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第弐拾八話
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「そう言えば今日お客さん来るから、あんたは部屋で大人しくしてなさいよ。」
「お客さんっすか。」
別に大して珍しい事じゃないけど、御主人が一々報告してきたって事が何よりも珍しかったっす。
逆らうと御主人が無駄に煩いから、あっしは言う通り自分の部屋、と言っても屋根裏に移動して、隙間からこっそりと覗く事にしたっす。多分御主人が邪魔をするなって言うって事は、相当御主人に気に入られてる筈っす。だからそんな可哀想な人を、正直な気持ち哀れむつもりだったっす。
だけど部屋の中に入って来た人を見て、何故かそんな考え吹き飛んだっす。
部屋の中に入って来たのは、赤色から橙色へと色の変わる髪をした男性。まるで御主人の考えなんて最初っからお見通しとでも言う様に、真っ直ぐに、少しだけ御主人を馬鹿にする様な目で見据えていたっす。
「遠路遥々御足労いただき、本当にありがとうございます。」
(うわ。)
普段の御主人と全然違う態度で、正直吐き気すらした。
「んで、何の用で俺の事呼んだんだよ。基本的に簡単な願いなら叶えられるけど。」
(願い。)
その言葉にあっしは反応した。
もしも、もしも本当に目の前に居る人物が自分の願いを叶えてくれるなら、あっしは一つ願いたい事があったっす。
「実はですね、初対面でとても厚かましいのですが、一目惚れをしてしまいまして。もし暁光様のお許しが頂けるなら、どうぞ私を娶ってください。」
もう此処まで来ると笑いを堪えるのに必死だった。だけど男はあっしの態度とは正反対で、無表情で御主人を見続けていた。
「悪いけど、俺はお前は好みじゃねぇ。」
「そうですか。ですが私諦めませんから。」
「それだけなら俺は帰るからな。」
そう言って部屋を出て行った。
あっしは屋根裏から出て男を追い掛けて外に出た。
「……………何だよ。正直今あんまり機嫌が良く無いんだよ。」
本当に不機嫌そうに男はそう言った。だけどあっしは置くする事無く食らいついた。
「あっしの願いを叶えてほしいっす。」
「あ?」
「あっし、また両親に会いたいんっす。」
「その両親は何処に居るんだよ。」
「…………………し、死んでるっす。」
あっしがそう言うと男は大きく溜め息を吐いた。
「無理だな。」
「だ、だってさっき……………」
「俺が叶えられるのは簡単な願いだ。幾らなんでも死んだ奴をどうこうは出来ねぇよ。」
正直そんな気はしてたっす。死んだ者は生き返らない。それは両親に散々言われてことの一つだったっすから。だけど、浅はかだとしても、そんな期待を抱いても良いじゃないっすか。
「…………お前名前は?」
「雀っす。」
「親にもそう呼ばれたのか?」
「……………親は、あっしに黎明って名前を付けてくれたっす。」
「じゃあ何で名乗らないんだよ。」
何で、と聞かれると理由は勿論の事御主人っす。両親が死んだ時、御主人はあっしに契約書を書かせ、その時に同時に人としての名前を名乗る事を禁止されたっす。だけど術とかで封じた訳じゃないんで、一応は名乗れるんっすけどね。
其れをあっしは男に伝えた。男は何も言わず、だけど大きく溜め息を吐いた。
「それじゃ仕方が無ェな。まぁさっきも言ったけど、簡単な願いなら叶えてやれるから、叶えたい簡単な願いが出来たら俺に言えよ。俺は暁光ってんだ。」
「暁光…………」
それ以上は何も言わずに暁光はその場を去って行った。
館の中に戻った瞬間に御主人に殴られた。
「ッ!!」
「あんたあたしを差し置いて何やってた訳!?ふざけんじゃないわよ!!!」
そう言って御主人は更にあっしの事を殴って来た。と言うより、この日残りはもう殆ど御主人に暴力を殴られて過ごした。
「お客さんっすか。」
別に大して珍しい事じゃないけど、御主人が一々報告してきたって事が何よりも珍しかったっす。
逆らうと御主人が無駄に煩いから、あっしは言う通り自分の部屋、と言っても屋根裏に移動して、隙間からこっそりと覗く事にしたっす。多分御主人が邪魔をするなって言うって事は、相当御主人に気に入られてる筈っす。だからそんな可哀想な人を、正直な気持ち哀れむつもりだったっす。
だけど部屋の中に入って来た人を見て、何故かそんな考え吹き飛んだっす。
部屋の中に入って来たのは、赤色から橙色へと色の変わる髪をした男性。まるで御主人の考えなんて最初っからお見通しとでも言う様に、真っ直ぐに、少しだけ御主人を馬鹿にする様な目で見据えていたっす。
「遠路遥々御足労いただき、本当にありがとうございます。」
(うわ。)
普段の御主人と全然違う態度で、正直吐き気すらした。
「んで、何の用で俺の事呼んだんだよ。基本的に簡単な願いなら叶えられるけど。」
(願い。)
その言葉にあっしは反応した。
もしも、もしも本当に目の前に居る人物が自分の願いを叶えてくれるなら、あっしは一つ願いたい事があったっす。
「実はですね、初対面でとても厚かましいのですが、一目惚れをしてしまいまして。もし暁光様のお許しが頂けるなら、どうぞ私を娶ってください。」
もう此処まで来ると笑いを堪えるのに必死だった。だけど男はあっしの態度とは正反対で、無表情で御主人を見続けていた。
「悪いけど、俺はお前は好みじゃねぇ。」
「そうですか。ですが私諦めませんから。」
「それだけなら俺は帰るからな。」
そう言って部屋を出て行った。
あっしは屋根裏から出て男を追い掛けて外に出た。
「……………何だよ。正直今あんまり機嫌が良く無いんだよ。」
本当に不機嫌そうに男はそう言った。だけどあっしは置くする事無く食らいついた。
「あっしの願いを叶えてほしいっす。」
「あ?」
「あっし、また両親に会いたいんっす。」
「その両親は何処に居るんだよ。」
「…………………し、死んでるっす。」
あっしがそう言うと男は大きく溜め息を吐いた。
「無理だな。」
「だ、だってさっき……………」
「俺が叶えられるのは簡単な願いだ。幾らなんでも死んだ奴をどうこうは出来ねぇよ。」
正直そんな気はしてたっす。死んだ者は生き返らない。それは両親に散々言われてことの一つだったっすから。だけど、浅はかだとしても、そんな期待を抱いても良いじゃないっすか。
「…………お前名前は?」
「雀っす。」
「親にもそう呼ばれたのか?」
「……………親は、あっしに黎明って名前を付けてくれたっす。」
「じゃあ何で名乗らないんだよ。」
何で、と聞かれると理由は勿論の事御主人っす。両親が死んだ時、御主人はあっしに契約書を書かせ、その時に同時に人としての名前を名乗る事を禁止されたっす。だけど術とかで封じた訳じゃないんで、一応は名乗れるんっすけどね。
其れをあっしは男に伝えた。男は何も言わず、だけど大きく溜め息を吐いた。
「それじゃ仕方が無ェな。まぁさっきも言ったけど、簡単な願いなら叶えてやれるから、叶えたい簡単な願いが出来たら俺に言えよ。俺は暁光ってんだ。」
「暁光…………」
それ以上は何も言わずに暁光はその場を去って行った。
館の中に戻った瞬間に御主人に殴られた。
「ッ!!」
「あんたあたしを差し置いて何やってた訳!?ふざけんじゃないわよ!!!」
そう言って御主人は更にあっしの事を殴って来た。と言うより、この日残りはもう殆ど御主人に暴力を殴られて過ごした。
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