43 / 73
信じたくない
あの日
しおりを挟む
2日や3日、兄貴が帰ってこないことはよくあることだった。でも、俺はイラついていた。
クラスには何人か、俺のおもちゃがある。そいつらは居なくなるまで、ぶっ壊れるまで、好きにしていいもので、そうしていることで、俺の周りにはいつも人がいた。…それでよかった。
いつからこうなったんだろう…。
でも、もう中学に入ってこれをはじめてしまった。もうやめることはできない。
田中は1週間と経たずにクラスから姿を消した。別にいいじゃねぇか、お前は家に帰れば待ってる人が居るんだろ?
中島は金持ちな家の息子だった。どれだけでも金を引っ張れた。気に入らなかった。別にいいじゃねぇか、お前は家に帰れば一緒に飯食う家族が居るんだろ?
いいじゃねぇか。別にここに来なくたってよ…。
『ドン!』
あの日。俺は気づいたら、中島に体当たりされていた。血がけっこう出てて、それで刺されたことに気がついた。
あーこのままもう一度中島に来られたら俺、死ぬかもしれねぇ。…あれ、誰も助けに来てくれねぇ。おかしいなぁ何人かで中島を囲んでたはずなんだけどなぁ。
…別にいいじゃねぇか。俺なんて、そんなもんだろ。
「死んだの?侠山くん。」
誰だ…?俺が顔をあげると教室の隅から、俺たちをいつも観察してた紅原が立っていた。なんでこいつが、俺を助けるんだ…?
それからはあまり覚えてない。俺は気づいたら病院だった。
「…生きてた。」
頭の中でさっき起こったできごとがぐるぐると回った。そうだ…俺は中島に刺されて、紅原が間に入ってきて…。
「というか、なんで紅原が…?」
ぜんぜん分からなかった。
とりあえずここから出ようと思って病室を出たら、看護師に見つかってベッドに戻された。続いて医者も病室に入ってきて、体の状態を説明された。
血もかなり出てはいたものの、臓器が傷つくほど深く刺さっていなくて1ヶ月とかからず退院できると言われた。
「深く…ない?」
疑問だった。あんなに殺意を感じたのに、どうして深く刺さってないんだ…?あんな恐怖は初めてだった。紅原の前じゃ強がってみたが、あの時の中島の顔を思い出すのもしんどい。…手が震える。
加えて看護師が状況を伝えてきた。親父はケータイが繋がらないし、兄貴もケータイはコールするものの繋がらないと、困った顔をしていた。親父が連絡つかないのはいつものことだけど、兄貴はいつもスマホを持っていた。なんでだ?なんで繋がらない…?
病室を出ていく前に医者が言った。
「落ち着いたら警察から話を聞かれると思うが、無理をしないようにね。」
「…。」
警察だと?冗談じゃねぇ。俺がなんで警察と話なんかしなくちゃなんねんだよ。
「よし…逃げよう。」
おそらく警察も術後から少しは空けるだろう。2日目の夕方に出よう。
クラスには何人か、俺のおもちゃがある。そいつらは居なくなるまで、ぶっ壊れるまで、好きにしていいもので、そうしていることで、俺の周りにはいつも人がいた。…それでよかった。
いつからこうなったんだろう…。
でも、もう中学に入ってこれをはじめてしまった。もうやめることはできない。
田中は1週間と経たずにクラスから姿を消した。別にいいじゃねぇか、お前は家に帰れば待ってる人が居るんだろ?
中島は金持ちな家の息子だった。どれだけでも金を引っ張れた。気に入らなかった。別にいいじゃねぇか、お前は家に帰れば一緒に飯食う家族が居るんだろ?
いいじゃねぇか。別にここに来なくたってよ…。
『ドン!』
あの日。俺は気づいたら、中島に体当たりされていた。血がけっこう出てて、それで刺されたことに気がついた。
あーこのままもう一度中島に来られたら俺、死ぬかもしれねぇ。…あれ、誰も助けに来てくれねぇ。おかしいなぁ何人かで中島を囲んでたはずなんだけどなぁ。
…別にいいじゃねぇか。俺なんて、そんなもんだろ。
「死んだの?侠山くん。」
誰だ…?俺が顔をあげると教室の隅から、俺たちをいつも観察してた紅原が立っていた。なんでこいつが、俺を助けるんだ…?
それからはあまり覚えてない。俺は気づいたら病院だった。
「…生きてた。」
頭の中でさっき起こったできごとがぐるぐると回った。そうだ…俺は中島に刺されて、紅原が間に入ってきて…。
「というか、なんで紅原が…?」
ぜんぜん分からなかった。
とりあえずここから出ようと思って病室を出たら、看護師に見つかってベッドに戻された。続いて医者も病室に入ってきて、体の状態を説明された。
血もかなり出てはいたものの、臓器が傷つくほど深く刺さっていなくて1ヶ月とかからず退院できると言われた。
「深く…ない?」
疑問だった。あんなに殺意を感じたのに、どうして深く刺さってないんだ…?あんな恐怖は初めてだった。紅原の前じゃ強がってみたが、あの時の中島の顔を思い出すのもしんどい。…手が震える。
加えて看護師が状況を伝えてきた。親父はケータイが繋がらないし、兄貴もケータイはコールするものの繋がらないと、困った顔をしていた。親父が連絡つかないのはいつものことだけど、兄貴はいつもスマホを持っていた。なんでだ?なんで繋がらない…?
病室を出ていく前に医者が言った。
「落ち着いたら警察から話を聞かれると思うが、無理をしないようにね。」
「…。」
警察だと?冗談じゃねぇ。俺がなんで警察と話なんかしなくちゃなんねんだよ。
「よし…逃げよう。」
おそらく警察も術後から少しは空けるだろう。2日目の夕方に出よう。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
四次元残響の檻(おり)
葉羽
ミステリー
音響学の権威である変わり者の学者、阿座河燐太郎(あざかわ りんたろう)博士が、古びた洋館を改装した音響研究所の地下実験室で謎の死を遂げた。密室状態の実験室から博士の身体は消失し、物証は一切残されていない。警察は超常現象として捜査を打ち切ろうとするが、事件の報を聞きつけた神藤葉羽は、そこに論理的なトリックが隠されていると確信する。葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に、奇妙な音響装置が残された地下実験室を訪れる。そこで葉羽は、博士が四次元空間と共鳴現象を利用した前代未聞の殺人トリックを仕掛けた可能性に気づく。しかし、謎を解き明かそうとする葉羽と彩由美の周囲で、不可解な現象が次々と発生し、二人は見えない恐怖に追い詰められていく。四次元残響が引き起こす恐怖と、天才高校生・葉羽の推理が交錯する中、事件は想像を絶する結末へと向かっていく。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幽子さんの謎解きレポート~しんいち君と霊感少女幽子さんの実話を元にした本格心霊ミステリー~
しんいち
ミステリー
オカルトに魅了された主人公、しんいち君は、ある日、霊感を持つ少女「幽子」と出会う。彼女は不思議な力を持ち、様々な霊的な現象を感じ取ることができる。しんいち君は、幽子から依頼を受け、彼女の力を借りて数々のミステリアスな事件に挑むことになる。
彼らは、失われた魂の行方を追い、過去の悲劇に隠された真実を解き明かす旅に出る。幽子の霊感としんいち君の好奇心が交錯する中、彼らは次第に深い絆を築いていく。しかし、彼らの前には、恐ろしい霊や謎めいた存在が立ちはだかり、真実を知ることがどれほど危険であるかを思い知らされる。
果たして、しんいち君と幽子は、数々の試練を乗り越え、真実に辿り着くことができるのか?彼らの冒険は、オカルトの世界の奥深さと人間の心の闇を描き出す、ミステリアスな物語である。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ピエロの嘲笑が消えない
葉羽
ミステリー
天才高校生・神藤葉羽は、幼馴染の望月彩由美から奇妙な相談を受ける。彼女の叔母が入院している精神科診療所「クロウ・ハウス」で、不可解な現象が続いているというのだ。患者たちは一様に「ピエロを見た」と怯え、精神を病んでいく。葉羽は、彩由美と共に診療所を訪れ、調査を開始する。だが、そこは常識では計り知れない恐怖が支配する場所だった。患者たちの証言、院長の怪しい行動、そして診療所に隠された秘密。葉羽は持ち前の推理力で謎に挑むが、見えない敵は彼の想像を遥かに超える狡猾さで迫ってくる。ピエロの正体は何なのか? 診療所で何が行われているのか? そして、葉羽は愛する彩由美を守り抜き、この悪夢を終わらせることができるのか? 深層心理に潜む恐怖を暴き出す、戦慄の本格推理ホラー。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
陽キャを滅する 〜ロックの歌声編〜
花野りら
ミステリー
ロボット・AIを駆使するスマートスクール陰陽館高校に、
死神タナトスから脅迫状が届いた。
『天宮凛が自殺したのはお前たちのせいだ』
私立探偵・玉木ヨシカは、JKになって調査をはじめるなか、
神楽六輔が薬物入りのお茶を飲んで倒れ、教室はパニックに!
ヨシカは、犯人を捕まえることができるのか!?
SNS、盗撮などで人の弱みを握るタナトスの目的は? 正体は?
次世代のネット社会にひそむ、ミステリ&サスペンス。
登場人物 紹介
玉木ヨシカ(たまちゃん)・・・探偵(20)
温水幸太(ぬこくん)・・・・・サッカー部エース(17)
大村隆平(りゅ先生)・・・・・担任教師(26)
神楽六輔(ロック)・・・・・・バンドヴォーカル(16)
月乃城王子(王子)・・・・・・ハーフ美少年(16)
内藤翔也(ナイト)・・・・・・剣道部(16)
桜庭二胡(バニー)・・・・・・人気動画配信者(16)
西園寺絵理(エリザベス)・・・お嬢様(16)
別奈ゆり(ゆりりん)・・・・・ゆるふわロリ(16)
菖蒲美玲(委員長)・・・・・・学級委員長(16)
日向小春(こはる)・・・・・・陰キャ(16)
神楽誠(校長)・・・・・・・・陰陽館高校創始者(57)
白峯梨沙(リサ)・・・・・・・スクールカウンセラー(26)
天宮凛・・・・・・・・・・・・退学した女子生徒(16)
タナトス・・・・・・・・・・・陽キャを滅する存在(?)
ヘルメス・・・・・・・・・・・暗躍する存在(?)
アイ・・・・・・・・・・・・・人工知能(?)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる