4 / 45
第四話
しおりを挟む
最初の方は唯其の方向を見詰める人達だけだったけど、その場所へ近付くにつれ、逃げる人達が多くなった。
人の流れに逆らい、時折建物の屋根の上に乗ったりしつつ、やっと辿り着いたその場所は、それは悲惨な光景だった。
あちこちで黒い炎が燃えている。それでいてその炎は確かに人を燃やしている。だって、火はあちこちに移動しながら、苦しみの声をずっと発しているんだから。
「熱い!!!熱い!!!」
「助けて!!!お願い助けて!!!」
これが世に言う地獄絵図に当て嵌まるんだろうか。
そんな事を考えていたら瑞光を見付けた。先程までとは全く違う、恍惚な笑顔を浮かべながら人々に手を向けている。そんな瑞光の横には、随分と驚いた顔をして腰を抜かしている、みすぼらしい見た目の男性がいた。
「瑞光!!!」
私は瑞光の前へ飛び降りて、彼の手を掴んだ。
「何をやっているんだ!!!」
「何って、見ての通りの殺しだ。こいつが願ったからな。」
そう言って瑞光は隣にいる男性を見た。
私は瑞光から手を離すと、その男性の前にしゃがんだ。
「君、一体何を願った。いや違うね、如何して殺しなんて願った。」
問い掛けても男性は、唯目の前の光景が理解出来ていない様子で、そもそも私の声が届いていない。
仕方が無いから、この男性の願いを瑞光から聞く事にした。
「瑞光、彼は一体如何言う理由で、殺しを願ったの。」
瑞光はケラケラと笑って言った。
「面白いぜ?金持ちが憎かったんだって!!自分はこうなのに、何であいつ等は金持ちなんだって!!」
「それは、随分と身勝手だね。」
少々苛立ちながら男性を見ると、男性はおぼつかない足取りで立ち上がると、瑞光の前で膝を突き、畏怖の念を抱いた瞳で瑞光を見た。
「お前、一体何者なんだ?」
「さぁ、好きな様に見てくれよ。」
瑞光はそれだけ言うと、足下から突然黒い炎が吹き出し、瑞光は炎に包まれた。
少しして炎が消えると、もう其処に瑞光の姿は無かった。一体何時の間にこんな技を会得していたのか。なんて、今はそんな事を考えている場合じゃなかった。
私は瑞光を探しに空へと飛んだ。
人の流れに逆らい、時折建物の屋根の上に乗ったりしつつ、やっと辿り着いたその場所は、それは悲惨な光景だった。
あちこちで黒い炎が燃えている。それでいてその炎は確かに人を燃やしている。だって、火はあちこちに移動しながら、苦しみの声をずっと発しているんだから。
「熱い!!!熱い!!!」
「助けて!!!お願い助けて!!!」
これが世に言う地獄絵図に当て嵌まるんだろうか。
そんな事を考えていたら瑞光を見付けた。先程までとは全く違う、恍惚な笑顔を浮かべながら人々に手を向けている。そんな瑞光の横には、随分と驚いた顔をして腰を抜かしている、みすぼらしい見た目の男性がいた。
「瑞光!!!」
私は瑞光の前へ飛び降りて、彼の手を掴んだ。
「何をやっているんだ!!!」
「何って、見ての通りの殺しだ。こいつが願ったからな。」
そう言って瑞光は隣にいる男性を見た。
私は瑞光から手を離すと、その男性の前にしゃがんだ。
「君、一体何を願った。いや違うね、如何して殺しなんて願った。」
問い掛けても男性は、唯目の前の光景が理解出来ていない様子で、そもそも私の声が届いていない。
仕方が無いから、この男性の願いを瑞光から聞く事にした。
「瑞光、彼は一体如何言う理由で、殺しを願ったの。」
瑞光はケラケラと笑って言った。
「面白いぜ?金持ちが憎かったんだって!!自分はこうなのに、何であいつ等は金持ちなんだって!!」
「それは、随分と身勝手だね。」
少々苛立ちながら男性を見ると、男性はおぼつかない足取りで立ち上がると、瑞光の前で膝を突き、畏怖の念を抱いた瞳で瑞光を見た。
「お前、一体何者なんだ?」
「さぁ、好きな様に見てくれよ。」
瑞光はそれだけ言うと、足下から突然黒い炎が吹き出し、瑞光は炎に包まれた。
少しして炎が消えると、もう其処に瑞光の姿は無かった。一体何時の間にこんな技を会得していたのか。なんて、今はそんな事を考えている場合じゃなかった。
私は瑞光を探しに空へと飛んだ。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
我が異世界生活を行く
茶柄
ファンタジー
気が付くと異世界にぼつんと立っていた。
目的も理由も召喚者もいない。説明書の無い異世界生活の始まり始まり。あるのはオタクの結晶ソシャゲの能力と大量のアイテム。チート未満テンプレ以上の創造神(作者)の誇張妄想作品です駄作予定ですか期待はしないでください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
追放から十年。惰性で生きてきた英雄くずれの私が記憶喪失の少年と出会ったら。
有沢ゆうすけ
ファンタジー
かつて聖王と呼ばれた青年に命を救われた少女・アウローラは彼に忠誠を誓い、彼を守るため、共に魔獣との戦争〝人魔大戦〟に身を投じる。
しかし戦争の最中、アウローラは主を守れず、その咎で騎士団を追放されてしまう。
「役立たずの偽火め。どうして私たちの王を守らなかった――ッ!」
終戦から十年後。
主を亡くし、生きる目的を見失ったアウローラは観光都市・ラルクスへと流れ着き、そこで無気力な日々をただ茫然と過ごしていた。
そんなある日、アウローラは若き市長・セリアより奇妙な依頼を持ちかけられる。
「――お前に、ある少年を守ってもらいたいんだ」
記憶を失ったという謎の少年・ソラ。
彼の正体には秘密があり、やがてアウローラはそれが引き起こす事態に否応なく巻き込まれていく。
駿河ノ国妖怪物語 ~知られざる妖怪ワールド~
やまねとも
ファンタジー
皆さんご存知の宇宙の中心(静岡)で繰り広げられる妖怪たちのものがたり。
妖怪のメッカである静岡の秘密をご紹介です。
世間を騒がす神隠しポイントを探ったりして、なんとか異世界に遊びに行こうとしてたんだ。
ところが偶然、世界の中心地である静岡で妖怪になり色々と事情が変わった。
今は違う意味で神を探し始めたところだね。超科学の妖怪アイテムを駆使して頑張るよ!
お知らせ:(注意 ネタバレを含みます)
10月頭に改題を予定。
異世界に転生したいけど異世界なんてない。そのようなテーマを持っていたのですが勘違いされそうなので改題することにしました。
現状、異世界要素0%旅要素10%動物20%料理20%妖怪30%バトル1%以下 その他です。
主人公が異世界転移だ!と思っている場所は、実は違います。
「幼怪のオナカはフロンティア」でダイジョーが妄想した内容が異世界の正体です。
改題予定は 静岡ファンタジー(SF) 駿河ノ国妖怪物語 すばらしい妖怪探訪 知られざる妖怪ワールド の何れかになると思います。
これから未知の妖怪がワンサカ出てくる予定…デスヨ!
(旧題:異世界転生を求めて ~無視され続けるわたしですが、本当にいいんですか?どうなっても知りませんよ~)
注意:
※妖怪コアがオン時、主人公の言動や行動が変なのは仕様(作者が狂ったのではありません)
※テキトーに付けた先輩の名前である山根は、いい名前を思いついたら一括変更します。
※現在、大幅修正中です。修正中の場合は各話の頭に[修正中]と書かれています。
※浅間妖怪:えっ?妖怪マガジンWeb版読んだことないんですか? 晒しスレ立ててきますね!
※章1準備、章2不思議パワーGET、章3初異世界転移、章4装備更新、章5異世界支部準備、章6より異世界行脚 となります
※主人公が鍛えられるにつれ、初心者セット以外の補助妖怪アイテムの出番が減っていきます。
※誰か扉絵書いてくれる人いませんかね。今日扉絵の存在を知りました(20120815)
今から絵の勉強をしろと?頑張る!かも
※近くの駅からうなぎパイが手に入らなくなった、もうダメかも…イオンで買えることが発覚!イオンどこ…
※ネクストジョブケモナーは「黒豹に会いに行く。 クロノス(黒豹の巣)交渉編」と「挑戦編」と「決着編」で詳細に説明
※サーバー内のデータがクラッシュした可能性があり。数話吹きとんでいた。自力で修正したはずですが、おかしな所が残っている可能性あり(2012/09/23 20時頃)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる