黎明の天泣

琴里 美海

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第壱拾八話

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「ただいま。」

 昼飯の買い出しで結構遠くの方まで買い物に行っていたせいで、帰ってくるのに凄まじく時間が掛かった。
 戸を開けて中に入ったけど何故か氷柱の声が聞こえなかった。

「氷柱?」

 何時もなら帰って来たらすぐに出迎えてくれるのに、例外としては氷柱が風邪引いた時とかだけだったのに、今日は一切出迎えてくれなかった。
 最初は勝手に残念に思っていたけど、一切の音が聞こえない事に違和感を覚えた。

「氷柱、おい居るか?」

 居間に移動したけど氷柱の姿は無い。
 俺の部屋も一応覗いたけど勿論居ないし、氷柱の部屋にも居ない。

「氷柱!!おい氷柱!!」

 どれだけ名前呼んでも全く返事は無かった。
 どの部屋にも氷柱の姿は見えないし、家の周囲にも氷柱の姿は見えなかった。ってか真冬の雪が積もってる景色の中に氷柱が解け込んだら、見付けるの死ぬ程難しい。
 そもそも足後が一切無いんだから、氷柱は外に出ていない。と言うかそもそも氷柱は起き手紙も何も無しに勝手に出掛けたりしない。って事はだ、起き手紙を書く暇すら無かった訳だ。

「氷柱………………」

 まさか、誘拐か!?

「氷柱!!!」

 俺はすぐに走り出した。
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