この指灯せ

コトハナリユキ

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信じたくない

単独

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「高柳に会ったって!?」
「うん。偶然だけどね。」
「…。」

 俺は黙っていた。
 駆けつけたばかりでまだ息の荒い谷に、紅原がことの流れを説明した。

「なにやってんだよ侠山…。」
「は?」

 谷を睨みつけると、谷も俺を見ていた。

「まだ高柳が関わってるかどうか…分からない状態だったろ!なに揉めてんだよ!?」
「だからなんだってんだ。…俺は、あいつを調べる。」
「侠山くん、だからそれはミロクさんに確認してみて…」

 俺のイライラはピークに達した。

「そのミロクとは連絡つかねえだろうがぁ!」
「そ…そうだけどよ…。」
「侠山くん。」
 
 2人に怒鳴ったところで何も変わらねぇ。

「…お前らが動かねぇなら、俺は1人でやる。」
「待ってよ、侠山くん…!」

 2人を置いてその日は帰った。
 その翌日から俺は単独で行動した。とにかく高柳家を見張った。学校へ行っていない奴の動きはほぼなく、ただ家を見張るだけの日が丸2日も続いた。
 高柳の家は一軒家で、いわゆる中流家庭と呼ばれるくらいの大きさだった。両親も普通で、朝になれば父親はスーツで出かけていく。おそらく会社員だ。母親も午前に出かけて、夕方には帰ってくる。多分パートタイマーだ。高柳は家から出てくる気配が全くなかった。
 ただ、両親がともにいない時間に数回だが、高柳の家から大きな音が聞こえることがわかった。なにかを打ちつけるような音だ。でも、数回だけで終わるからか、特に騒ぎにもならず、そのままだった。
 3日目の昼間。高柳が玄関から出てきた。

「やっと出て来やがった。」

 家の前の歩道に出ると奴は、俺が近くに潜んでいることに気づいていた。俺の方を見るやいなや右手を振り走り出した。

「やろう…!」

 俺はすぐに飛び出し、奴を追いかけた。見ろよ紅原、谷、あいつの行動は明らかにおかしい…!曲がり角を曲がると、高柳は俺の方を見て立っていて…。

「!」

 腹部に鈍い痛みを感じて、頭に鋭い痛みが走った。多分、腹に拳が入り、蹴りを側頭部に喰らったんだと思う。単純な挑発に乗っちまったか。
 倒れてから奴の声が聞こえた。

「侠山くん、やっぱり兄弟だねぇ。同じ目つきをしてる。ふふふ…。」

 紅原、谷、わりぃ…。
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