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第四拾話
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村に到着して、私は真っ先に環ちゃんの家に向かった。先程炎陽ちゃんと環ちゃんが随分と痩せた女性を連れて来た時は驚いたなぁ。その人は今、寝室で寝ている。
炎陽ちゃんは女性のいる寝室に向かい、私は環ちゃんと少し話をする事にした。
客室で向かい合って座って、私は環ちゃんから話を聞いた。
「あの女性は紫蘭殿と言い、現『森の主』でございます!!」
「あ、そうなんだ。」
何か、炎陽ちゃんみたいな野生児が森の主と言うのは納得出来たけど、あの女性は見るからにか弱そうで、あまり想像が出来ない。と言ったら、相当失礼なのかもしれないけど。
「そして更に言うのであれば、紫蘭殿は炎陽殿のお母様でございます!!!」
「え…………え!!?」
驚きすぎて言葉が出て来なかった。え、あ、そうなんだ。正直雰囲気が全く似てない。早瀬が炎陽ちゃんの実の母親って言われても、姿を見なかったら結構納得出来るかもしれないけど…………うんごめん、正直全然似てない!!!あぁでもそうか、早瀬の話を聞いた限り、死んだって話は何処にも出てなかったしね。
でもそうなるともしかしてだけど、『森の主』って言うのは一族なのかな。
(そうなると……………)
「恵風殿?何かございましたか?」
「え?」
「いえ、少々悲しそうなお顔をしておりましたので、何かあったのかと思いまして!!」
そう言われて、見た夢の事を思い出した。あぁそうだった、私は考えている事とかが顔に出やすいんだった。
何でもない、何も無いよと言いたかったのに、私はその言葉が出て来なかった。それを言ったら私は嘘を吐く事になってしまうから。私は極力嘘は吐きたくないよ。でもこれは、今言うべきじゃない。
「…………今は、言えないかな。」
「そうでございますか。何時か言えると良いですね。」
うん、何時かは言わないと。それに炎陽ちゃんは関係者だからね。
廊下から足音が聞こえてくると、部屋の襖が開いた。其処に立っていたのは炎陽ちゃんだった。
「如何したの?」
(今日勉強教えてもらってない。)
それを聞いて私は苦笑いを浮かべてしまった。いや、まぁそうだろうけど、でも君誘拐されて、それで実の母親に会えたって言うのに、全部そっちのけで勉強なんだ。何だろう、まぁ炎陽ちゃんらしいと言うか何と言うか。
「いやぁ、流石炎陽殿!!空気と言う物を全く読みませんな!!!」
(空気は吸うもんだろ?)
大笑いする環ちゃんに、首を傾げる炎陽ちゃん。もう苦笑いを浮かべる以外に、私は如何気持ちを表現したら良いんだろうか。
炎陽ちゃんは女性のいる寝室に向かい、私は環ちゃんと少し話をする事にした。
客室で向かい合って座って、私は環ちゃんから話を聞いた。
「あの女性は紫蘭殿と言い、現『森の主』でございます!!」
「あ、そうなんだ。」
何か、炎陽ちゃんみたいな野生児が森の主と言うのは納得出来たけど、あの女性は見るからにか弱そうで、あまり想像が出来ない。と言ったら、相当失礼なのかもしれないけど。
「そして更に言うのであれば、紫蘭殿は炎陽殿のお母様でございます!!!」
「え…………え!!?」
驚きすぎて言葉が出て来なかった。え、あ、そうなんだ。正直雰囲気が全く似てない。早瀬が炎陽ちゃんの実の母親って言われても、姿を見なかったら結構納得出来るかもしれないけど…………うんごめん、正直全然似てない!!!あぁでもそうか、早瀬の話を聞いた限り、死んだって話は何処にも出てなかったしね。
でもそうなるともしかしてだけど、『森の主』って言うのは一族なのかな。
(そうなると……………)
「恵風殿?何かございましたか?」
「え?」
「いえ、少々悲しそうなお顔をしておりましたので、何かあったのかと思いまして!!」
そう言われて、見た夢の事を思い出した。あぁそうだった、私は考えている事とかが顔に出やすいんだった。
何でもない、何も無いよと言いたかったのに、私はその言葉が出て来なかった。それを言ったら私は嘘を吐く事になってしまうから。私は極力嘘は吐きたくないよ。でもこれは、今言うべきじゃない。
「…………今は、言えないかな。」
「そうでございますか。何時か言えると良いですね。」
うん、何時かは言わないと。それに炎陽ちゃんは関係者だからね。
廊下から足音が聞こえてくると、部屋の襖が開いた。其処に立っていたのは炎陽ちゃんだった。
「如何したの?」
(今日勉強教えてもらってない。)
それを聞いて私は苦笑いを浮かべてしまった。いや、まぁそうだろうけど、でも君誘拐されて、それで実の母親に会えたって言うのに、全部そっちのけで勉強なんだ。何だろう、まぁ炎陽ちゃんらしいと言うか何と言うか。
「いやぁ、流石炎陽殿!!空気と言う物を全く読みませんな!!!」
(空気は吸うもんだろ?)
大笑いする環ちゃんに、首を傾げる炎陽ちゃん。もう苦笑いを浮かべる以外に、私は如何気持ちを表現したら良いんだろうか。
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