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第一章
1.久しぶりの
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「……天音」
朝起きて、隣に愛しい君が眠っていることがどれだけ幸せか。
すやすやと寝息を立てて、気持ちよさそうにこちらに擦り付いてくる彼。お互いに忙しかったせいで、こうやって一緒に寝られたのはもう1ヶ月ぶりのことだ。
「……かわい……」
意識はないはずなのに俺の腕を離すまいとしがみつく彼があまりに愛おしくて、思わず漏れた声。
その声で起こしてしまったようで、彼はもぞもぞと動き出した。
「……たいち……」
目をうっすらと開けてこちらを見つめる彼。
「ごめんね、起こしちゃった?」
「んーん、大丈夫……」
俺の顔を見て照れたように笑うのがとても良い。
「……疲れてんだろ。休日くらいまだ寝てな?」
彼は丁度昨日、2週間の海外出張から帰ってきたばかり。時差ボケもあるだろうし、ゆっくり休んでほしいのに。
「……でも、太一とプレイ、したいから……」
頭を撫でていると可愛らしくそんなことを言い出すから、もうだめだった。
「……わかった」
頷いてやると、やった、と嬉しそうに笑ってくれる。
彼は明日も休みだから今日くらい、いいだろう。
「とりあえず、朝メシ食べよう」
目は覚めたものの身体は動かない様子の彼の額にキスを落としてキッチンに向かう。
一緒に食事をしてくれる人がいないというのはなんだか気乗りしなくて、最近は惣菜やカップ麺ばかりが続いていたが、今日は彼がいる。何を作ってあげようか。
「……納豆食べたい」
ほとんど物がなく、買い物に行っておけばよかったと冷蔵庫の前で後悔していると、いつの間にか起き上がっていた彼が後ろから抱きついてきた。
「納豆?」
「アメリカのご飯、全部脂っこくてしんどかったから……」
「ああ」
朝はパン派の彼が納豆なんて珍しいなと思っていたらそういうことらしい。幸い納豆は常備してある。
すぐに胃もたれしてしまう彼にアメリカはさぞ辛かっただろう。
「じゃあ味噌汁作って、目玉焼きかな……」
「……ん……」
彼が背中に頭を擦り付けてくるので、一旦冷蔵庫を閉め、振り返って彼を前から抱きしめる。
久しぶりの感覚。こんなに愛おしかったっけ、とぎゅっと抱きしめる。
俺よりも10センチほど小さな身体。
と言っても俺が大きいだけで、彼は平均身長くらいなのだが、それでも彼の身体は華奢で細くて危なっかしい。
「……すぐ作るから、待ってて」
「……うん」
頭を撫でてやると満足したのか、案外すんなり離れてくれた彼は目を擦りながらリビングのソファに座るとクッションを抱えてうとうとし始めた。
ご飯ができたら起こしてやろう。
朝起きて、隣に愛しい君が眠っていることがどれだけ幸せか。
すやすやと寝息を立てて、気持ちよさそうにこちらに擦り付いてくる彼。お互いに忙しかったせいで、こうやって一緒に寝られたのはもう1ヶ月ぶりのことだ。
「……かわい……」
意識はないはずなのに俺の腕を離すまいとしがみつく彼があまりに愛おしくて、思わず漏れた声。
その声で起こしてしまったようで、彼はもぞもぞと動き出した。
「……たいち……」
目をうっすらと開けてこちらを見つめる彼。
「ごめんね、起こしちゃった?」
「んーん、大丈夫……」
俺の顔を見て照れたように笑うのがとても良い。
「……疲れてんだろ。休日くらいまだ寝てな?」
彼は丁度昨日、2週間の海外出張から帰ってきたばかり。時差ボケもあるだろうし、ゆっくり休んでほしいのに。
「……でも、太一とプレイ、したいから……」
頭を撫でていると可愛らしくそんなことを言い出すから、もうだめだった。
「……わかった」
頷いてやると、やった、と嬉しそうに笑ってくれる。
彼は明日も休みだから今日くらい、いいだろう。
「とりあえず、朝メシ食べよう」
目は覚めたものの身体は動かない様子の彼の額にキスを落としてキッチンに向かう。
一緒に食事をしてくれる人がいないというのはなんだか気乗りしなくて、最近は惣菜やカップ麺ばかりが続いていたが、今日は彼がいる。何を作ってあげようか。
「……納豆食べたい」
ほとんど物がなく、買い物に行っておけばよかったと冷蔵庫の前で後悔していると、いつの間にか起き上がっていた彼が後ろから抱きついてきた。
「納豆?」
「アメリカのご飯、全部脂っこくてしんどかったから……」
「ああ」
朝はパン派の彼が納豆なんて珍しいなと思っていたらそういうことらしい。幸い納豆は常備してある。
すぐに胃もたれしてしまう彼にアメリカはさぞ辛かっただろう。
「じゃあ味噌汁作って、目玉焼きかな……」
「……ん……」
彼が背中に頭を擦り付けてくるので、一旦冷蔵庫を閉め、振り返って彼を前から抱きしめる。
久しぶりの感覚。こんなに愛おしかったっけ、とぎゅっと抱きしめる。
俺よりも10センチほど小さな身体。
と言っても俺が大きいだけで、彼は平均身長くらいなのだが、それでも彼の身体は華奢で細くて危なっかしい。
「……すぐ作るから、待ってて」
「……うん」
頭を撫でてやると満足したのか、案外すんなり離れてくれた彼は目を擦りながらリビングのソファに座るとクッションを抱えてうとうとし始めた。
ご飯ができたら起こしてやろう。
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