73 / 133
3章:王都招集
68:昇格
しおりを挟む
俺たちはランク昇格のためにギルドに来ていた。
「ようこそ、セインギルド本部ぇええ!?」
受付嬢の女の人からは驚きの声が上がる。
それもしょうがない。俺とティナ、フロン。それとその横にはレジーナとラースが居たのだから。
ラースは元SSランク冒険者。騎士団長に任命されたことも含め、今でも高い支持を受けている。
そしてレジーナだ。そのラースの娘であるレジーナはその騎士団の副団長を務め、何よりそのきれいな姿は男性陣からの指示を受けるのには十分なものだ。
そんな大物二人がギルドに来たのだ。驚かない方がおかしいのだろう。
周りからも驚きの声が聞こえてくる。
「すまない、この二人のランクアップの手続きを頼む」
ラースは俺とレジーナを指差し、受付嬢にそういった。
「は、はい! ギ、ギルドカードをお貸しいただいても?」
「わかった」
「あぁ、頼む」
俺とレジーナはギルドカードを受付嬢に渡す。
「し、しばらくお待ちください!」
受付嬢はすごい速さで、奥に進んでいった。
少し時間ができたのだが、ラースが、フロンの腰をじっと見ていた。
それに気づいたフロンは俺の後ろに隠れる。
「お父様! フロンが怖がってるではないですか!」
レジーナがラースを非難する。
「いや、すまない。珍しいものをつけているなと」
そう言ってラースが指さしたのはフロンの腰にある黒竜の双剣だ。
そして次に見たのはティナの武器だ。
「それもだな、結構いい物であろう? 特にそっちのメイドちゃんのは」
「それはそうだ。それは黒竜の素材で作られたものだからな」
ラースはやはりか、といったような表情でうなづいている。
レジーナは驚いているが、取り乱すほどではない。
「ということは、ティナが持っているのはダンジョンドロップのアイテムか」
レジーナが、ティナの装備しているアストラレイピアの素性を言い当てる。
「そうだ。ダンジョン20階層にいたボスモンスタードロップのアイテムだ」
俺がそういうと、レジーナがぽかんと口を開けた。
ラースはそんなレジーナを見て、笑いをこらえていた。
「ほんと、ユウ殿が規格外とはこういうのが理由か」
半ばため息をつきながらレジーナは肩を落としていた。
「だが、それより気になるのは、ユウ殿のその武器だ。あんな武器見たことも聞いたこともない」
「その武器はSランクと同等、いやそれ以上の性能があるな。」
ラースがムラクモとヒサメを見てそう推理した。
「まぁ、その分の俺の代償がでかいがな」
「「代償?」」
ラースとレジーナが同時に聞き返してくる。
「フロン」
「はい」
フロンは俺の意図を察したのか、いつも持ち歩いているナイフを俺に投げてよこした。
俺がそのナイフを受け取ると柄からナイフは黒く染まっていく。
そしてその浸食が白い刀身をすべて黒く染めるとボロボロと崩れ、ナイフは跡形もなくなってしまった。
それを見たラースはぽろっと一つの可能性を口にした。
「まさか、呪い武器か?」
それを聞いたレジーナはラースを見てから、俺に向き直ると俺の方を揺らす。
「そんな危ないもの、すぐに外せ!」
〝危なくない。私はユウを大事にする〟
〝おねぇーさんも君は傷つけないよ〟
レジーナの言い草に、不満そうなムラクモとヒサメ。
「大丈夫だ、代償はこいつら以外の武器を持てないことだけだ」
「そ、そうか」
俺が説明するとそっと肩の手をどけた。
「あの~」
いつの間にか戻ってきていた受付嬢が俺に呼びかける。
「確認が取れました。レジーナ様Sランク昇格。ユウ・ツキカゲさんもAランク昇格。おめでとうございます」
そして返されたギルドカードにはCランクの文字がAランクという文字に変わっていた。
それを見たラースが提案をした。
「そこの二人もランク昇格戦をしたらどうだ? 絶対こいつと一緒で、そのランク帯の奴等とは違う。足の動かし方、体の体重の動かし方を見ればわかる」
そんなラースの一言でティナとフロンの模擬戦式のランク昇格試験が行われた。ラースだからできる特別な昇格方法だった。
Cランク冒険者が用意され、それと戦うという簡単なものだった。
「ユウ様、時間がかかりそうなので、先にお戻り下さい」
「ご主人様は気にせず先に戻ってて下さい」
ティナとフロンはそんなことを言ってくる。
「いや、これぐらい……」
「帰りなら私が送っていこう。安全は保証する」
「わ、わかった」
無理やり、追い出される感じで俺はギルドを出た。
そんな俺のあとをラースが付いて来る。
そしてラースは俺の耳元でこう言った。
「あの戦いでお前には少し余裕が見えた。出し惜しみするのはいいが、油断は命取りだぞ」
そう言って、ラースは王城への道を進む。
やはり、ばれていた様だ。俺が本気を出していないことが。
もちろん、この状態での本気で戦いはしたが、今の俺にはほかの力がある。
「怖いなあの化け物は」
俺がそうぽろっと言葉を零すと後ろから声が聞こえた。
「おい、聞こえてるぞ! まぁ、ちゃんと忠告したからな。あと、かえ……ちは……をた……だぞ」
最後の方は遠すぎて聞こえなかった。
そしてラースはそのまま前に向き直り行ってしまった。
俺はそれを気にすることなく。ソルロスの宿へと足を進めた。
「ようこそ、セインギルド本部ぇええ!?」
受付嬢の女の人からは驚きの声が上がる。
それもしょうがない。俺とティナ、フロン。それとその横にはレジーナとラースが居たのだから。
ラースは元SSランク冒険者。騎士団長に任命されたことも含め、今でも高い支持を受けている。
そしてレジーナだ。そのラースの娘であるレジーナはその騎士団の副団長を務め、何よりそのきれいな姿は男性陣からの指示を受けるのには十分なものだ。
そんな大物二人がギルドに来たのだ。驚かない方がおかしいのだろう。
周りからも驚きの声が聞こえてくる。
「すまない、この二人のランクアップの手続きを頼む」
ラースは俺とレジーナを指差し、受付嬢にそういった。
「は、はい! ギ、ギルドカードをお貸しいただいても?」
「わかった」
「あぁ、頼む」
俺とレジーナはギルドカードを受付嬢に渡す。
「し、しばらくお待ちください!」
受付嬢はすごい速さで、奥に進んでいった。
少し時間ができたのだが、ラースが、フロンの腰をじっと見ていた。
それに気づいたフロンは俺の後ろに隠れる。
「お父様! フロンが怖がってるではないですか!」
レジーナがラースを非難する。
「いや、すまない。珍しいものをつけているなと」
そう言ってラースが指さしたのはフロンの腰にある黒竜の双剣だ。
そして次に見たのはティナの武器だ。
「それもだな、結構いい物であろう? 特にそっちのメイドちゃんのは」
「それはそうだ。それは黒竜の素材で作られたものだからな」
ラースはやはりか、といったような表情でうなづいている。
レジーナは驚いているが、取り乱すほどではない。
「ということは、ティナが持っているのはダンジョンドロップのアイテムか」
レジーナが、ティナの装備しているアストラレイピアの素性を言い当てる。
「そうだ。ダンジョン20階層にいたボスモンスタードロップのアイテムだ」
俺がそういうと、レジーナがぽかんと口を開けた。
ラースはそんなレジーナを見て、笑いをこらえていた。
「ほんと、ユウ殿が規格外とはこういうのが理由か」
半ばため息をつきながらレジーナは肩を落としていた。
「だが、それより気になるのは、ユウ殿のその武器だ。あんな武器見たことも聞いたこともない」
「その武器はSランクと同等、いやそれ以上の性能があるな。」
ラースがムラクモとヒサメを見てそう推理した。
「まぁ、その分の俺の代償がでかいがな」
「「代償?」」
ラースとレジーナが同時に聞き返してくる。
「フロン」
「はい」
フロンは俺の意図を察したのか、いつも持ち歩いているナイフを俺に投げてよこした。
俺がそのナイフを受け取ると柄からナイフは黒く染まっていく。
そしてその浸食が白い刀身をすべて黒く染めるとボロボロと崩れ、ナイフは跡形もなくなってしまった。
それを見たラースはぽろっと一つの可能性を口にした。
「まさか、呪い武器か?」
それを聞いたレジーナはラースを見てから、俺に向き直ると俺の方を揺らす。
「そんな危ないもの、すぐに外せ!」
〝危なくない。私はユウを大事にする〟
〝おねぇーさんも君は傷つけないよ〟
レジーナの言い草に、不満そうなムラクモとヒサメ。
「大丈夫だ、代償はこいつら以外の武器を持てないことだけだ」
「そ、そうか」
俺が説明するとそっと肩の手をどけた。
「あの~」
いつの間にか戻ってきていた受付嬢が俺に呼びかける。
「確認が取れました。レジーナ様Sランク昇格。ユウ・ツキカゲさんもAランク昇格。おめでとうございます」
そして返されたギルドカードにはCランクの文字がAランクという文字に変わっていた。
それを見たラースが提案をした。
「そこの二人もランク昇格戦をしたらどうだ? 絶対こいつと一緒で、そのランク帯の奴等とは違う。足の動かし方、体の体重の動かし方を見ればわかる」
そんなラースの一言でティナとフロンの模擬戦式のランク昇格試験が行われた。ラースだからできる特別な昇格方法だった。
Cランク冒険者が用意され、それと戦うという簡単なものだった。
「ユウ様、時間がかかりそうなので、先にお戻り下さい」
「ご主人様は気にせず先に戻ってて下さい」
ティナとフロンはそんなことを言ってくる。
「いや、これぐらい……」
「帰りなら私が送っていこう。安全は保証する」
「わ、わかった」
無理やり、追い出される感じで俺はギルドを出た。
そんな俺のあとをラースが付いて来る。
そしてラースは俺の耳元でこう言った。
「あの戦いでお前には少し余裕が見えた。出し惜しみするのはいいが、油断は命取りだぞ」
そう言って、ラースは王城への道を進む。
やはり、ばれていた様だ。俺が本気を出していないことが。
もちろん、この状態での本気で戦いはしたが、今の俺にはほかの力がある。
「怖いなあの化け物は」
俺がそうぽろっと言葉を零すと後ろから声が聞こえた。
「おい、聞こえてるぞ! まぁ、ちゃんと忠告したからな。あと、かえ……ちは……をた……だぞ」
最後の方は遠すぎて聞こえなかった。
そしてラースはそのまま前に向き直り行ってしまった。
俺はそれを気にすることなく。ソルロスの宿へと足を進めた。
21
お気に入りに追加
2,544
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました
久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。
魔法が使えるようになった人類。
侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。
カクヨム公開中。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる