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彼女の力
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俺は結構冷静に答えた。
「いや、ダメだろ。」
言い終わるのと同時に言い分をミズエが被せてきた。
「違うの。前にあたしが出たらあいつは手が出せないんでしょう? だったら、そうやって動きを止めてから武器も全部出させちゃってさ、それからタイマンって流れにしちゃえばいいのよ!」
ミズエはさっきの作戦失敗をまだ気にしているのか今度は成功させるっといった感じで退かない。「ダメだ。危険だ。」と続ける俺との押し問答になってしまった。
イライラして部屋の中をくるくると歩いてミズエは両手を広げた。
「大丈夫だよ! だってあたしは……!」
それはたった1つの扉を背にした瞬間だった。
ドン! ドン!
さっき聞いたばかりの銃声が轟いた。
俺達その音に反応することしかできなかった。
「ミズエ!!」
バタンと倒れ込んだミズエの両手の平からは血が流れ出していて、扉の向こうにクアリクがニヤニヤしながら現れた。
「クアリクてめぇ!」
俺は顔面に血管が浮かび上がるのを感じた。俺の後ろではユースケが3人を制止してくれていた。正しい判断だ。今、ボロボロのあいつらが飛び出しても足手まといにしかならないし、銃口は俺を向いている。ターゲットは俺ってことだ。
「いやー。お頭さん、驚きましたよ。まさか水組と繋がりがあったなんて。」
クアリクは銃口を俺に向けているものの視線は倒れ込んだミズエに注いでいる。
「罵維菌族と水組が手を組まれたんじゃ僕ら殺菌族は、たまったもんじゃありません。」
「オメー、何が言いたいんだよ。」
俺はクアリクを睨みつけたまま拳を握りしめた。
「その水組の子もあなた達も、全員殺します。それで繋がり自体を無かったことにします。」
冷たい声だった。でも、怖いとかそんなことは思わなかった。ムカついて仕方なかったからだ。
「全員殺すって……? お前それ、本心で言ってんのか?」
「ぇ……!」
俺は聞き返しただけのつもりだったのに、クアリクがやけに動揺した。
「いや、ダメだろ。」
言い終わるのと同時に言い分をミズエが被せてきた。
「違うの。前にあたしが出たらあいつは手が出せないんでしょう? だったら、そうやって動きを止めてから武器も全部出させちゃってさ、それからタイマンって流れにしちゃえばいいのよ!」
ミズエはさっきの作戦失敗をまだ気にしているのか今度は成功させるっといった感じで退かない。「ダメだ。危険だ。」と続ける俺との押し問答になってしまった。
イライラして部屋の中をくるくると歩いてミズエは両手を広げた。
「大丈夫だよ! だってあたしは……!」
それはたった1つの扉を背にした瞬間だった。
ドン! ドン!
さっき聞いたばかりの銃声が轟いた。
俺達その音に反応することしかできなかった。
「ミズエ!!」
バタンと倒れ込んだミズエの両手の平からは血が流れ出していて、扉の向こうにクアリクがニヤニヤしながら現れた。
「クアリクてめぇ!」
俺は顔面に血管が浮かび上がるのを感じた。俺の後ろではユースケが3人を制止してくれていた。正しい判断だ。今、ボロボロのあいつらが飛び出しても足手まといにしかならないし、銃口は俺を向いている。ターゲットは俺ってことだ。
「いやー。お頭さん、驚きましたよ。まさか水組と繋がりがあったなんて。」
クアリクは銃口を俺に向けているものの視線は倒れ込んだミズエに注いでいる。
「罵維菌族と水組が手を組まれたんじゃ僕ら殺菌族は、たまったもんじゃありません。」
「オメー、何が言いたいんだよ。」
俺はクアリクを睨みつけたまま拳を握りしめた。
「その水組の子もあなた達も、全員殺します。それで繋がり自体を無かったことにします。」
冷たい声だった。でも、怖いとかそんなことは思わなかった。ムカついて仕方なかったからだ。
「全員殺すって……? お前それ、本心で言ってんのか?」
「ぇ……!」
俺は聞き返しただけのつもりだったのに、クアリクがやけに動揺した。
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