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第弐拾話
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木の上に登って辺りを見回した。あの巨体はよく目立つし、今の森の状態も見ておきたかった。木の大半が倒されていて、それでいてどんどんあの巨木に近付いて行っているのが分かる。
「けーふー!!!」
あたいが叫んでも、その声は雨にかき消されてしまった。
あたいは深呼吸をしてから槍を口に咥えて、木から飛び降りて、途中の所で枝に捕まって木を移動して行った。
木から木へと飛び移り、どんどん恵風に近付いて行った。
そろそろ恵風のすぐ近くに着くと思った瞬間、向こうからあたい目掛けて一直線に突っ込んで来た。
「げっ!!!」
咄嗟に飛んで恵風の上に乗ると、しっかり掴んでから一度槍を手に持った。
「おいけーふー!!!しっかりしろよ!!!きこえてないのかよ!!!」
何度も呼び掛けるけど、恵風は反応してくれなかった。
前の方にあの巨木が見えると、あたいは咄嗟に槍で恵風の事を突き刺した。すると痛がってるのか、それとも怒ってるのか分からない叫び声を上げて暴れ始めた。
突然の事で驚いたけど、あたいは槍を掴んで耐えていた。
何とかしないと木にぶつかると思ったあたいは、一度槍を引き抜いてから頭の方に走って言って、一言謝ってから恵風の目に槍を突き刺した。
何とか進行方向を変えたけど、今度は簡単に槍が抜けたせいで、あたいは地面に落下した。
「がっ!!!」
うわ、左腕打った。滅茶苦茶痛い。って、そんな事言ってる場合じゃ無かった。
あたいは辺りを見回した。どうやら丁度巨木のすぐ近くに落ちたらしい。
あたいはまた槍を咥えて巨木をよじ登って、てっぺんまで行って槍を掴んで恵風を見た。相変わらずこっちに向かいながら、周りの木を薙倒してる。
(恵風、何が何でもあたいが止めてやる。)
あたいは大きく深呼吸をした。
恵風がこっちに向かって突っ込んでくると、槍を構えて飛び降りて、恵風の頭に槍を突き刺した。巨木手前で何とか止めると、恵風が暴れてあたいは宙に浮いた。
「あたしの心を、そのまま恵風に伝える。その為には恵風のすぐ傍まで行かないといけない。それこそ、あいつの心に近い場所に。」
恵風の心に近い場所が何処かなんて、あたいには分からない。だけどこれが一番手っ取り早いだろ。
「けーふー!!!」
あたいの呼び掛けに答えたのか、それとも関係無いのか分からないけど、恵風が大口開いて叫び声を上げた。
「けい、ふう………」
あたいはそのまま恵風の口の中目掛けて飛び込んだ。
「恵風!!!!」
「けーふー!!!」
あたいが叫んでも、その声は雨にかき消されてしまった。
あたいは深呼吸をしてから槍を口に咥えて、木から飛び降りて、途中の所で枝に捕まって木を移動して行った。
木から木へと飛び移り、どんどん恵風に近付いて行った。
そろそろ恵風のすぐ近くに着くと思った瞬間、向こうからあたい目掛けて一直線に突っ込んで来た。
「げっ!!!」
咄嗟に飛んで恵風の上に乗ると、しっかり掴んでから一度槍を手に持った。
「おいけーふー!!!しっかりしろよ!!!きこえてないのかよ!!!」
何度も呼び掛けるけど、恵風は反応してくれなかった。
前の方にあの巨木が見えると、あたいは咄嗟に槍で恵風の事を突き刺した。すると痛がってるのか、それとも怒ってるのか分からない叫び声を上げて暴れ始めた。
突然の事で驚いたけど、あたいは槍を掴んで耐えていた。
何とかしないと木にぶつかると思ったあたいは、一度槍を引き抜いてから頭の方に走って言って、一言謝ってから恵風の目に槍を突き刺した。
何とか進行方向を変えたけど、今度は簡単に槍が抜けたせいで、あたいは地面に落下した。
「がっ!!!」
うわ、左腕打った。滅茶苦茶痛い。って、そんな事言ってる場合じゃ無かった。
あたいは辺りを見回した。どうやら丁度巨木のすぐ近くに落ちたらしい。
あたいはまた槍を咥えて巨木をよじ登って、てっぺんまで行って槍を掴んで恵風を見た。相変わらずこっちに向かいながら、周りの木を薙倒してる。
(恵風、何が何でもあたいが止めてやる。)
あたいは大きく深呼吸をした。
恵風がこっちに向かって突っ込んでくると、槍を構えて飛び降りて、恵風の頭に槍を突き刺した。巨木手前で何とか止めると、恵風が暴れてあたいは宙に浮いた。
「あたしの心を、そのまま恵風に伝える。その為には恵風のすぐ傍まで行かないといけない。それこそ、あいつの心に近い場所に。」
恵風の心に近い場所が何処かなんて、あたいには分からない。だけどこれが一番手っ取り早いだろ。
「けーふー!!!」
あたいの呼び掛けに答えたのか、それとも関係無いのか分からないけど、恵風が大口開いて叫び声を上げた。
「けい、ふう………」
あたいはそのまま恵風の口の中目掛けて飛び込んだ。
「恵風!!!!」
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