夕餉添えの贄

琴里 美海

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第参拾七話

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 ごめんな氷柱。

 痛みは無い。

 苦しみも無い。

 だけど胸が大分痛い。

 これが最善とは流石に思ってねぇよ。だって氷柱があんなに泣いてんだから。

(泣くなよ、もうお前の涙を拭ってやれないんだから。)

 なぁ夜露、俺ちゃんと氷柱の事愛してやれてたか?ちょっと不安な所が多いんだよな、主にお前と重ねてた時とか。

「大丈夫ですよ。」

 は?夜露?

「暁光さんはちゃんとあの子の事を愛してあげられていましたよ。」

 あぁ、手が温かい。

 夜露、お前其処にいるんだな。

 正直死ぬ事を望んだ事は何度もあった。だけどいざ死ぬとなると不安で溢れてたんだけど、お前がいるなら少し安心出来る。

 俺は心地よい温かさを感じながら目を瞑った。
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