ブラッシング!!

コトハナリユキ

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 外の景色がオレンジ色になり、夕方になったことを知らせる。俺とユースケは、クアリクが指定した1階の応接室跡へと向かっていた。階段をバタバタと降り始めたところでユースケが話しかけてきた。

 「兄貴、わかってると思うんですけど」
 「あ? なんだよっ。」
 「扉を蹴破って派手に入っていったりしたら、ダメですからね。」
 「……え! あ、当たり前だろ。そ、そんな馬鹿なことする訳ねーじゃん。」
 「……なら、いーんですけど。」

 こいつエスパーなんじゃねーか? あードキドキした。
 ユースケは俺の思考を大体読んでしまう。時々外すけど、こいつは冷たそうな顔して実は人のことをよく見てるし、分かろうとしてる。長い付き合いだが、いつもこいつが居てくれて俺は助かってることが多い。

 「ユースケ。とりあえずさっきの打ち合わせ通りにするから、頼むぞ。」
 「了解っす。」
 ユースケは右ポケットからバタフライナイフを取り出し、クルクル回して刃を剥き出しにした。

 「けど、本当に大丈夫っすかね?」
 「大丈夫だろ! やってみなきゃわかんねーし」
 ミズエの提案に不安を覗かせるユースケだったけど、俺はこの作戦が気に入ったからやり切る。

 応接室跡前に到着した。
 どでかい音でドンドンドンとノックして、とにかくデカイ声で中のクアリクを呼びつけた。

 「おらぁーっ、クアリクー! 伝言通り来てやったぞぉ! この部屋に堂々と入ってくほど馬鹿な真似はしねーぞー! 出てこいおらぁー!」

 本当はドア蹴破って入って行きたいけど……。

 「待ちくたびれましたよ。」
 部屋の奥から小さく聞こえた。へぇ、なんか軽い感じするな。クアリクって殺し屋ヒットマン思ったより若そうだな。

 俺はもう少し煽ってみる。
 「あぁ!? 聞こえねーぞ! とっとと出てこいやぁ!」
 「あぁもううるさいですよ。分かってますよ。」

 ガラっと引き戸が開く。そこにはタカマツから聞いていた通りの容姿の男が立っていた。
 「あなたが……んっ。」
 クアリクの動きが止まった。扉の影に隠れていたユースケがバタフライナイフをクアリクの喉元に突きつけたからだ。俺は一歩進んで言った。

 「お前がクアリクか。不用心じゃねーか、いきなりドア開けるなんてよ。ほら、手ェあげな。」
 「ふふ。やってくれますね。」


 


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