妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

文字の大きさ
上 下
113 / 133
5章:エルフの国と軍師の策略

104:フェールン亭

しおりを挟む
「ここだ」

 俺たちはネルに案内されるままエルフの国を一通り回ってから、宿屋へと連れて来てもらった。
 やはりエルフの国で俺たちの存在は少し浮いているように見える。
 看板にはフェールン亭と書いてあった。

「私がよく利用していた宿だ」

 ネルはそう言うと、扉を開けて中に入っていった。俺たちもそのあとに続いて宿の中へと入る。

「いらっしゃいませ……って、ネルちゃんじゃない」

 そこには金髪長髪ロングの女の人がいた。もちろんエルフだ。

「もう、ネルちゃんはやめてください。今日はお客を連れて来ただけですよ」

 見た目、女の人とネルはそう変わらないが、ネルの話し方からすると、目上の人なんだろうな。
 と言うか、エルフの寿命ってどれくらいなんだ?

《様々ですが、純血のエルフの寿命平均が500歳程度かと思われます。ハーフエルフなどは200~300程度ではないでしょうか》

 人種と比べるととんでもないな……。あれ? ちょっと待てよ?

(エル。俺はどうなるんだ?)
《すみません、特殊事例のため判別しかねます。ただし、人種よりは寿命が延びているのは確かです》

 まぁそうだよな……。

「あら珍しい、人種じゃないか。それにこんなに」
「クシャーナ様と私の命の恩人と呼べる方たちです」
「へぇ~、命の恩人ねぇ~。それなら丁重に扱わないとね」

 女の人は俺に向けて手を差し出してくる。

「私の名前はエーナ。このフェールン亭を仕切らせてもらっている。よろしく頼むよ」
「俺はユウ・ツキカゲ。気軽にユウでいい」

 俺はエーナの手を取り握手する。
 するとエーナは俺に向けて笑顔を向けてくる。それも満面の笑みで。
 後ろから視線が刺さる。どうやら俺の態度が気に入ったらしい。

「何拍していくんだい?」
「……うーん。とりあえず1週間。部屋は……」
「一室で、ベットの数は最低二つ、最大四つあればいいです」

 と、ティナがエーナに言う。
 やはり、俺に拒否権はないらしい。

「な、なんだいあんたら、男女一緒の部屋でいいのかい? 部屋なら余りあるけど」
「「「いりません」」」

 ティナ、フロン、フィリアの声がはもる。

「そ、そうかい。ならついておいで」
「お代は?」
「ん? もう貰ってるよ?」

 あれ? 俺はお金を渡した覚えなんてない。
 俺は、横を見る。するとネルが丁度財布らしきものを仕舞うところだった。

「な、なんだ。お礼はするといっただろ?」

 俺の視線に気づいたのかネルはそんなことを言ってくる。

「誰もそこまでしろとは言ってないんだがな」
「それだと私の気が済まんのだ。おとなしく受けといてくれ」
「わかったよ」

 こういうタイプは自分を譲らないからな、しょうがないので諦めることにした。

 俺たちが案内されたのは3階の一番端で、中に入るとちゃんとベットは4つあった。
 俺はほっと息をつく。そして窓側のベットに腰掛ける。
 順番的には窓側から、俺・ティナ・フロン・フィリアだ。
 もうここら辺の立ち位置は固定化されてきたみたいだ。

「キュア」

 すると、窓の外からノワールの鳴き声が聞こえる。翼で器用に窓をコンコンと叩いていた。
 ティナが立ち上がり、窓を開ける。
 すると、ノワールは俺の目の前で竜人化して俺の胸へと飛び込んでくる。

「うわってノワールどうしたんだ?」

 ノワールは俺の胸に頭をぐりぐりしてくる。
 そして少しすると、そのままの態勢で頭だけ俺の方を向ける。

「ノワール?」
「最近こう言うこと出来なかったの」
「えっと? つまり?」
「甘えたかったの!」

 俺はノワールの頭に手を置きそっと撫でた。

「んぅー、ご主人撫でるのうまいの」

 そんなことをしていると、周りからの視線が痛くなってくる。

《えろますたー》
(おい)
《……呼んでみただけです》
(なんだ? エルも撫でてほしいのか?)
《なっ!? そんなことはありません。本当に変態なんですから》

 エルは俺を罵倒するだけして引っ込んでいった。
 すると、膝の上に新たな重みが追加される。

「……私も」

 出てきたのは案の定ムラクモだった。
 俺の頭の中ではヒサメが〝私はおねぇーさんだから譲らんきゃ〟とか言っている。
 ヒサメはノワールとムラクモ、フロンを実の妹のようにかわいがっているように見える。なんだかんだでしっかりしたおねぇーさんをやってるみたいだ。
 一回ヨリヒメを妹扱いしようとして揉め事が起きかけたこともあったな。

 俺はそんなことを思いながら開いている手で、ムラクモのきれいな髪を撫でる。

「ん。」

 ムラクモも体を俺に預けてくる。
 今は俺の膝の上にノワールとムラクモがいる状態だ。ティナ達から見たらもう見慣れたような光景かもしれないが、知らない人が見たら、俺が危ない人にしか見えない。

 すると、ドアをノック音が聞こえた。

「エーナだよ、ご飯できたけどどうする?」
「あぁ、今行く」

 俺はノワールとムラクモの頭をポンと叩き、退くように促す。

 俺たちはご飯を食べた後さっきの流れで、ムラクモが俺のベットに侵入しようとしたのを防ぎ、ノワールをティナに預けて眠りにつくことにした。
しおりを挟む
感想 118

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

流石に異世界でもこのチートはやばくない?

裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。 異世界転移で手に入れた無限鍛冶 のチート能力で異世界を生きて行く事になった! この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。

処理中です...