22 / 48
接触
2
しおりを挟む
ナイフをつきつけられても平然としている様子から、かなり自分に自信があるのと余裕があるのを感じた。
「あなたが今の罵苦乱のお頭さんですか。はじめまして。」
「あ? あぁ、俺がタクローだ。」
今の言葉に違和感があったけど、気にせず話を続けた。
「俺の仲間にずいぶんなことしてくれるじゃねーか。」
クアリクは笑みを浮かべ「あぁ、アレですか。」とボソッと呟いた。俺は奥歯だけを食いしばって気持ちを抑えた。
「アレ呼ばわりか。……まぁいいさ、噂の"赤目のクアリク"らしくねんじゃねーか?」
え。と、クアリクの顔に疑問が浮かぶ。
「3人とも生きてたぜ。」
俺はニヤリと口元を歪めて言った。
「……へぇ。凄いですね。」
明らかに目には困惑の色が見えたが、すぐに元に戻してクアリクは下を向いて言う。
「驚きましたよ。目を見張る生命力ですね。……まるでゴキブリだ。」
「てめぇ!!」
「ユースケよせ。」
クアリクの言葉に反応してユースケがナイフをグッと喉に押し当てたが制止した。
「俺達はこのままお前の喉を切り裂く為にここにノコノコ来た訳じゃねーんだよ。俺はお前みたいに卑怯なマネはしねぇ。」
まっすぐにクアリクを睨み付けたがクアリクは少し下を向いたまま「へぇ。」と言葉を落とした。
「俺は正々堂々、素手でのタイマンを張れって言いに来たんだよ。」
「ぶふっ!!」
クアリクは噴出し笑い出した。
「てめぇ笑ってんじゃねーよ!」
ユースケもこのミズエの提案には不安を抱いてたけど、今は少し恥ずかしそうだ。
「あーあぁ。すみません。いいですよ、やりましょうよタイマン。」
「……おし。」
もし応じなかったらこの場所でやり合うだけだった。
どこから見てるのか分からないけど、ミズエのキラキラした視線が背中に痛い。
「とりあえずあいつらも居る2階でケリつけよう。行くぞ。」
「分かりました。ではもう両手も下ろしていいですか?」
「あぁ、かまわねぇ。」
「ありがとうございます。」
タイマン承諾で俺もユースケも気が緩んだんだろう。ユースケはナイフを下ろして、俺はクアリクに背を向けてしまった。
あまりに迂闊だった。
パン! パン!
「あなたが今の罵苦乱のお頭さんですか。はじめまして。」
「あ? あぁ、俺がタクローだ。」
今の言葉に違和感があったけど、気にせず話を続けた。
「俺の仲間にずいぶんなことしてくれるじゃねーか。」
クアリクは笑みを浮かべ「あぁ、アレですか。」とボソッと呟いた。俺は奥歯だけを食いしばって気持ちを抑えた。
「アレ呼ばわりか。……まぁいいさ、噂の"赤目のクアリク"らしくねんじゃねーか?」
え。と、クアリクの顔に疑問が浮かぶ。
「3人とも生きてたぜ。」
俺はニヤリと口元を歪めて言った。
「……へぇ。凄いですね。」
明らかに目には困惑の色が見えたが、すぐに元に戻してクアリクは下を向いて言う。
「驚きましたよ。目を見張る生命力ですね。……まるでゴキブリだ。」
「てめぇ!!」
「ユースケよせ。」
クアリクの言葉に反応してユースケがナイフをグッと喉に押し当てたが制止した。
「俺達はこのままお前の喉を切り裂く為にここにノコノコ来た訳じゃねーんだよ。俺はお前みたいに卑怯なマネはしねぇ。」
まっすぐにクアリクを睨み付けたがクアリクは少し下を向いたまま「へぇ。」と言葉を落とした。
「俺は正々堂々、素手でのタイマンを張れって言いに来たんだよ。」
「ぶふっ!!」
クアリクは噴出し笑い出した。
「てめぇ笑ってんじゃねーよ!」
ユースケもこのミズエの提案には不安を抱いてたけど、今は少し恥ずかしそうだ。
「あーあぁ。すみません。いいですよ、やりましょうよタイマン。」
「……おし。」
もし応じなかったらこの場所でやり合うだけだった。
どこから見てるのか分からないけど、ミズエのキラキラした視線が背中に痛い。
「とりあえずあいつらも居る2階でケリつけよう。行くぞ。」
「分かりました。ではもう両手も下ろしていいですか?」
「あぁ、かまわねぇ。」
「ありがとうございます。」
タイマン承諾で俺もユースケも気が緩んだんだろう。ユースケはナイフを下ろして、俺はクアリクに背を向けてしまった。
あまりに迂闊だった。
パン! パン!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

勝手にしなさいよ
棗
恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……


(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる