19 / 49
Ⅱ Proficiency
2-12 手続きと手違い
しおりを挟む
「……これは、たしかに退屈だな」
口の中だけで呟いた声は、民衆はもちろん同じステージの上の誰にも届かない。
予定通りに始まったアルバトロス転生記念式典は、開始早々のアルバトロス自身の挨拶をピークに、それからは様式的な、更に言えば単調な雰囲気の中、ただ進行していた。
それでも集まった大半の人々をまだその場に留めているのは、下手に動く事を許さない厳かな式の雰囲気に加え、ステージの上に在る千年前の大魔術師アルバトロスの荘厳にして美麗な風貌によるものも大きい。
とは言え、アルバトロス本人からは自分の姿など見えず、仮に見る事ができたとしてもそれは鏡を覗き込めばいつでも目に入る程度のものでしかない。故にその事実は、彫像のように座る彼の退屈を埋めるものにはなり得ない。
あるいは居眠りでもできればよかったのかもしれないが、姿を見せる事が目的である以上そんな事ができるわけもなく、時間を確認しようと首を動かす事にすら細心の注意を払わなくてはならない有様。
『では、最後にアルバトロス卿から締めの言葉を頂き、この場を終わりたいと思います』
幾度目かの考え事に耽ろうかとしていたアルバトロスの耳が、増幅されて反響する男の声を捉える。やや遅れてゆっくりと立ち上がると、観衆の視線が一気に集まっていった。
「――先にも述べたが、このような場、機会を得た事は我にとっても非常に喜ばしい」
差し出されたマイクを受け取らず、それでいて会場に響き渡る透き通った声は、わずかに人々の間に聞こえていた声を完全に消し去っていく。
「だが、それ以上に汝ら、そしてこの国にとって我の転生が福音である事は疑う余地もない。我も全能ではない故、遍く辛苦を打ち払えるなどとは口にせぬが、この後に控える遊宴を憂いなく過ごすだけの理由としては些か余剰でもあろう」
青から深緑へと変化していく瞳を、一瞬だけ大きく開く。
「故に、存分に羽を伸ばすがよい。耀きに目が慣れてしまわぬ内に、な」
そう締め括り、緩やかに目を伏せる。
アルバトロスが話を終えた事を確認すると共に、人々の間をその以前よりも大きく、そして明るい声が行き交っていった。
「では、アルバトロス卿、手筈の通りに」
小さく耳打ちするのは、護衛として後ろに控えていた黒い背広の青年。アルバトロスは返事を返さず、ステージの中心から端へと悠然と歩み始める。
「すぐに、民衆の中から三人の男が飛び出して来ます。襲撃者の特徴が前もってお知らせしたものと一致しなければ、緊急と見てすぐに退避してください」
「わかっている」
今度は短く、口をほとんど動かさずに返す。
「――さて、来たか」
数秒ほど後、呟いたアルバトロスの声は悲鳴と驚きの声に掻き消される。
聴衆の右翼側を掻き分けて現れたのは、予定の通り三人の男。一人が長いローブにフードで顔を隠し、もう一人は遊び人然とした派手な私服、残りの一人はくたびれた黒の背広と、それぞれ統一性のない容貌は前もって告げられた特徴と完全に一致していた。
「…………」
三人は無言で、しかし計ったかのようにそれぞれ同時に跳ぶ。
フードの男が左、派手な服装の男が右、そして背広の男が一直線にアルバトロスへの距離を詰めに来る。
「っ――」
息を呑む音は、誰の口から発されたものか。
背広の男が懐から抜き出した短剣の軌道が、左後方へ後退ったアルバトロスの手の平を浅く切り裂いていた。
「――kизил」
対してアルバトロスは顔色一つ変えず、手の平から伸びる血線で宙に魔法陣を描いていく。そして告げられた呪文と同時、魔法陣の中心から現れた巨大な朱色の腕が背広の男を無造作に薙ぎ払った。
吹き飛んでいく躰に一瞥もくれず、微量の朱に濡れる左手はそのまま左へ。それに呼応するように朱色の腕もまた左から襲い来る派手な服の男へと向かい、背広の男と同じくいとも簡単に叩き伏せた。
「祝いの場で、とは随分と不作法だな」
その間にすぐ真横にまで迫っていたフードの男の右手の一撃を、体を傾けて躱す。
手袋を纏った男の手からは、腕に添うように伸びる棒状の鉄。一般にトンファーと呼ばれる類のそれが、振り抜いた勢いを反転させて再びアルバトロスへと襲い掛かっていく。
躱し、打ち込まれ、また躱す。
至近距離での連撃をその身に受ける事はないものの、術式を発動するだけの隙もまた生まれない。
「っ……なかなかに迅いな」
余裕を張り付けた笑みが示すほどには、アルバトロスに余裕はなかった。迂遠にそれを伝えようとした言葉にも、フードの男の連撃は緩む気配を見せない。
「だが、我にとっては意味を成さない」
仕方なく、あらかじめ使用を考えていた術式を放棄して左手を振るう。同時に消えかけていた朱色の魔法陣が再び輝き、そこから伸びた手がフードの男を握り潰した。
「……足りない、と?」
アルバの口からは、極小の困惑の声。その対象は、頭上に現れたフードの男の姿。
表情にも出してはいないものの、朱の腕で捉えたはずの男が無傷でそこに姿を現した事は、アルバトロスを少なからず動揺させていた。
「――危ないっ!」
すでに聞き慣れた叫びと膨大な熱、そして紅の光。
苛烈な焔が自らの体を覆っていくのを、アルバトロスはただ眺める事しかできず。
「アンナ、か?」
至近で肌を炙る熱と光が、ゆっくりと収束していく。
アルバトロスを包み込んだ炎は、しかし彼の肌に火傷一つ作ってはおらず、完全に炎の消えた後、そこには刃を指の間に挟んだアンナの姿があった。
「――邪魔が、入ったか」
壁となったアンナの視線の先、アルバトロスのために用意されたステージの更に上、地上数メートルほどの地点から抑揚のない平坦な声が響く。
声の主は、君臨するように宙空に立つフードの男。
男は右手から伸びる焼け切れた鎖を投げ捨てると、その手で見せつけるようにゆっくりと頭を覆うフードを外していく。
「あれは……いや、何故今こんなところに?」
アンナに続くように周囲を固めた護衛の一人の口から、驚愕の声。
フードを外して晒されたはずの男の頭部は、しかし全体に覆う白磁のような仮面によってその容貌を完全に隠されている。それでも、その姿を見た者は一人、また一人と同じ名を口にしていく。
「ヨーラッド・ヌークス? そんな、どういう事……」
「ヨーラッド? なるほど、それがあの仮面の男の名だという事か」
今までになく緊迫したアンナの声に、アルバトロスもまた改めて身構える。
「開闢以来最高の魔術師と名高いアルバトロス卿、その転生の噂を聞いて駆けつけてきたが、どうやら思ったほどのものではないようだ」
収まらないざわめきの中、平坦で特徴のない声はなぜだか人々の間を通っていく。
「あまり外れた評価を口にしない方が汝の為だ。それは自らの両の眼が節穴であると吹聴しているのと何ら変わらぬ」
一方、挑発に表情一つ変えずに返したアルバトロスの声を聞くなり、人々の声量がわずかに下がり、混乱も少しづつ沈静化していく。
「なるほど、流石に口が回る。無知な民衆を信じ込ませる事など容易いだろうな」
「否定はせぬ。我とて、ただ魔術の探求だけに生きたわけでもない」
どこまでも単調なヨーラッドの声と、鈴のように響くアルバトロスの声は、対照的でありながらどちらも開けた空間で明瞭に響く。
「なら、やはりその首を獲る事でしか、私が貴殿よりも上であると示す手段はないか」
構えの一つも取らないヨーラッドの言葉一つに、護衛の魔術師二人が咄嗟の反応で術式を発動する。
「……安心しろ、これはあくまで様子見だ、私だって場は選ぶ」
宙から水と風が生まれ、それらが仮面の魔術師へと襲い掛かろうとするよりも早く、二つの首が鈍い音を立てて地面へと落ちていた。
微かに動いたヨーラッドの右手には、鮮血に濡れた十字型の刃物が二つ収まる。
「決闘を申し込もう、アルバトロス卿。まさか断りはしないだろうな」
瞬間、その場が一瞬だけ完全に音を失う。
アンナの息を呑む音が静寂を破るよりも早く、口を開いたのはやはりアルバトロス。
「無論、受けよう。我もその奇怪な術には些か興味が湧いた」
恐怖と動揺から、好奇と興奮に切り替わった人々の喧騒の中、アンナの視線の先でアルバトロスは真意の読めない薄い笑みを浮かべていた。
口の中だけで呟いた声は、民衆はもちろん同じステージの上の誰にも届かない。
予定通りに始まったアルバトロス転生記念式典は、開始早々のアルバトロス自身の挨拶をピークに、それからは様式的な、更に言えば単調な雰囲気の中、ただ進行していた。
それでも集まった大半の人々をまだその場に留めているのは、下手に動く事を許さない厳かな式の雰囲気に加え、ステージの上に在る千年前の大魔術師アルバトロスの荘厳にして美麗な風貌によるものも大きい。
とは言え、アルバトロス本人からは自分の姿など見えず、仮に見る事ができたとしてもそれは鏡を覗き込めばいつでも目に入る程度のものでしかない。故にその事実は、彫像のように座る彼の退屈を埋めるものにはなり得ない。
あるいは居眠りでもできればよかったのかもしれないが、姿を見せる事が目的である以上そんな事ができるわけもなく、時間を確認しようと首を動かす事にすら細心の注意を払わなくてはならない有様。
『では、最後にアルバトロス卿から締めの言葉を頂き、この場を終わりたいと思います』
幾度目かの考え事に耽ろうかとしていたアルバトロスの耳が、増幅されて反響する男の声を捉える。やや遅れてゆっくりと立ち上がると、観衆の視線が一気に集まっていった。
「――先にも述べたが、このような場、機会を得た事は我にとっても非常に喜ばしい」
差し出されたマイクを受け取らず、それでいて会場に響き渡る透き通った声は、わずかに人々の間に聞こえていた声を完全に消し去っていく。
「だが、それ以上に汝ら、そしてこの国にとって我の転生が福音である事は疑う余地もない。我も全能ではない故、遍く辛苦を打ち払えるなどとは口にせぬが、この後に控える遊宴を憂いなく過ごすだけの理由としては些か余剰でもあろう」
青から深緑へと変化していく瞳を、一瞬だけ大きく開く。
「故に、存分に羽を伸ばすがよい。耀きに目が慣れてしまわぬ内に、な」
そう締め括り、緩やかに目を伏せる。
アルバトロスが話を終えた事を確認すると共に、人々の間をその以前よりも大きく、そして明るい声が行き交っていった。
「では、アルバトロス卿、手筈の通りに」
小さく耳打ちするのは、護衛として後ろに控えていた黒い背広の青年。アルバトロスは返事を返さず、ステージの中心から端へと悠然と歩み始める。
「すぐに、民衆の中から三人の男が飛び出して来ます。襲撃者の特徴が前もってお知らせしたものと一致しなければ、緊急と見てすぐに退避してください」
「わかっている」
今度は短く、口をほとんど動かさずに返す。
「――さて、来たか」
数秒ほど後、呟いたアルバトロスの声は悲鳴と驚きの声に掻き消される。
聴衆の右翼側を掻き分けて現れたのは、予定の通り三人の男。一人が長いローブにフードで顔を隠し、もう一人は遊び人然とした派手な私服、残りの一人はくたびれた黒の背広と、それぞれ統一性のない容貌は前もって告げられた特徴と完全に一致していた。
「…………」
三人は無言で、しかし計ったかのようにそれぞれ同時に跳ぶ。
フードの男が左、派手な服装の男が右、そして背広の男が一直線にアルバトロスへの距離を詰めに来る。
「っ――」
息を呑む音は、誰の口から発されたものか。
背広の男が懐から抜き出した短剣の軌道が、左後方へ後退ったアルバトロスの手の平を浅く切り裂いていた。
「――kизил」
対してアルバトロスは顔色一つ変えず、手の平から伸びる血線で宙に魔法陣を描いていく。そして告げられた呪文と同時、魔法陣の中心から現れた巨大な朱色の腕が背広の男を無造作に薙ぎ払った。
吹き飛んでいく躰に一瞥もくれず、微量の朱に濡れる左手はそのまま左へ。それに呼応するように朱色の腕もまた左から襲い来る派手な服の男へと向かい、背広の男と同じくいとも簡単に叩き伏せた。
「祝いの場で、とは随分と不作法だな」
その間にすぐ真横にまで迫っていたフードの男の右手の一撃を、体を傾けて躱す。
手袋を纏った男の手からは、腕に添うように伸びる棒状の鉄。一般にトンファーと呼ばれる類のそれが、振り抜いた勢いを反転させて再びアルバトロスへと襲い掛かっていく。
躱し、打ち込まれ、また躱す。
至近距離での連撃をその身に受ける事はないものの、術式を発動するだけの隙もまた生まれない。
「っ……なかなかに迅いな」
余裕を張り付けた笑みが示すほどには、アルバトロスに余裕はなかった。迂遠にそれを伝えようとした言葉にも、フードの男の連撃は緩む気配を見せない。
「だが、我にとっては意味を成さない」
仕方なく、あらかじめ使用を考えていた術式を放棄して左手を振るう。同時に消えかけていた朱色の魔法陣が再び輝き、そこから伸びた手がフードの男を握り潰した。
「……足りない、と?」
アルバの口からは、極小の困惑の声。その対象は、頭上に現れたフードの男の姿。
表情にも出してはいないものの、朱の腕で捉えたはずの男が無傷でそこに姿を現した事は、アルバトロスを少なからず動揺させていた。
「――危ないっ!」
すでに聞き慣れた叫びと膨大な熱、そして紅の光。
苛烈な焔が自らの体を覆っていくのを、アルバトロスはただ眺める事しかできず。
「アンナ、か?」
至近で肌を炙る熱と光が、ゆっくりと収束していく。
アルバトロスを包み込んだ炎は、しかし彼の肌に火傷一つ作ってはおらず、完全に炎の消えた後、そこには刃を指の間に挟んだアンナの姿があった。
「――邪魔が、入ったか」
壁となったアンナの視線の先、アルバトロスのために用意されたステージの更に上、地上数メートルほどの地点から抑揚のない平坦な声が響く。
声の主は、君臨するように宙空に立つフードの男。
男は右手から伸びる焼け切れた鎖を投げ捨てると、その手で見せつけるようにゆっくりと頭を覆うフードを外していく。
「あれは……いや、何故今こんなところに?」
アンナに続くように周囲を固めた護衛の一人の口から、驚愕の声。
フードを外して晒されたはずの男の頭部は、しかし全体に覆う白磁のような仮面によってその容貌を完全に隠されている。それでも、その姿を見た者は一人、また一人と同じ名を口にしていく。
「ヨーラッド・ヌークス? そんな、どういう事……」
「ヨーラッド? なるほど、それがあの仮面の男の名だという事か」
今までになく緊迫したアンナの声に、アルバトロスもまた改めて身構える。
「開闢以来最高の魔術師と名高いアルバトロス卿、その転生の噂を聞いて駆けつけてきたが、どうやら思ったほどのものではないようだ」
収まらないざわめきの中、平坦で特徴のない声はなぜだか人々の間を通っていく。
「あまり外れた評価を口にしない方が汝の為だ。それは自らの両の眼が節穴であると吹聴しているのと何ら変わらぬ」
一方、挑発に表情一つ変えずに返したアルバトロスの声を聞くなり、人々の声量がわずかに下がり、混乱も少しづつ沈静化していく。
「なるほど、流石に口が回る。無知な民衆を信じ込ませる事など容易いだろうな」
「否定はせぬ。我とて、ただ魔術の探求だけに生きたわけでもない」
どこまでも単調なヨーラッドの声と、鈴のように響くアルバトロスの声は、対照的でありながらどちらも開けた空間で明瞭に響く。
「なら、やはりその首を獲る事でしか、私が貴殿よりも上であると示す手段はないか」
構えの一つも取らないヨーラッドの言葉一つに、護衛の魔術師二人が咄嗟の反応で術式を発動する。
「……安心しろ、これはあくまで様子見だ、私だって場は選ぶ」
宙から水と風が生まれ、それらが仮面の魔術師へと襲い掛かろうとするよりも早く、二つの首が鈍い音を立てて地面へと落ちていた。
微かに動いたヨーラッドの右手には、鮮血に濡れた十字型の刃物が二つ収まる。
「決闘を申し込もう、アルバトロス卿。まさか断りはしないだろうな」
瞬間、その場が一瞬だけ完全に音を失う。
アンナの息を呑む音が静寂を破るよりも早く、口を開いたのはやはりアルバトロス。
「無論、受けよう。我もその奇怪な術には些か興味が湧いた」
恐怖と動揺から、好奇と興奮に切り替わった人々の喧騒の中、アンナの視線の先でアルバトロスは真意の読めない薄い笑みを浮かべていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
外れスキル【観察記録】のせいで幼馴染に婚約破棄されたけど、最強能力と判明したので成りあがる
ファンタスティック小説家
ファンタジー
モンスター使役学を100年単位で進めたとされる偉大な怪物学者の孫アルバート・アダンは″天才″と呼ばれていた。将来を有望な魔術師として見込まれ、大貴族で幼馴染の可憐なる令嬢を許嫁としていた。
しかし、おおくの魔術師に期待されていたアルバートは【観察記録】という、「動物の生態を詳しく観察する」だけの極めて用途の少ない″外れスキル″を先代から受け継いでしまう。それにより周囲の評価は一変した。
「もうアダン家から実績は見込めない」
「二代続いて無能が生まれた」
「劣等な血に価値はない」
アルバートは幼馴染との婚約も無かったことにされ、さらに神秘研究における最高権威:魔術協会からも追放されてしまう。こうして魔術家アダンは、力をうしない没落と破滅の運命をたどることになった。
──だがこの時、誰も気がついていなかった。アルバートの【観察記録】は故人の残した最強スキルだということを。【観察記録】の秘められた可能性に気がついたアルバートは、最強の怪物学者としてすさまじい早さで魔術世界を成り上がっていくことになる。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる