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第壱拾六話
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数日後、鶴さんが家に来ると、私はすぐに家の中に招き入れた。
「鶴さん、こんにちは。」
「数日経ったが、何か問題はあったかえ?」
聞かれて私は首を横に振った。特に問題は無かったし、誰かが来たと言う事は無かった。
座布団を差し出すと鶴さんは正座した。
お茶を出すと湯呑を両手で持ってお茶を飲んでくれた。
「結構なお手前で。」
「ありがとうございます。」
一礼しつつお礼を言った。やっぱり褒められて嫌な思いはしなかった。
鶴さんに今日の用件を訊ねた。暁光さんは居間お出掛けしているので、暁光さんに御用の場合はお時間を取ってしまうので申し訳無く思っていたけど、どうやら私の事が心配で来てくれたらしいので、暁光さんには用は無いらしいです。
お茶を飲み終わると鶴さんはすぐ横に湯呑を置いた。
「じゃが、大した問題も無さそうで安心したぞえ。」
「わざわざお手間を取らせて、本当に済みません。」
「それにしても氷柱、そなた勉強の方は捗っておるのかえ?」
勉強の度合いを聞かれて私は苦笑いをした。と言うのも平仮名片仮名は出来たんですが、漢字で見事に躓いていて、今必死に暁光さんに教わっている所です。
それを伝えると鶴さんは小さく笑った。
「まぁ、漢字と言うのは元は大陸の言葉で、それが更にこの国に伝わって変わった所もあるからのう、中々難しいとは思うぞ。」
「そうですか。」
「じゃが、諦めず食らい付く所は妾も見習うべきじゃのう。」
そう言われて私は嬉しくて、それと同時に少し恥ずかしくて視線を逸らした。そんな私を見て鶴さんは笑った。
戸の叩かれる音が聞こえると私は立ち上がって玄関に行こうとした。その瞬間鶴さんに腕を掴まれた。
「氷柱、待つのじゃ。」
「え。」
「行くでない。」
鶴さんの剣幕に押されて私は前に出した足を引っ込めた。何だろう、こんなに真剣な顔をしているって事は、玄関に居るのはもしかして……………
そんな事を考えていると再び戸が叩かれた。
暫くの間ずっと戸が叩かれていたけれど、やっと音が止むと私は大きく息を吐いた。
「鶴さん、如何して止めたんですか?」
「恐らく外におったのは白鳥じゃ。」
あ、それは出なくて正解だったかもしれません。
私は再び大きく息を吐いた瞬間、部屋の中に突風が吹きこんで来た。寒い。
鶴さんは私を引き寄せると冷風を防いでくれた。本当に有り難い限りです。と、そんな事を考えていた瞬間、目の前が暗くなった。
「鶴さん、こんにちは。」
「数日経ったが、何か問題はあったかえ?」
聞かれて私は首を横に振った。特に問題は無かったし、誰かが来たと言う事は無かった。
座布団を差し出すと鶴さんは正座した。
お茶を出すと湯呑を両手で持ってお茶を飲んでくれた。
「結構なお手前で。」
「ありがとうございます。」
一礼しつつお礼を言った。やっぱり褒められて嫌な思いはしなかった。
鶴さんに今日の用件を訊ねた。暁光さんは居間お出掛けしているので、暁光さんに御用の場合はお時間を取ってしまうので申し訳無く思っていたけど、どうやら私の事が心配で来てくれたらしいので、暁光さんには用は無いらしいです。
お茶を飲み終わると鶴さんはすぐ横に湯呑を置いた。
「じゃが、大した問題も無さそうで安心したぞえ。」
「わざわざお手間を取らせて、本当に済みません。」
「それにしても氷柱、そなた勉強の方は捗っておるのかえ?」
勉強の度合いを聞かれて私は苦笑いをした。と言うのも平仮名片仮名は出来たんですが、漢字で見事に躓いていて、今必死に暁光さんに教わっている所です。
それを伝えると鶴さんは小さく笑った。
「まぁ、漢字と言うのは元は大陸の言葉で、それが更にこの国に伝わって変わった所もあるからのう、中々難しいとは思うぞ。」
「そうですか。」
「じゃが、諦めず食らい付く所は妾も見習うべきじゃのう。」
そう言われて私は嬉しくて、それと同時に少し恥ずかしくて視線を逸らした。そんな私を見て鶴さんは笑った。
戸の叩かれる音が聞こえると私は立ち上がって玄関に行こうとした。その瞬間鶴さんに腕を掴まれた。
「氷柱、待つのじゃ。」
「え。」
「行くでない。」
鶴さんの剣幕に押されて私は前に出した足を引っ込めた。何だろう、こんなに真剣な顔をしているって事は、玄関に居るのはもしかして……………
そんな事を考えていると再び戸が叩かれた。
暫くの間ずっと戸が叩かれていたけれど、やっと音が止むと私は大きく息を吐いた。
「鶴さん、如何して止めたんですか?」
「恐らく外におったのは白鳥じゃ。」
あ、それは出なくて正解だったかもしれません。
私は再び大きく息を吐いた瞬間、部屋の中に突風が吹きこんで来た。寒い。
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