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追いかける先に
耳打ち
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「どうでした?」
車に戻ると犬窯田が聞いてきた。
「5日かかるってよ。」
「意外とかかるんすねぇ。」
助手席に座ると車は署に向かって走りだした。
「…まぁその情報屋によんだろ。」
「5日の間になんもないといいっすけどね。」
「ただ待ちぼうけするわけじゃねんだよ。俺らは俺らで情報が来るまでは、地道にあの中学近辺で聞き込みだ。」
「勝手にやって…本部にどやされなきゃいいっすけどね。」
「…バレやしねーよ。ちゃんと本部の仕事もしてんだ。」
「そーっちゃそーっすけど…。」
署に戻ると、課長が笑顔で俺を呼んだ。課長が笑顔の時は怒ってる時だ…。
「おーい雉子本ぉ。ちょっと入れ。」
課長は空いている取調室を指さした。
「…うす。」
『ガチャン。』
静かにドアを閉めると課長は、椅子にかけるでもなく俺に耳打ちするように話した。
「お前ら、今までどこ行っとったんだ?」
「なにって、連続殺人事件の聞き込みっすよ。収穫は特にな…。」
「嘘はいい。」
「…え。」
課長の目は鋭かった。
「中学の事件に、これ以上首を突っ込むな。」
「…というと?」
「俺からは以上だ。行け。」
閉めたばかりの扉を課長は指さし、俺はジッと見ている。
「課長…。」
「いいな雉子本。これ以上、俺に言わせるな。…俺は、言ったぞ。」
「…はい。分かりました。」
俺は取調室を出るなり自分の席には戻らずに、俺のことを待っていた犬窯田に目で「出るぞ」と合図をして、署をまた出た。車に戻りエンジンをかけ、アクセルを踏み込む犬窯田。
「雉子本さん、なんだったんすか課長のあれ。」
「中学の事件に首突っ込むなってよ。」
「なんすかそれ。…面白いじゃないすか。」
車のスピードが少し上がった。珍しく犬窯田のテンションが上がっている。コイツこういうとこあるんだよなぁ…。
「あぁ。なんかおかしいぞ。課長は俺らが勝手な動きしててもホシをあげりゃなんも言わねえ…そういう人だ。手を引けだなんて、あんなこと言う人じゃねぇんだよ。」
「そうっすよね。…ってことは、上からっすか。」
「どっから…なんの為の圧力だってんだ…。」
「…。」
おそらく課長は上からの圧力で俺にあぁ言ってきたんだ。きっと理由を聞いても応えない。知らされていない可能性さえある。
神無咲が「上は情報を出してない」とか言っていた。逆に言えば"CRY"は中学の事件以上の何かに絡んでいて、その情報の漏洩が上にとって不都合なものなのかもしれない。そうなら慎重に動く必要はある。
しかし、今回の中学の事件に限って考えれば、あれだけスピーディーに動いたってのに上へ話が行くのが早すぎる。そう考えれば、どっかの犬窯田のパイプに上と繋がってるやつが居るか、もしくは…。
「…。」
「んー、俺のパイプじゃないと思うんですがねぇ…。」
犬窯田はゆっくりとハンドルを切っていた。
「…そうだな。とにかく、この一件から外されたんじゃあかなわん。」
俺は腕を組み直して続けた。
「ひとまずは情報を待ちつつ、失踪者の殺人事件の聞き込みを念入りに行う。その中で使えそうな情報をとっていく。いいな。」
「了解っす。」
俺は、俺の勘を信じたくなかった。
車に戻ると犬窯田が聞いてきた。
「5日かかるってよ。」
「意外とかかるんすねぇ。」
助手席に座ると車は署に向かって走りだした。
「…まぁその情報屋によんだろ。」
「5日の間になんもないといいっすけどね。」
「ただ待ちぼうけするわけじゃねんだよ。俺らは俺らで情報が来るまでは、地道にあの中学近辺で聞き込みだ。」
「勝手にやって…本部にどやされなきゃいいっすけどね。」
「…バレやしねーよ。ちゃんと本部の仕事もしてんだ。」
「そーっちゃそーっすけど…。」
署に戻ると、課長が笑顔で俺を呼んだ。課長が笑顔の時は怒ってる時だ…。
「おーい雉子本ぉ。ちょっと入れ。」
課長は空いている取調室を指さした。
「…うす。」
『ガチャン。』
静かにドアを閉めると課長は、椅子にかけるでもなく俺に耳打ちするように話した。
「お前ら、今までどこ行っとったんだ?」
「なにって、連続殺人事件の聞き込みっすよ。収穫は特にな…。」
「嘘はいい。」
「…え。」
課長の目は鋭かった。
「中学の事件に、これ以上首を突っ込むな。」
「…というと?」
「俺からは以上だ。行け。」
閉めたばかりの扉を課長は指さし、俺はジッと見ている。
「課長…。」
「いいな雉子本。これ以上、俺に言わせるな。…俺は、言ったぞ。」
「…はい。分かりました。」
俺は取調室を出るなり自分の席には戻らずに、俺のことを待っていた犬窯田に目で「出るぞ」と合図をして、署をまた出た。車に戻りエンジンをかけ、アクセルを踏み込む犬窯田。
「雉子本さん、なんだったんすか課長のあれ。」
「中学の事件に首突っ込むなってよ。」
「なんすかそれ。…面白いじゃないすか。」
車のスピードが少し上がった。珍しく犬窯田のテンションが上がっている。コイツこういうとこあるんだよなぁ…。
「あぁ。なんかおかしいぞ。課長は俺らが勝手な動きしててもホシをあげりゃなんも言わねえ…そういう人だ。手を引けだなんて、あんなこと言う人じゃねぇんだよ。」
「そうっすよね。…ってことは、上からっすか。」
「どっから…なんの為の圧力だってんだ…。」
「…。」
おそらく課長は上からの圧力で俺にあぁ言ってきたんだ。きっと理由を聞いても応えない。知らされていない可能性さえある。
神無咲が「上は情報を出してない」とか言っていた。逆に言えば"CRY"は中学の事件以上の何かに絡んでいて、その情報の漏洩が上にとって不都合なものなのかもしれない。そうなら慎重に動く必要はある。
しかし、今回の中学の事件に限って考えれば、あれだけスピーディーに動いたってのに上へ話が行くのが早すぎる。そう考えれば、どっかの犬窯田のパイプに上と繋がってるやつが居るか、もしくは…。
「…。」
「んー、俺のパイプじゃないと思うんですがねぇ…。」
犬窯田はゆっくりとハンドルを切っていた。
「…そうだな。とにかく、この一件から外されたんじゃあかなわん。」
俺は腕を組み直して続けた。
「ひとまずは情報を待ちつつ、失踪者の殺人事件の聞き込みを念入りに行う。その中で使えそうな情報をとっていく。いいな。」
「了解っす。」
俺は、俺の勘を信じたくなかった。
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