泡沫の如く儚い平和

琴里 美海

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第壱拾九話

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 雉に呼び出された所へ行くと、雉の姿は見えなかった。向こうが呼びだしておいて何でいないいんだよ。と、そう思ったけど、まぁよくある事だから気にしないでおこう。
 足音が聞こえて振り返ると、雉が少し疲れた様子で歩いて来ていた。

「あ、泡沫お待たせ。」
「待ったよ。んで、何かあったか?」
「何かって?」
「いや、大分疲れてるみたいだから。」

 おいらがそう言うと雉は少し上の方を見てから「あー。」と呟いておいらを見た。

「いやー、何か情報屋の方が忙しくってさ。」

 忙しいのにおいらを呼び出したのか。
 そんな事を考えていると雉は突然話し始めた。

「何かさ、最近ちょっと戦の準備が始まってるみたいなんだよね。」

 あまりにも唐突なその内容においらは変な声を出した。え、戦?どの辺でだよ。それに如何してそれをおいらに言ってくるんだよ。

「戦自体は少し離れた所だけど、ちょっと不安だから泡沫には話しておくよ。」
「ちょっと待てよ、おいらにはってどう言う事だ?」
「元々オラの依頼主からの依頼で調べてた事なんだけど、オラあの人嫌いだから、いっそ戦のせいで怪我か何かしてくれればなーって思って。」

 じゃあその依頼主には言う気が無いのか。何て言うか、凄い自分のやりたい様にやってるな、こいつ。と言うか一応金貰ってるんだよな?まぁ言った所で雉の態度が変わる訳じゃないから黙っておく事にした。

「じゃ、話しはそれだけだから。じゃあなー。」

 そう言って雉は何処かへ歩いて行った。
 この時から何となくおいらの胸の奥からもやもやとした嫌な予感が消えなくなった。
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