黎明の天泣

琴里 美海

文字の大きさ
上 下
14 / 42

第壱拾四話

しおりを挟む
 そんな見事に平和な時間を過ごしていると、雀さんが窓からひょっこりと顔を出した。何となく少し申し訳なさそうだった。

「氷柱さん、こんにちはっす。」
「雀さん、こんにちは。」

 凄く元気無い。笑ってはいるけど、凄く疲れてるみたいだった。

「雀さん大丈夫ですか?」
「いや、まぁ大丈夫っすけど。氷柱さんこそ大丈夫っすか?」

 えっと、雀さんは一体何に関しての心配をしているんでしょうか。
 其れをそのまま雀さんに質問した。

「えっと、何と言ったら良いのやら、あっしの御主人来てないっすか?」

 雀さんの御主人?私はそれらしい人とは会っていないと思うんですが。あ、でももしかして……………

「雀さんの御主人って白鳥さんですか?」

 私がそう言うと雀さんはゆっくりと頷いた。正直そんな気はしてました。
 取り合えず暁光さんを呼んで来る事にした。
 暁光さんの隣に座って、二人の会話を聞く事にした。

「最近全然来なかったけど、お前どうしてたんだよ。」
「暁光の知る通りだと思うんっすけど。」
「だよな。」

 あの、私の知らない事を話さないでほしいんですが。とは雰囲気に押されて言う事が出来ず、静かに聞いている事にした。

「それで、何の用で来たんだよ。」
「じ、実はっすね……………」

 以前の白鳥さんの発言から知ってはいましたが、白鳥さんは暁光さんの事が好きらしく、出来る事なら結婚もしたいらしいんです。だけど暁光さんに好きな人がいると知って相当御立腹らしい。それで雀さんは暁光さんが好きな人が誰か付き止めて来いと言われたらしいです。
 其れを聞いて私は余計に何も言えませんでした。

「それ氷柱だ。」
「そうですよね。」
「そうっすよね。だけどあっしだって氷柱さんを危険な目にはあわせたくないんっす。だから如何したら良いのかって助言が欲しかったんっす。」

 雀さんは優しい人ですね、こんな人間一人をそんな風に思ってくれるんですから。
 助言を求めて来たのは分かるんですが、流石に暁光さんと私では良い助言を出す事が出来なかった。

「誰か良い案出せる人いませんかね。」
「んー、強いて言うならなー……………」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

処理中です...