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声なき声を
再会
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パニックになった侠山くんは谷崎に掴みかかった。
「お前、俺の兄貴も殺られてるかもしれねぇって言いてぇのか!あぁっ?」
「おい落ち着けよ、侠山!」
「谷崎に絡んでも仕方ないよ侠山くん…!」
僕は間に入って侠山くんを谷崎から引き剥がした。
確かに、仲の良い3人のうち2人が殺され、殺人犯からの犯行声明を意味するランプが届いた。そうなれば、残り1人が生きている可能性は…かなり低いと思う。
「でも、まだ確定した訳じゃないよ侠山くん。」
「…。」
「そうだぞ侠山、今取り乱したって仕方ねぇよ。」
「…そうだな…悪い。」
「…。」
侠山くんは谷崎を見ることはなかったけど謝罪した。侠山くんが謝った…僕はちょっと感動した。
「…とは言っても、時間がないのは間違いねぇよ。」
谷崎はスマホを取り出した。
スマホのメモには数字が羅列されていて、行方不明になっている生徒と、反撃された生徒を調べてくれていた。
「いいか…今、行方不明になってる不良は侠山の兄貴が通ってる三木堂高校の生徒がほとんどだ。そんで、お前みたいに反撃にあった不良は中学生ばかりだ。だから反撃が起きた事件のことは無視していいと思う。おれは犯人は"三木堂高校の不良に恨みをもってる奴ら"だと思う。」
谷崎の考察を聞いて僕も考えた。
「…もしも、その考察通りなら、僕が見つけた2人からも、なにかしらの被害を受けた人なのかも。」
「その可能性が高いよな。侠山、誰か心当たりはあるか?」
「知らねぇよ、そんなもん…あ、けど前に兄貴から"クラスに面白いオモチャがある"ってのはちらっと聞いた気がするなぁ。」
普通にそう発言する侠山くんを見て僕らは非常にげんなりした。
「…マジでお前ら兄弟、喧嘩はバカ強いのに性格最悪だよなぁ。」
「んだとコラぁ!」
「おーい!お前たち。」
「…?」
侠山くんがキレたので、僕がまた2人の間に入ろうとしてると、聞いたことのある声が後ろから話しかけてきた。振り返るとクラブBEASTで会った緑髪のミロクが立っていた。
「え…!」
谷崎もミロクだと気づいたが、他の何かに気づいたような表情だった。
「誰だお前。」
侠山くんはミロクを見たことがなかったので、かなり悪い態度を見せている。少しだけムッとした表情で侠山くんを一瞥してから僕のことを見てミロクは応えた。
「お前らの話は影から聞かせてもらった。俺が噂のミロクだ。」
「あぁ!?お前がミロクか!…ブッ殺す!」
「おいやめろ!侠山、この人は…!」
侠山くんは谷崎の制止も聞かず、ミロクに殴りかかった。
「!」
喧嘩になってしまうと思ったのも束の間…なんと一瞬でカタがついてしまった。侠山くんは顎へのカウンター1発でミロクにのされたのだ。
「はは、大学生のおにーさんを舐めんなよ、中坊。」
カラカラと陽気にミロクは笑っている。
「刺されたり、のされたり、ツイてないねぇ…でも君が悪いんだよ。」
と倒れた侠山くんを屈んで見ていると、谷崎がミロクに声をかけた。
「もしかして、黒野弥勒さん…ですか?」
「え、なんで苗字知ってんだ?」
ミロクも驚いたようだったが、谷崎が知ってるってことは、もしかして元々は有名な不良なんだろうか。
「はい。俺、川鍋中学の一年です。」
「あぁ…そうか、悟里の一個下か。」
「はい。…その、弟さんのこと…。」
先日、川鍋中学で黒野という不良生徒が、いじめの被害者から反撃を受けて刺殺された話を思い出した。ミロクはその刺された黒野悟里の兄だった。
「…あいつのこと知ってくれてんのか。」
「…はい。」
「そうか。まぁ…今は弟の話はいい。ところで、今俺がのしたこいつ、侠山って言うのか?」
僕は不思議に思って尋ねた。
「そうですけど…彼のこと知ってるんですか?」
「…いや、なんでもねぇよ。」
ミロクは頭を掻いて少し考え、話すのをやめたように見えた。明らかに顔が引き攣ったミロクに僕は聞いてみた。
「あの、こないだは…ありがとうございました。それで…どうして、僕らを助けてくれたんですか。」
「お前、俺の兄貴も殺られてるかもしれねぇって言いてぇのか!あぁっ?」
「おい落ち着けよ、侠山!」
「谷崎に絡んでも仕方ないよ侠山くん…!」
僕は間に入って侠山くんを谷崎から引き剥がした。
確かに、仲の良い3人のうち2人が殺され、殺人犯からの犯行声明を意味するランプが届いた。そうなれば、残り1人が生きている可能性は…かなり低いと思う。
「でも、まだ確定した訳じゃないよ侠山くん。」
「…。」
「そうだぞ侠山、今取り乱したって仕方ねぇよ。」
「…そうだな…悪い。」
「…。」
侠山くんは谷崎を見ることはなかったけど謝罪した。侠山くんが謝った…僕はちょっと感動した。
「…とは言っても、時間がないのは間違いねぇよ。」
谷崎はスマホを取り出した。
スマホのメモには数字が羅列されていて、行方不明になっている生徒と、反撃された生徒を調べてくれていた。
「いいか…今、行方不明になってる不良は侠山の兄貴が通ってる三木堂高校の生徒がほとんどだ。そんで、お前みたいに反撃にあった不良は中学生ばかりだ。だから反撃が起きた事件のことは無視していいと思う。おれは犯人は"三木堂高校の不良に恨みをもってる奴ら"だと思う。」
谷崎の考察を聞いて僕も考えた。
「…もしも、その考察通りなら、僕が見つけた2人からも、なにかしらの被害を受けた人なのかも。」
「その可能性が高いよな。侠山、誰か心当たりはあるか?」
「知らねぇよ、そんなもん…あ、けど前に兄貴から"クラスに面白いオモチャがある"ってのはちらっと聞いた気がするなぁ。」
普通にそう発言する侠山くんを見て僕らは非常にげんなりした。
「…マジでお前ら兄弟、喧嘩はバカ強いのに性格最悪だよなぁ。」
「んだとコラぁ!」
「おーい!お前たち。」
「…?」
侠山くんがキレたので、僕がまた2人の間に入ろうとしてると、聞いたことのある声が後ろから話しかけてきた。振り返るとクラブBEASTで会った緑髪のミロクが立っていた。
「え…!」
谷崎もミロクだと気づいたが、他の何かに気づいたような表情だった。
「誰だお前。」
侠山くんはミロクを見たことがなかったので、かなり悪い態度を見せている。少しだけムッとした表情で侠山くんを一瞥してから僕のことを見てミロクは応えた。
「お前らの話は影から聞かせてもらった。俺が噂のミロクだ。」
「あぁ!?お前がミロクか!…ブッ殺す!」
「おいやめろ!侠山、この人は…!」
侠山くんは谷崎の制止も聞かず、ミロクに殴りかかった。
「!」
喧嘩になってしまうと思ったのも束の間…なんと一瞬でカタがついてしまった。侠山くんは顎へのカウンター1発でミロクにのされたのだ。
「はは、大学生のおにーさんを舐めんなよ、中坊。」
カラカラと陽気にミロクは笑っている。
「刺されたり、のされたり、ツイてないねぇ…でも君が悪いんだよ。」
と倒れた侠山くんを屈んで見ていると、谷崎がミロクに声をかけた。
「もしかして、黒野弥勒さん…ですか?」
「え、なんで苗字知ってんだ?」
ミロクも驚いたようだったが、谷崎が知ってるってことは、もしかして元々は有名な不良なんだろうか。
「はい。俺、川鍋中学の一年です。」
「あぁ…そうか、悟里の一個下か。」
「はい。…その、弟さんのこと…。」
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「…あいつのこと知ってくれてんのか。」
「…はい。」
「そうか。まぁ…今は弟の話はいい。ところで、今俺がのしたこいつ、侠山って言うのか?」
僕は不思議に思って尋ねた。
「そうですけど…彼のこと知ってるんですか?」
「…いや、なんでもねぇよ。」
ミロクは頭を掻いて少し考え、話すのをやめたように見えた。明らかに顔が引き攣ったミロクに僕は聞いてみた。
「あの、こないだは…ありがとうございました。それで…どうして、僕らを助けてくれたんですか。」
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