妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

文字の大きさ
上 下
92 / 133
3章:王都招集

84:ユウVS勇者2人組

しおりを挟む
「二人同時とか舐められたもんだな?」

 と勇者1が俺に向かって言ってくる。

「いやいや、あの戦闘を見てひとりで戦いたくはないな。勝率なんてほとんどないようなもんだよ」

 その勇者1に向けて総司が口を開いた。

「まぁそうだよな。二人同時でいいって剣馬鹿も言ってんだし、別に構わんだろ」

 まぁはっきり言えば二人相手でも、瞳や黒鬼を使えば負ける気はしない。ただ、普通で勝てるかと言えば、微妙なところだ。

 俺は左眼を左手で隠し、指の隙間から総司を見た。もちろん普通には見ていない、視影ノ瞳ミカゲを使ってだ。

『ソウジ・ミヤカタ
 年齢 :16
 種族 :人種
 職  :勇者
 属性 :水
 スキル:刀術 短剣術 水魔法 魔法剣 言語 気配察知
 ユニーク:絆 斬撃痕ザンゲキコン
 耐性 :魅了耐性 精神耐性』

 と言うものだった。

 斬撃痕:斬りつけた物に追加で遅れて斬撃を与える。
 絆 :信じられる友と戦うことで、意識内でやり取りができ、お互いの位置状況を把握できる。

 まぁ、普通よりは強いって感じだな。二人同時で戦うとなると絆のスキルが地味に厄介そうだ。

「それじゃあ、始めようか」

 俺はムラクモを構え、二人を待ち構える。

「それじゃ、行きます!」

 二人は俺を挟むように左右から走ってくる。
 先に俺のもとに着いたのは総司だ。
 刀を斜め下から切り上げる。俺はそれをバックステップで避ける。
 するとそれと同時に反対から勇者1が左手の盾を前にしながら突進してくる。
 俺はムラクモの刀身を左手で持ち盾を受ける。
 俺が盾を受けると、勇者1は盾を左にずらし、右手に持つ剣を横に薙いでくる。

『妖忌術:影楼』

 俺は自分居た位置に影を残し、影を伝い後ろに下がる。

「確かにいい連携だな。だが今ので、攻めきれないのはダメだな」

 俺がそう言うと、勇者1が舌打ちをしながら、俺に向かってくる。
 するといつの間にか俺の後ろに回っていた総司が、刀を縦に振り下ろす。
 俺はとっさに体を前に倒し、体を反転。ムラクモで総司の刀を受け止める。
 それは思ったより威力があり、俺は後ろに飛ばされる。ムラクモに当たった斬撃は2回。 斬撃痕のせいだろう。
 俺はすぐに着地し、次の攻撃に備える。

〝ユウ。押されてる〟
(わかってる)

 俺は左から迫ってくる勇者1の剣を左手の逆手もとで抜刀したヒサメで対応する。
 だが剣を止めても盾で殴ってくる。俺は盾を踏み上に飛ぶ。

『自在:縮』『雹璃化:参刃』

 俺はムラクモを逆手に持ち替え短剣へと変える。ヒサメも同様。いつも通り3本の刃を周りに浮かべる。

(ヒサメ、参刃で牽制を頼む)
〝はい、おねぇーさん任された〟

 空中で俺は詠唱を始める。

『祖は 我を天をから落ちたる 雷と化せ 落雷』

 俺は雷を纏い、瞬時に地面に降りる。
 その風圧で、一瞬二人が怯む。上からは遅れた様に氷刃が飛んでくる。
 俺はその怯んだ隙を見逃さず。攻撃を続ける。

『双風剣:鎌鼬陣』

 風の斬撃が円状に飛ぶ。
 二人はとっさに盾と刀でそれぞれガードする。

(ヒサメ、総司の方を頼む)
(おねぇーさんに任せなさい)

 俺はすぐに勇者1へと向かって走る。

『縮地』

 俺は勇者1との間を一気に詰める。

「なっ!?」

 一瞬で近づいてきたのに驚いたのか、勇者1は少し仰け反る。
 俺は体を低く落とし、足払いする。

『要塞化』

 その掛け声とともに盾が大きくなる。
 俺の足も盾のよって防がれる。
 そして、勇者1はその大きくなった盾ごと俺に突っ込んでくる。
 俺はとっさにムラクモとヒサメを交差させ、盾を受け止める。だが、それで止まるわけなく、俺は総司の元まで飛ばされる。
 総司はそれを待っていたと言わんばかりに剣を振り上げる。

(癪だがしょうがない)
“ふふっ使うんだね”
(まぁ負けたくないからな)

 俺は飛ばされながらも左手を地面につけ魔法を発動させる。

『為せ為せ 祖が我の足場にならんがために 地道石チドウセキ』

 すると、総司と俺の間に丁度足場になりそうな、岩が地面から飛び出してくる。

「なんだ?」

 俺はそれを思い切り踏み総司めがけて蹴り飛ばす。

「なに!?」

 総司はそれをとっさに刀で受け止める。
 俺はその間に地面に着地し魔力を貯める。

『纏え ヨリヒメ 黒鬼ノ衣コッキノコロモ』

 それと同時に俺の身に黒い魔力が纏わりつく。

「なんだ、その黒いのは」
「なんでもいいだろ、行くぞ」

 俺は質問してきた勇者1めがけて走る。勇者の手には依然として大きな盾がある。

『縮地』

 俺はムラクモとヒサメを短剣のまま鞘に仕舞い。両手で盾に触れる。

鬼鎧通獅キガイドオシ

 俺は両掌から盾に魔力をぶつける。その魔力は盾を貫通し勇者1の頭に魔力を通す。
 その大量の魔力を受けた勇者1は盾を元の姿に戻し、地面へと倒れた。

「まず一人」
〝ごめんなさい。抜かれたわ〟

 その声と同時に俺の後ろから、気合の乗った声が聞こえる。
 俺は左回りに体を回し、左足を総司の足に掛ける。
 それにより体制の崩れた総司のお腹に手を添える。

『黒鬼衝』

 すると、総司はその反動で、気を失った。
 もちろん手加減はしている。

「やりすぎたか?」
《いえ、命に別状はありませんし、目立った外傷もありません。しばらくすれば目が様ると思われます》
「そうか、なら大丈夫か」

 すると、後ろから足音が聞こえる。
 言うもまでもなく。アイリス、不知火、柊だ。

「さすが、私の師匠です」
「ユウ君。流石です」
「剣馬鹿、あんた強すぎない? てか最後のなによ」

 柊から、質問が飛んできた。最後のとはもちろん黒鬼ノ衣についてだろう。

「ノーコメントだ。すまんが不知火、柊。あの二人を任せた。アイリスももう修業は終わりだ」
「わかってる」
「ユウさん……」

 アイリスが悲しそうな顔を向ける。
 俺はアイリスの耳元に口を運び。そっと囁くように伝えた。

「また後でな」

 俺のその言葉に「はい」とアイリスは返してきた。
 そして俺が、訓練場から出ようとすると、不知火に止められる。

「ユウ君。またね?」
「あ、あぁ」

 どうせ、俺は明日にはいなくなるが、とりあえずそう返しておいた。
 俺には不知火の顔が少し暗いように見えた。

「お疲れ様です」

 俺が訓練場を出ると、レジーナが待っていた。

「どうだった勇者は?」
「レジーナの方が強いな、ただし個々の力ならってとこだな」
「ユウ殿がその評価ですか」
「まぁ、少し苦戦したからな」

 俺がそう言うと「少しですか」とレジーナは少し笑っていた。

「また私ともお手合わせお願いしますね」
「あぁ、今度は負けんぞ。まぁそれよりだ。今夜王城に来るから」
「あーなんとなくわかりました。姫様ですね。手配なんてものはできませんが、父には伝えておきます。そこら辺の兵士には伝えても困惑すると思うので、頑張って忍び込んでくださいね」

 その返事に俺はつい笑ってしまった。

「まさか、副騎士団長から、忍び込めと言われるとは思わなかったな。まぁ伝えたからな、ラースにもよろしく言っといてくれ。明日にはもう俺はいないしな。ラースと戦うのは楽しそうだが、こんな感じで戦うのはごめんだからな」
「わかってますよ」

 俺はその言葉を聞いて、レジーナに手を振りながら、ソルロスの宿への帰路についた。
しおりを挟む
感想 118

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

流石に異世界でもこのチートはやばくない?

裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。 異世界転移で手に入れた無限鍛冶 のチート能力で異世界を生きて行く事になった! この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。

処理中です...