすると、そのままの態勢で頭だけ俺の方を向ける。
「ノワール?」
「最近こう言うこと出来なかったの」
「えっと? つまり?」
「甘えたかったの!」
俺はノワールの頭に手を置きそっと撫でた。
「んぅー、ご主人撫でるのうまいの」
そんなことをしていると、周りからの視線が痛くなってくる。
《えろますたー》
(おい)
《……呼んでみただけです》
(なんだ? エルも撫でてほしいのか?)
《なっ!? そんなことはありません。本当に変態なんですから》
エルは俺を罵倒するだけして引っ込んでいった。
すると、膝の上に新たな重みが追加される。
「……私も」
出てきたのは案の定ムラクモだった。
俺の頭の中ではヒサメが〝私はおねぇーさんだから譲らんきゃ〟とか言っている。
ヒサメはノワールとムラクモ、フロンを実の妹のようにかわいがっているように見える。なんだかんだでしっかりしたおねぇーさんをやってるみたいだ。
一回ヨリヒメを妹扱いしようとして揉め事が起きかけたこともあったな。
俺はそんなことを思いながら開いている手で、ムラクモのきれいな髪を撫でる。
「ん。」
ムラクモも体を俺に預けてくる。
今は俺の膝の上にノワールとムラクモがいる状態だ。ティナ達から見たらもう見慣れたような光景かもしれないが、知らない人が見たら、俺が危ない人にしか見えない。
すると、ドアをノック音が聞こえた。
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俺はノワールとムラクモの頭をポンと叩き、退くように促す。
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