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狂おしいほど愛しい

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ナルシュが鼻血を大量に噴出し、その後エルドリッジもちょっぴり鼻血を垂らし眠ったその夜明け頃のこと。

もぞもぞと動く気配に目を覚ましたエルドリッジはベッドの中に充満する酸っぱくも甘い匂いに思わず唾を飲み込んだ。
そっと掛布を捲ると暴力的な匂いに襲われ、一瞬気を失いかけた。
腰に片足を乗せ、それ以上は無理だろうと思うくらいにくっついている旋毛が見える。

「ナル?」 

脇に手を入れて引き上げると涙に濡れた顔があった。
どうした?と聞くまでもなく発情期が訪れたのだとわかった。
まだ少しだけ先かと予想していたが、なにに充てられたのか早まったようだ。

「エル?今日はどこにも行かないで」

こんな状態を放って行くわけがない、ないがそう思わせてしまった理由も痛いほどよくわかる。

「行かないよ」
「ほんと?」
「本当」

優しく包み込むように背中に回した手で温めるように撫でる。
搾りたてのライムのようなレモンのような匂いにひっきりなしに唾液が溢れて、飲み込むのが追いつかない。

「ナル、キスしようか」

うん、と顔を寄せてくるその唇に触れて堪らなくなって貪るように深く口付けた。
溢れる唾液はだらだらと零れ、お互いの首筋を伝っていく。

「エル、今日いっぱいできる?」
「できる」
「いっぱい甘えても嫌いにならない?」
「なるわけないよ、むしろ嬉しい」
「ほんと?」
「本当」

いっぱい好きって言って、とナルシュはくしゃりと笑って自ら服を脱いだ。


自分と同じモノなのにどうしていつも可愛いと思うんだろうか、と簡単に握り込めてしまうナルシュのモノを上下に扱く。
ぷくりと立った乳首は唾液でしとどに濡れて、舐めて舌で転がすだけでちゅぶちゅぶと音が響いた。

「エル、もう、出そう」
「ん、出していいよ」
「んんっ、あっ・・・飲んで」
「飲んでほしいの?」
「・・・うん」

たらりと零れる蜜を啜って、つるりとした先を刺激しながら咥えただけでナルシュは達してしまった。
飛び出したそれは喉の入口に叩きつけられ、そのまま腹に落ちていく。
苦くて甘くてねっとり濃厚なそれは欲望を増幅させるようなもの。
ちゅうと吸い上げながら触れた後孔は、縁をピクピクと動かしながら溢れる愛液でびしょ濡れになっていた。
そっと撫でただけで、ついっと指先を飲み込まれ奥へと誘われる。

達した余韻で脱力する体がふるりと震え、あっあっと吐息のような嬌声に理性がもちそうにない。
優しくしたいのにぐちゃぐちゃに犯したい。

「ナル、もう中に入りたい」

はふはふと息を吐きながらコクコクと小さく頷いて、自ら足を持って晒す姿に大いに煽られて一気に理性が瓦解した。
ゆっくりしたかったのに誘われるままに突き立てた。
ヒュッと息を飲み込む声が聞こえたがもう止まれない。
馴染む間もなく覆い被さってゆすりながら、顔にかかる髪を払って覆い被さった。
頭を抱え込んで開いた口からだらしなくはみ出た舌を吸って絡ませながら、奥の扉をこじ開けるように強く突きあげた。

「はっ、あぁ・・・ナルの中、熱くて気持ちいい」
「あっ、あぁっエルっ、それ、それすきぃ・・・」
「どれ?はぁっ・・・奥?ここ突くの?」
「あたま、かみのけぐしゃぐしゃってしながらぁ、うごくのすきっ、ぁぁっ」

下から飛んでくる白濁にナルシュが達したことに気づいた。
ぐたりとした体をぐるりと回してまた押さえつける。
わしゃわしゃと髪をかき混ぜ、頭を少々強引にかき抱いてもナルシュは甘い声をひっきりなしにあげて気持ちいいと言う。
達したばかりの中はお前も達しろ、と言わんばかりにとろとろで絞りとるように蠢いた。
ぬちゅぬちゅととめどなく湧く粘着質な音と、パンパンと肌が合わさる音と甘い声。

「ナル、可愛いナルシュ・・・俺のにしていい?」
「いいよぉ」

チラとあげる紅潮した顔が色っぽくて可愛くて、矢も盾もたまらずぐりぐりと奥に擦りつけながらガブリと項を噛んだ。
情緒も雰囲気もなにもなく獣のように、襟足の髪を巻き込んで強く強く。

「あ、あっ、痛っ」
「はぁっ、ナル、これで俺のになったな」

ちぎれた髪を吐き出して、血を舐めとっていく。
荒い息遣いが徐々に収まり、長い射精を終えるとナルシュがくるりと振り向いた。

「エルのになれた?」
「あぁ、これから先ずっと俺のだ」
「じゃあ、もっとして」

ちょんと小首を傾げて強請る姿が可愛くて愛しくて、それから時間を忘れて抱き合った。

「エルっ・・・えるぅ、おれ、ちゃんと、イってる?」
「はぁっ・・・ん、中でイってる・・・イク度にぎゅうって中が締まって、、はっ・・・俺のこと離さないって言ってるみたい」
「そっか・・・そっかぁ・・・」

エルドリッジの膝に乗り、首に腕を回したままナルシュはへらりと笑った。

「ここが、ぽかぽかする」

そう言って腕を外し、手のひらでエルドリッジの心臓に触れる。
ふにゃと笑ったナルシュはそのままぐらりと後ろに倒れた。
その拍子にエルドリッジ自身がナルシュの中から抜け、そして吐精した。
びゅうと出た白濁液はナルシュの腹に落ち、胸にもかかった。
抜けた瞬間に出るなんてなんとも情けない。

「・・・つがいってこーんなにうれしいんだぁ。しゃぁーわせぇ」

もっとほしー、そう呟いてナルシュはその瞼を閉じた。
後に聞こえるのはすぅすぅという寝息だけ。

「・・・お前はほんとに自由だな」

豪快に四肢を投げ出した姿は、満腹だと言っているようで実に健やかだった。







※発情期というのは本能とか本性が表れるものでは?とふわっと思っています。
普段とは違う部分が剥き出しになるような。
※ナルは中間子ということもあり、上は品行方正な兄、下は愛される可愛い弟に挟まれてきました。
特に差を付けられたわけではないけれど、自分で差を付けてきた部分もあるので根は甘えっ子だし寂しがり屋です。
リュカは素の面と対外的な面を使い分けているので、発情期には暴力的になるのかな、と。ストレス発散的な。
アイクはやっとこ手に入った自分だけのモノに歯止めがきかなくなりました(ずっと拗らせてたので)
ジェラールはなんちゃってと言われ知らず屈折した思いを、自分を盲目的に愛してくれるニコラスにぶつけることができます。
ニコラスは普段ヘタレ気味のジェラールの雄の部分にK.Oされてるので全部受け止めます(M気味)
エルはα三兄妹で頼ることも頼られることもなく、全身で甘えてくるナルが好きです。
一番典型的なαなんじゃないかな、と思ってます。
※以上、谷絵的3カプへの思いでした(. . `)長々すみません。
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