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メシアの誕生
決意
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それでも僕は、誰にも話さなかった。
自宅に帰り、キッチンの母親に一瞬挨拶をしてすぐに自室へ向かった。
「ただいま。」
「おかえり、ご飯はいつもの時間で良い?」
「あ、うん。ありがとう母さん。でも今日は少し疲れたから、このまま休むよ。」
「…あら、そう。わかったわ。」
昼間は彼らの呼び出しで、弁当を食べ損ねていた。昼食の弁当は毎日、母親が作ってくれている。昼休みは彼らも基本は僕を呼び出すことはない。だからトイレに避難してこっそりとお昼を過ごしていた。
勉強机で黙々と僕は昼食用の弁当を食べた。あれからずっと右目が開けられない…。
「お。来たな高柳。」
「…。」
またその翌日の昼前、今度は屋上に呼び出されていた。
「あの目薬はどうだった…?よく効いたか、あ?」
「…。」
「またいつものダンマリか。…ま、いいさ。あそこまでやればお前もリアクションとるってわかったからなぁ。」
「?」
そう言うと鼻歌混じりにガサガサと、侠山はビニール袋からなにかを取り出した。
「まな板、包丁、あとさっき買って来たハム…と。」
「…?」
「侠山、なにすんだぁ?」
藤宮が僕を代弁するように聞いた。
「なにって…ハムって何で切る?」
「そらぁ包丁だわなぁ…。」
「そうそう。」
と買ってきたハムを侠山は、僕らの前でサクっと切ってみせた。僕は直感で「まずい」と思った。
「佐川、藤宮…高柳をうつ伏せにして、まな板の上に顔を置け。」
「…!」
思った通りだ…僕の体のどこかを切り離すつもりだ!初めて逃げ出した。
「おい捕まえろ。」
「やめろぉぉ…!」
ダン!とまな板に包丁を突き立てて侠山が僕を睨みつけた。
「黙ってろや、このインキャ野郎。気持ち悪ぃーんだよ。」
「…。」
「俺ぁ、お前みたいに自分だけが別世界に居るような面してる奴が大嫌いなんだよ。」
この日僕は右目に続き、左耳を失った。それと引き換えに、僕が暴力を受ける理由が分かった。
僕の耳を切り落とした後、侠山だけが興奮した笑い声をあげて屋上から出て行き、あとの2人は無言で立ち去った。
「い…痛い…いたい。」
とにかく止血をして消毒をして、ひたすら耐えた。そしてしばらくして動けるようになり、無心で教室へ荷物を取りに行き学校を出た。
手に持った時に、カバンに誰かが触ったような違和感を感じていた。
近くの公園へ寄ってベンチに座り、カバンの中を確認すると、母が作ってくれた弁当の中に虫の死骸を大量に入れられていた。
「…母さん、ごめん。」
僕は入っていた虫も含めて、弁当をたいらげた。そして決めた。
もう…殺そう。全員。侠山は…最大限に苦しめて…。
その日から僕は学校へ行くのをやめた。
自宅に帰り、キッチンの母親に一瞬挨拶をしてすぐに自室へ向かった。
「ただいま。」
「おかえり、ご飯はいつもの時間で良い?」
「あ、うん。ありがとう母さん。でも今日は少し疲れたから、このまま休むよ。」
「…あら、そう。わかったわ。」
昼間は彼らの呼び出しで、弁当を食べ損ねていた。昼食の弁当は毎日、母親が作ってくれている。昼休みは彼らも基本は僕を呼び出すことはない。だからトイレに避難してこっそりとお昼を過ごしていた。
勉強机で黙々と僕は昼食用の弁当を食べた。あれからずっと右目が開けられない…。
「お。来たな高柳。」
「…。」
またその翌日の昼前、今度は屋上に呼び出されていた。
「あの目薬はどうだった…?よく効いたか、あ?」
「…。」
「またいつものダンマリか。…ま、いいさ。あそこまでやればお前もリアクションとるってわかったからなぁ。」
「?」
そう言うと鼻歌混じりにガサガサと、侠山はビニール袋からなにかを取り出した。
「まな板、包丁、あとさっき買って来たハム…と。」
「…?」
「侠山、なにすんだぁ?」
藤宮が僕を代弁するように聞いた。
「なにって…ハムって何で切る?」
「そらぁ包丁だわなぁ…。」
「そうそう。」
と買ってきたハムを侠山は、僕らの前でサクっと切ってみせた。僕は直感で「まずい」と思った。
「佐川、藤宮…高柳をうつ伏せにして、まな板の上に顔を置け。」
「…!」
思った通りだ…僕の体のどこかを切り離すつもりだ!初めて逃げ出した。
「おい捕まえろ。」
「やめろぉぉ…!」
ダン!とまな板に包丁を突き立てて侠山が僕を睨みつけた。
「黙ってろや、このインキャ野郎。気持ち悪ぃーんだよ。」
「…。」
「俺ぁ、お前みたいに自分だけが別世界に居るような面してる奴が大嫌いなんだよ。」
この日僕は右目に続き、左耳を失った。それと引き換えに、僕が暴力を受ける理由が分かった。
僕の耳を切り落とした後、侠山だけが興奮した笑い声をあげて屋上から出て行き、あとの2人は無言で立ち去った。
「い…痛い…いたい。」
とにかく止血をして消毒をして、ひたすら耐えた。そしてしばらくして動けるようになり、無心で教室へ荷物を取りに行き学校を出た。
手に持った時に、カバンに誰かが触ったような違和感を感じていた。
近くの公園へ寄ってベンチに座り、カバンの中を確認すると、母が作ってくれた弁当の中に虫の死骸を大量に入れられていた。
「…母さん、ごめん。」
僕は入っていた虫も含めて、弁当をたいらげた。そして決めた。
もう…殺そう。全員。侠山は…最大限に苦しめて…。
その日から僕は学校へ行くのをやめた。
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