妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

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3章:王都招集

63:ユウVSティナ

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 俺が、朝目覚めると目の前で俺の布団がごそごそしてる。
 俺が布団の中から感じるのはかすかな冷気。
 そして横を見ると、ムラクモの寝顔が、少し近づけばキスできるぐらいの距離だ。
 俺はとっさに反対を見る。そこには黒と白の鞘が置いてあった。

「おい、ヒサメ?」
「ありゃ、おねぇーさん起こしちゃった?」

 俺と布団の間から、ひょこっと顔を出すヒサメ。
 俺の目線にはヒサメの谷間が見える。そう、鞘が立てかけてあるってことはこいつらは裸なのだ。

「ムラクモも起きろ。そしてどけ、服を着ろ!」

 ムラクモは「ん。」と静かに答え一度刀の姿に戻り、そこから服を着た状態で人化した。当然鞘は消えている。

「おねぇーさんまだ寝てた……痛っ」

 俺は、布団がヒサメに巻き付くようにして、ベットから突き落とした。

「何するの!」
「よし、ムラクモ。ティナとフロン起こして朝練行くぞ。いうこと聞かないやつは知らん」

 俺がそういうと、ヒサメは急いでムラクモと同じ手順で人化し直し、「待ってー」と言って俺のあとをついて来る。
 まだ朝早い時間。俺が下に降りると、アーナさんがいた。

「あれ? 起きるの早いわね」
「まぁ、日課なもんで、庭借りても?」
「どうぞどうぞ。じゃあ今から朝ごはんちゃっちゃっと作っちゃいましょうかね」

 そう言って、アーナさんは台所へと入っていた。
 俺たちは、庭に出た。庭は結構広く。十分動ける範囲内だ。

「さーて、今日はどうしようか。よし、フロンは見学。ティナは俺と1対1。俺は双剣を使うから、しっかり戦い方を見てろ?」
「双剣って、ユウ様は妖刀しか持てないんですよね?」
「ご主人様? 黒竜の双剣でもあの浸食に耐えれると思えないのですが」

 そうか、こいつらの前で使ったことないもんな。あのオーク戦が初お披露目だしな。

「大丈夫だ『い。ムラクモ。ヒサメ』」

 俺の呼び声に応えて、ムラクモとヒサメは刀の状態になって俺の手の中に現れる。腰のベルトには黒と白の鞘がある。
 俺は、ムラクモとヒサメを逆手に持ち替える。
 フロンはいつも双剣は逆手持ちだ。だが、刀の長さでそれは難しい。
 だからこの前と同じ手段を使う。

『ムラクモ。自在:縮』『ヒサメ。雹璃:参刃』

 すると、右手に持つムラクモは短剣サイズまで縮む。ヒサメは刀身を砕き、短剣サイズまで短くなる。折れた刀身は3本の刃を形成する。

「こうすれば、ほら双剣だろ?」
「そんな無茶苦茶な……」
「流石ご主人様!」

 ティナの呆れた声とフロンの嬉しそうな声が聞こえる。
 もちろん俺の周りには3本の氷の刃が浮いている。
 まぁ、使う気はないから端でノワールの回避用にでも使うか。

「ノワールも遊ぶぞ」
「キュイ♪」

 そういうとノワールはパタパタと飛び、氷の刃とを追いかける。

(ヒサメ、こっちはいいから、氷の刃の制御任せた。遊びながら回避の練習でもさせといてくれ)
〝りょうか~い〟

 ぬるい感じの返答を聞き、俺はティナへと向き直る。
 ティナはすでにアストラレイピアを抜刀していた。

「いつもの形式でいいよな?」

 俺たちはいつも、寸止めでやっている。相手が避けれない体勢、相手にぎりぎり当たらない位置で寸止めするだけだ。

「はい。大丈夫です」

 俺とティナはフロンに目線を向ける。開始の合図を待ってるのだ。
 もちろん俺はこの戦いで、瞳や鬼人化、エルの援助は受けないことにしてる。まぁスキルは普通に使うけどな。

「それじゃあ。はじめ!」

 ティナは合図と同時に突っ込んでくる。
 俺は、双剣を構える。
 俺に向かってくるのは純粋な突き。ティナが放つその刺突は早さはあるが躱しやすい。もちろん。最初と比べては比較にならん程度には成長している。

「まだ、甘いな」

 俺は、刺突をヒサメでずらす。そのまま俺が横にムラクモを薙ぐと、ティナはそれをバックステップで躱す。
 足さばきや刺突自体は問題ない。ただ行動が読みやすいだけで。

「じゃあ次は俺から行くぞ!」『縮地』

 バックステップで広げたはずの距離を一気に詰める。ティナの懐に入り下からの斬撃を繰り出す。
 だが、ティナは俺のスキルを知っている。ティナの頭は悪くない。こう来ることも予想していただろう。
 だから、俺はそのバックステップを読むことができる。
 切り上げの攻撃はフェイントで、右足をティナのかかとの位置までもっていく。

「きゃっ!」

 ティナは驚きながらもバク転し地面に手を突き、体を戻す。
 もちろんこれでは終わらない。
 俺はヒサメをティナに向かって投げつける。投擲術を持つ俺はそれなりに命中精度はあると思う。
 ヒサメが飛んできたことにティナは驚くがティナでも読めるぐらいに遅かったそれを躱すのは簡単だった。
 ティナは体を横にずらしヒサメを避ける。
 俺はその避ける方向を読むようにムラクモを投げていた。
 唐突に飛んできたそれをティナはとっさにアストラレイピアでそれを防ぐ。

『縮地』

 そして俺はあえて、ティナでも見切れるぐらいのスピードで投げていたヒサメを空中でキャッチし、それをそのままティナの首に突き付けた。

「え?」
「俺の勝ちだな」

 そのままティナは地面に崩れる。

「うぅ、ユウ様つよ過ぎです。手加減してください!」
「おい、俺だって制限してるんだぞ。ティナが読みやすいのが悪い」

 そして、慰めるよにティナの頭を撫でた後、俺はフロンに目を向けた。

「よし、次はフロンな」
「や、やっぱりやるんですね……」
「当たり前だ」

フロンは諦めたように俺の前に立ち、腰にある、黒竜の双剣を引き抜いた。
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