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雨の贈り物
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蛍光灯の明かりで逆光になって暗いが朝陽の顔がみるみる赤くなっていくのがわかった。
あ、あ、と二の句が告げないのをなんだか可愛いなと思う。
「したい?したくない?」
「そりゃ、してみたい、けど」
「ん、わかった。準備してくるからどいて」
覆い被さる大きな胸を押すとすんなりとどいてくれた。
よいしょと身を起こして見ると正座して縮こまっていてそれもまたなんだかな、と思う。
二段ベッドの上段の衣装ケースにはローションもゴムも準備のなにもかもが置き土産のように置いてある。
部屋を出る前に見ると朝陽はまだ正座したままだった。
静まり返ったトイレの個室で思い出されるのは、あの海だ。
一瞬だけ触れた唇に驚いた、男相手にそんなことができるのかと。
「いい感じじゃーん」
コスタリカーナでみゃーちゃんはそう言った。
黒くならずに赤くなるだけの肌は隠しようもなく洗いざらい吐かされた。
「なっちはなにが駄目なの?」
「なにがって言うか、あいつはもうすぐ第一寮に帰るんだよ」
「離れて寂しいって?」
「違う、そうなったら接点なんて無いってこと。初めて見たゲイのことなんてすぐに忘れるよ」
「ふぅん、じゃさ忘れないうちに一発ヤっといたら?」
みゃーちゃんは人差し指と親指で作った輪っかにもう片方の人差し指をズボズボ突き刺した。
なんでそうなんの?と呆れた声が出る。
「朝陽くんにとってなっちが最初で最後の男になるじゃん」
「んなの別に嬉しかないわ。それ言うなら先輩だって僕がそうだと思うし」
「なっち、男運ないよねー」
「みゃーちゃんに言われたくない」
「ほんとに嫌ならうぜぇ、ばーか、ぶーすって言えばいいじゃん」
「ブスではない」
そこなんだ、とみゃーちゃんはケラケラ笑う。
嫌じゃない、ただ困るんだ。
あんなに真っ直ぐな思いをぶつけられても返せるものが何もない。
窮屈な肩身の狭い思いをしてほしくない、いつでもいつまでもキラキラ輝いてほしい。
そしていつか自分のことは若気の至りだったなぁ、と酒を飲みながら笑い話にでもしてほしい。
「なっち、今年の誕生日どうすんの?またご飯行く?奢ってあげるよ」
「んー、どうしようかな」
大学一年目は先輩と、二年目はみゃーちゃんとママ、三年目の今年はどうしよう。
誕生日に祝われるというのは、生まれてきて良かったねと言われているようで嬉しい。
こんな自分でも受け入れてもらえるという場所が、それを祝ってもらえる事実が嬉しい。
「なっち、好きな人が自分のこと好きってすごいことだよ」
「そんなんじゃないってば」
「相手の気持ちは信じなくてもいいけど、自分の気持ちは信じてあげようよ」
そんなの可哀想だよ、そう言ってみゃーちゃんは寂しそうに眉を伏せた。
苦い恋なんていうものはマイノリティに限ったことじゃなくて、誰にでも訪れる可能性がある。
可哀想可哀想と哀れんでみても立ち止まっている限り、その先へは行けない。
空は広くずっと続いている、そう気づけたのに。
「久しぶりだけど、意外といけるもんだな」
後孔には自分の指が三本入っている。
気持ちいいのか悪いのか、もうよくわからない。
ただ、柔らかく解して広げるのに必死だった。
雨が降らなければきっとこんなことにはなってなかっただろう。
今年のプレゼントはこの雨なのだ。
尻に若干の違和感を感じながら部屋に戻ると朝陽がまだ正座していた。
結構待たせてしまったと思うんだけれど大丈夫だろうか?
「朝陽?」
「あ、なち、ごめ、ごめん、違う、そんなつもりじゃ」
慌てふためいた朝陽が立とうとするが、足が痺れたのかその場に倒れた。
「ほんま阿呆やな。まぁ、ちょうどええから寝とき」
ローションやらなんやら入ったビニール袋を置いて、朝陽を仰向けにするとそのままハーフパンツを下着と共に下ろした。
当たり前だが全く反応してないそこに苦笑する。
いやしかし、手持ちのゴムでこれはいけるのだろうか。
「朝陽、ゴム持ってる?」
「いや、なち?もうやめよう。そういうんじゃないんだ」
「どうせ、財布とかに入れてるんやろ」
朝陽の黒のボディバッグの中の財布を検めると案の定ひとつ忍ばせてあった。
さすがモテ男くん、那智はひっそりと笑って朝陽に向き合った。
「目ぇ瞑っとき」
なぜか少し兆してきたそこを軽く扱き、舌を這わせた。
双玉は重くやわやわと揉みしだきながら、亀頭と裏筋は丁寧に舐めた。
鈴口を舌先で刺激し零れてきたカウパーを舐め取り、尿道をちゅうと吸い上げた。
舌を絡めながらゆっくり口に含んで動くと朝陽のそれが完全に勃ちあがった。
硬く芯を持っているし、これならいけそうと思うが果たして予想より大きいこれが入るのだろうか。
「なち・・・」
「ん、ちょっと待って」
こういうのは勢いだと思う、ゴムをつけて跨って一気に腰を下ろす。
舐めている間それだけを頭の中で必死で考えていた。
だから朝陽がどんな顔をしていたのか知らないし、何を言っていたのかも耳に入ってこなかったんだ。
あ、あ、と二の句が告げないのをなんだか可愛いなと思う。
「したい?したくない?」
「そりゃ、してみたい、けど」
「ん、わかった。準備してくるからどいて」
覆い被さる大きな胸を押すとすんなりとどいてくれた。
よいしょと身を起こして見ると正座して縮こまっていてそれもまたなんだかな、と思う。
二段ベッドの上段の衣装ケースにはローションもゴムも準備のなにもかもが置き土産のように置いてある。
部屋を出る前に見ると朝陽はまだ正座したままだった。
静まり返ったトイレの個室で思い出されるのは、あの海だ。
一瞬だけ触れた唇に驚いた、男相手にそんなことができるのかと。
「いい感じじゃーん」
コスタリカーナでみゃーちゃんはそう言った。
黒くならずに赤くなるだけの肌は隠しようもなく洗いざらい吐かされた。
「なっちはなにが駄目なの?」
「なにがって言うか、あいつはもうすぐ第一寮に帰るんだよ」
「離れて寂しいって?」
「違う、そうなったら接点なんて無いってこと。初めて見たゲイのことなんてすぐに忘れるよ」
「ふぅん、じゃさ忘れないうちに一発ヤっといたら?」
みゃーちゃんは人差し指と親指で作った輪っかにもう片方の人差し指をズボズボ突き刺した。
なんでそうなんの?と呆れた声が出る。
「朝陽くんにとってなっちが最初で最後の男になるじゃん」
「んなの別に嬉しかないわ。それ言うなら先輩だって僕がそうだと思うし」
「なっち、男運ないよねー」
「みゃーちゃんに言われたくない」
「ほんとに嫌ならうぜぇ、ばーか、ぶーすって言えばいいじゃん」
「ブスではない」
そこなんだ、とみゃーちゃんはケラケラ笑う。
嫌じゃない、ただ困るんだ。
あんなに真っ直ぐな思いをぶつけられても返せるものが何もない。
窮屈な肩身の狭い思いをしてほしくない、いつでもいつまでもキラキラ輝いてほしい。
そしていつか自分のことは若気の至りだったなぁ、と酒を飲みながら笑い話にでもしてほしい。
「なっち、今年の誕生日どうすんの?またご飯行く?奢ってあげるよ」
「んー、どうしようかな」
大学一年目は先輩と、二年目はみゃーちゃんとママ、三年目の今年はどうしよう。
誕生日に祝われるというのは、生まれてきて良かったねと言われているようで嬉しい。
こんな自分でも受け入れてもらえるという場所が、それを祝ってもらえる事実が嬉しい。
「なっち、好きな人が自分のこと好きってすごいことだよ」
「そんなんじゃないってば」
「相手の気持ちは信じなくてもいいけど、自分の気持ちは信じてあげようよ」
そんなの可哀想だよ、そう言ってみゃーちゃんは寂しそうに眉を伏せた。
苦い恋なんていうものはマイノリティに限ったことじゃなくて、誰にでも訪れる可能性がある。
可哀想可哀想と哀れんでみても立ち止まっている限り、その先へは行けない。
空は広くずっと続いている、そう気づけたのに。
「久しぶりだけど、意外といけるもんだな」
後孔には自分の指が三本入っている。
気持ちいいのか悪いのか、もうよくわからない。
ただ、柔らかく解して広げるのに必死だった。
雨が降らなければきっとこんなことにはなってなかっただろう。
今年のプレゼントはこの雨なのだ。
尻に若干の違和感を感じながら部屋に戻ると朝陽がまだ正座していた。
結構待たせてしまったと思うんだけれど大丈夫だろうか?
「朝陽?」
「あ、なち、ごめ、ごめん、違う、そんなつもりじゃ」
慌てふためいた朝陽が立とうとするが、足が痺れたのかその場に倒れた。
「ほんま阿呆やな。まぁ、ちょうどええから寝とき」
ローションやらなんやら入ったビニール袋を置いて、朝陽を仰向けにするとそのままハーフパンツを下着と共に下ろした。
当たり前だが全く反応してないそこに苦笑する。
いやしかし、手持ちのゴムでこれはいけるのだろうか。
「朝陽、ゴム持ってる?」
「いや、なち?もうやめよう。そういうんじゃないんだ」
「どうせ、財布とかに入れてるんやろ」
朝陽の黒のボディバッグの中の財布を検めると案の定ひとつ忍ばせてあった。
さすがモテ男くん、那智はひっそりと笑って朝陽に向き合った。
「目ぇ瞑っとき」
なぜか少し兆してきたそこを軽く扱き、舌を這わせた。
双玉は重くやわやわと揉みしだきながら、亀頭と裏筋は丁寧に舐めた。
鈴口を舌先で刺激し零れてきたカウパーを舐め取り、尿道をちゅうと吸い上げた。
舌を絡めながらゆっくり口に含んで動くと朝陽のそれが完全に勃ちあがった。
硬く芯を持っているし、これならいけそうと思うが果たして予想より大きいこれが入るのだろうか。
「なち・・・」
「ん、ちょっと待って」
こういうのは勢いだと思う、ゴムをつけて跨って一気に腰を下ろす。
舐めている間それだけを頭の中で必死で考えていた。
だから朝陽がどんな顔をしていたのか知らないし、何を言っていたのかも耳に入ってこなかったんだ。
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