35 / 73
俺が殺した
犯人の名前
しおりを挟む
しばらく隠れたまま動けなかった。
死体もなくなり、奴がもう戻ってくることはないだろうと、安心したのかもしれない。腰が抜けたというのかな。
そう思うと早々に引き返して行ったあのガキ、すごいな…。
「なんだったんだアイツ…。」
なんて考えていると、そのガキが戻って来た。すでに血溜まりだけになり、死体がなくなっていることに驚いているようだった。ガキはあいつが落とした"CRY"を拾い、写真を撮ってまた走り去った。
"どんな神経してんだ…。"
この場所に写真撮りに戻って来たのか。…なんてガキだ。
俺は自分を落ち着かせ、最初に3人を見かけた時の様子を思い出してみた。
藤宮と佐川の様子を見た限りでは、あいつにかなりイラついていたようだったし、危害を加えるつもりだったに違いない。それがまさかあんなヒョロい奴にやり返された上に殺されちまうとは、本人たちも思いもしなかったろうな。
そういえば、殴りかかる前に佐川がなんか叫んでたよな。
「…はどこだ?」
みたいなことを言ってたな。何かをあいつに聞こうとしているようだった。
俺は後輩に連絡をとった。あの2人が死んだことはひとまず伏せて、藤宮と佐川に絡みのある長髪の生徒が、三木堂にいるか聞いてみた。
「…あぁー居ますね。最近は学校に来てなかったっすけど、その2人を含んだ3人グループで絡みがあった…高柳って奴が。」
「高柳っていうのか。絡みって…どんな絡みだ。」
「その3人が、高柳をいじめてたらしーっすよ。なんか、すげぇえぐいレベルでやってたらしいっす。」
「…いじめか。」
「はい。特にその3人の中でも侠山って奴がやばくて。」
「…きょうやま…?」
思い出した。佐川は
「侠山はどこだ?」
そう言っていた。あの2人は侠山を探してたんだ。それで高柳に行き着いたってことか…?探らねぇと…。
「そいつの家、知らないか?」
「家はさすがに…。」
「じゃあその高柳にツレは?」
「いえ、もう完全にクラスで孤立してたらしいんで、ツレなんていなかったと思います。」
「…そうかぁ。」
「あ、けど最近クラブであいつに似た奴を見たって話は聞いたっすよ。」
「そうか…わかった。」
…ここでクラブかよぉ~。
俺はあそこじゃ、今やバリバリのお尋ね者だからなぁ。でも行かなきゃ分からねぇもんな。
その日から俺はニットを被りメガネをかけて変装し、クラブへ潜入した。
誰かに話しかけてしまえばミロクだとバレるかもしれない。仕方なく俺は隅っこで大人しく周りを観察し続けた。
3日目の夜だった。情報は特になくクラブミュージックに揺られていると、あの殺害現場に現れたガキがツレと紛れ込んで来るのを見かけた。かなり驚いたが、売人2人がトイレに入っていくのを追いかける姿を見て、あいつらも何かを嗅ぎ回っているんだと気づいた。なにかあいつらなりの情報を持っているかもしれない。
俺は奴らのそばへ陣取り、様子を見ることにした。ところがすぐにあいつらは売人に気づかれたようで、仕方なく出ていくことにした。
「おぉー!おつかれぃー!!」
「え…あ!ミロク…!」
俺はその瞬間走り出したガキの顔を見ると、奴も俺を見ていた。ガキ2人は一気に客の間を駆け抜けてクラブを出て行った。
俺も帽子と歯抜けをすぐにのしてクラブを出た。周りを探してみたが、見つかりはしなかった。
「くそぉ…!」
死体もなくなり、奴がもう戻ってくることはないだろうと、安心したのかもしれない。腰が抜けたというのかな。
そう思うと早々に引き返して行ったあのガキ、すごいな…。
「なんだったんだアイツ…。」
なんて考えていると、そのガキが戻って来た。すでに血溜まりだけになり、死体がなくなっていることに驚いているようだった。ガキはあいつが落とした"CRY"を拾い、写真を撮ってまた走り去った。
"どんな神経してんだ…。"
この場所に写真撮りに戻って来たのか。…なんてガキだ。
俺は自分を落ち着かせ、最初に3人を見かけた時の様子を思い出してみた。
藤宮と佐川の様子を見た限りでは、あいつにかなりイラついていたようだったし、危害を加えるつもりだったに違いない。それがまさかあんなヒョロい奴にやり返された上に殺されちまうとは、本人たちも思いもしなかったろうな。
そういえば、殴りかかる前に佐川がなんか叫んでたよな。
「…はどこだ?」
みたいなことを言ってたな。何かをあいつに聞こうとしているようだった。
俺は後輩に連絡をとった。あの2人が死んだことはひとまず伏せて、藤宮と佐川に絡みのある長髪の生徒が、三木堂にいるか聞いてみた。
「…あぁー居ますね。最近は学校に来てなかったっすけど、その2人を含んだ3人グループで絡みがあった…高柳って奴が。」
「高柳っていうのか。絡みって…どんな絡みだ。」
「その3人が、高柳をいじめてたらしーっすよ。なんか、すげぇえぐいレベルでやってたらしいっす。」
「…いじめか。」
「はい。特にその3人の中でも侠山って奴がやばくて。」
「…きょうやま…?」
思い出した。佐川は
「侠山はどこだ?」
そう言っていた。あの2人は侠山を探してたんだ。それで高柳に行き着いたってことか…?探らねぇと…。
「そいつの家、知らないか?」
「家はさすがに…。」
「じゃあその高柳にツレは?」
「いえ、もう完全にクラスで孤立してたらしいんで、ツレなんていなかったと思います。」
「…そうかぁ。」
「あ、けど最近クラブであいつに似た奴を見たって話は聞いたっすよ。」
「そうか…わかった。」
…ここでクラブかよぉ~。
俺はあそこじゃ、今やバリバリのお尋ね者だからなぁ。でも行かなきゃ分からねぇもんな。
その日から俺はニットを被りメガネをかけて変装し、クラブへ潜入した。
誰かに話しかけてしまえばミロクだとバレるかもしれない。仕方なく俺は隅っこで大人しく周りを観察し続けた。
3日目の夜だった。情報は特になくクラブミュージックに揺られていると、あの殺害現場に現れたガキがツレと紛れ込んで来るのを見かけた。かなり驚いたが、売人2人がトイレに入っていくのを追いかける姿を見て、あいつらも何かを嗅ぎ回っているんだと気づいた。なにかあいつらなりの情報を持っているかもしれない。
俺は奴らのそばへ陣取り、様子を見ることにした。ところがすぐにあいつらは売人に気づかれたようで、仕方なく出ていくことにした。
「おぉー!おつかれぃー!!」
「え…あ!ミロク…!」
俺はその瞬間走り出したガキの顔を見ると、奴も俺を見ていた。ガキ2人は一気に客の間を駆け抜けてクラブを出て行った。
俺も帽子と歯抜けをすぐにのしてクラブを出た。周りを探してみたが、見つかりはしなかった。
「くそぉ…!」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
クアドロフォニアは突然に
七星満実
ミステリー
過疎化の進む山奥の小さな集落、忍足(おしたり)村。
廃校寸前の地元中学校に通う有沢祐樹は、卒業を間近に控え、県を出るか、県に留まるか、同級生たちと同じく進路に迷っていた。
そんな時、東京から忍足中学へ転入生がやってくる。
どうしてこの時期に?そんな疑問をよそにやってきた彼は、祐樹達が想像していた東京人とは似ても似つかない、不気味な風貌の少年だった。
時を同じくして、耳を疑うニュースが忍足村に飛び込んでくる。そしてこの事をきっかけにして、かつてない凄惨な事件が次々と巻き起こり、忍足の村民達を恐怖と絶望に陥れるのであった。
自分たちの生まれ育った村で起こる数々の恐ろしく残忍な事件に対し、祐樹達は知恵を絞って懸命に立ち向かおうとするが、禁忌とされていた忍足村の過去を偶然知ってしまったことで、事件は思いもよらぬ展開を見せ始める……。
青春と戦慄が交錯する、プライマリーユースサスペンス。
どうぞ、ご期待ください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
闇に蠢く
野村勇輔(ノムラユーリ)
ホラー
関わると行方不明になると噂される喪服の女(少女)に関わってしまった相原奈央と相原響紀。
響紀は女の手にかかり、命を落とす。
さらに奈央も狙われて……
イラスト:ミコトカエ(@takoharamint)様
※無断転載等不可
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる