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新春閑話 溺愛する者はうさぎの夢を見るか
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【アイク×リュカ】
その日、目覚めると目の前にこの世で一番可愛らしく愛らしいリュカが顔を覗き込んでいた。
「おはよう」
「おはようございます、アイク」
「先に起きてるの珍しいな」
「はい、アイクに起こされたのです」
たった今目覚めたばかりで起こしてはいないが、と首を捻る。
寝返りをうって覆いかぶさったりしたのだろうか。
「アイク、耳がついてます」
「耳はいつでもついてるぞ?」
「違います。うさぎの耳がついてるのです」
「・・・・・・・・・は?」
たっぷり十秒ほど見つめあった後、リュカが頭の上で両手をぴょこぴょこと動かした。
なにそれ、可愛い。
「その耳が僕の耳を擽ったのです。だから目が覚めました」
腹に乗るリュカをころりと転がして、慌てて姿見の前へ走った。
そんな、まさか、物語のようなことが・・・
「耳が、、生えてる」
「だから言ったでしょう?」
そろそろと耳を触って見ると生々しい感触がする。
耳は髪の中からピンと立っていて黒だった。
こんなものをつけていては仕事にならない。
「アイク、ここモコモコしてます」
「え、どこ・・・」
リュカが腰の辺りに触れたかと思うとずるりと下着を下ろされた。
しっぽがある!とわさわさと腰を撫でさする。
「リュ、ちょ、やめっ、、ゔぉっ!」
尻に感じる痛烈な違和感に振り向くとリュカが指を突き立てていた。
上目遣いにニタァと笑う顔は恐ろしい。
「リュカ、俺のソコはそんな風にできていない」
「そんなのわかりませんよ?」
「わかる!小指の先程も入らなかったろ?」
これからですよ、と笑うリュカはどこからか香油をだしてきてぬちゃぬちゃと手で伸ばし始めたのだった。
【エルドリッジ×ナルシュ】
──いぃぃやぁああぁーーー!!
うるさい、朝からすこぶるうるさい、朝一番の声量ではない。
ナルシュが朝からなにやら叫んでいる、わかる、この後くる、絶対くる。
──エぇぇ~ルぅぅぅー~ーー!!
ほらきた、と目を開けたその先の光景を見て我が目を疑った。
ガバリと起き上がって間近でよくよく見てみる。
「え、なに、可っ愛、え?夢?」
「なぁに言ってんだよー!なんだよこれ、引っこ抜けないんだよ!抜いてよぉっ」
「なんで、可愛いじゃないか」
目に涙を溜めてギロと睨まれてもちっとも怖くない、むしろ可愛い。
よし、やろう。
「俺これからどうなんの?こんなうさぎの耳生やして生きていくの?嫌だぁぁあああぁぁっっ!!」
「ナル、大丈夫だ!」
「ほんと?なんとかなる?」
ぺしょぺしょとべそをかく顔にちゅっちゅとキスの雨を降らせてから、濡れた唇に深く口付けながら尻を触るとやはりしっぽがあった。
「可愛いから大丈夫!」
「おまえバカだろぉーーーっっ!!」
【ジェラール×ニコラス】
ピチチの小鳥の鳴き声を聞いて、隣にある温もりを感じたジェラールは幸せだなぁと思った。
すんなりと騎士団宿舎を出られて良かった。
どうして誰もニコラスがそうだと気づかなかったんだ、こんなに可愛いのにと瞼を上げた。
ピタリと引っ付いてスヤスヤと眠るニコラスの頭にうさぎの耳が生えている。
な、なん、これ、自分たち以外誰もいないとわかっていてもジェラールはキョロキョロと辺りを見渡した。
薄茶の長い耳がぺたりと寝ている。
本物?とその耳を少し引いてみて、その温かさ血の巡る様を感じた。
「んっ、んぅ?おはよござ・・・ます」
耳を引っ張ったのが刺激になって目を覚ましてしまったニコラスになんと言おうか、とジェラールが思案したその時──。
「ジェッ、ジェラール!そのあた、頭にみみみ耳が」
「私にも生えてるのかい?」
「も?もって、、まさか」
二人同時に自分の頭に手をやってそこにピンと立つ耳を見つけた。
「あ、あぁ、あ、なんで?なんでこんなことに・・・」
「ニコラス君、落ち着いて。冷静になろう」
こんなわけのわからない非常事態にも関わらずジェラールの声音はいつもと変わりなく穏やかだ。
歳上の大人の貫禄とはこういうものなのだ、とニコラスはその細められた目をうっとりと見つめた。
「ニコラス君知ってる?」
ニコラスのピンと立つ耳をやわやわと揉んで、内側の細かい血管が浮いたそこをペロリとジェラールは舐めた。
「うさぎって年中発情期なんだって」
いっぱいできるね、そう言ってジェラールはニコラスを押し倒した。
【リュカ×ナルシュ×ニコラス】
同じ頃───
リュカは苦悶の表情でうなされながら眠っているアイザックの眉間の皺を伸ばしていた。
「悪夢でも見てるのかなぁ」
ナルシュはニヨニヨと笑いながら眠っているエルドリッジを見てゾクリと体を震わせていた。
「・・・嫌な予感がする」
ニコラスはすよすよと眉ひとつ動かさず眠っているジェラールを珍しいものを見る目で見ていた。
「いつも私より先に起きてるのに・・・。滅多にないからよく見ておこう」
☆あけましておめでとうございます
皆さまに幸多からんことを!!
その日、目覚めると目の前にこの世で一番可愛らしく愛らしいリュカが顔を覗き込んでいた。
「おはよう」
「おはようございます、アイク」
「先に起きてるの珍しいな」
「はい、アイクに起こされたのです」
たった今目覚めたばかりで起こしてはいないが、と首を捻る。
寝返りをうって覆いかぶさったりしたのだろうか。
「アイク、耳がついてます」
「耳はいつでもついてるぞ?」
「違います。うさぎの耳がついてるのです」
「・・・・・・・・・は?」
たっぷり十秒ほど見つめあった後、リュカが頭の上で両手をぴょこぴょこと動かした。
なにそれ、可愛い。
「その耳が僕の耳を擽ったのです。だから目が覚めました」
腹に乗るリュカをころりと転がして、慌てて姿見の前へ走った。
そんな、まさか、物語のようなことが・・・
「耳が、、生えてる」
「だから言ったでしょう?」
そろそろと耳を触って見ると生々しい感触がする。
耳は髪の中からピンと立っていて黒だった。
こんなものをつけていては仕事にならない。
「アイク、ここモコモコしてます」
「え、どこ・・・」
リュカが腰の辺りに触れたかと思うとずるりと下着を下ろされた。
しっぽがある!とわさわさと腰を撫でさする。
「リュ、ちょ、やめっ、、ゔぉっ!」
尻に感じる痛烈な違和感に振り向くとリュカが指を突き立てていた。
上目遣いにニタァと笑う顔は恐ろしい。
「リュカ、俺のソコはそんな風にできていない」
「そんなのわかりませんよ?」
「わかる!小指の先程も入らなかったろ?」
これからですよ、と笑うリュカはどこからか香油をだしてきてぬちゃぬちゃと手で伸ばし始めたのだった。
【エルドリッジ×ナルシュ】
──いぃぃやぁああぁーーー!!
うるさい、朝からすこぶるうるさい、朝一番の声量ではない。
ナルシュが朝からなにやら叫んでいる、わかる、この後くる、絶対くる。
──エぇぇ~ルぅぅぅー~ーー!!
ほらきた、と目を開けたその先の光景を見て我が目を疑った。
ガバリと起き上がって間近でよくよく見てみる。
「え、なに、可っ愛、え?夢?」
「なぁに言ってんだよー!なんだよこれ、引っこ抜けないんだよ!抜いてよぉっ」
「なんで、可愛いじゃないか」
目に涙を溜めてギロと睨まれてもちっとも怖くない、むしろ可愛い。
よし、やろう。
「俺これからどうなんの?こんなうさぎの耳生やして生きていくの?嫌だぁぁあああぁぁっっ!!」
「ナル、大丈夫だ!」
「ほんと?なんとかなる?」
ぺしょぺしょとべそをかく顔にちゅっちゅとキスの雨を降らせてから、濡れた唇に深く口付けながら尻を触るとやはりしっぽがあった。
「可愛いから大丈夫!」
「おまえバカだろぉーーーっっ!!」
【ジェラール×ニコラス】
ピチチの小鳥の鳴き声を聞いて、隣にある温もりを感じたジェラールは幸せだなぁと思った。
すんなりと騎士団宿舎を出られて良かった。
どうして誰もニコラスがそうだと気づかなかったんだ、こんなに可愛いのにと瞼を上げた。
ピタリと引っ付いてスヤスヤと眠るニコラスの頭にうさぎの耳が生えている。
な、なん、これ、自分たち以外誰もいないとわかっていてもジェラールはキョロキョロと辺りを見渡した。
薄茶の長い耳がぺたりと寝ている。
本物?とその耳を少し引いてみて、その温かさ血の巡る様を感じた。
「んっ、んぅ?おはよござ・・・ます」
耳を引っ張ったのが刺激になって目を覚ましてしまったニコラスになんと言おうか、とジェラールが思案したその時──。
「ジェッ、ジェラール!そのあた、頭にみみみ耳が」
「私にも生えてるのかい?」
「も?もって、、まさか」
二人同時に自分の頭に手をやってそこにピンと立つ耳を見つけた。
「あ、あぁ、あ、なんで?なんでこんなことに・・・」
「ニコラス君、落ち着いて。冷静になろう」
こんなわけのわからない非常事態にも関わらずジェラールの声音はいつもと変わりなく穏やかだ。
歳上の大人の貫禄とはこういうものなのだ、とニコラスはその細められた目をうっとりと見つめた。
「ニコラス君知ってる?」
ニコラスのピンと立つ耳をやわやわと揉んで、内側の細かい血管が浮いたそこをペロリとジェラールは舐めた。
「うさぎって年中発情期なんだって」
いっぱいできるね、そう言ってジェラールはニコラスを押し倒した。
【リュカ×ナルシュ×ニコラス】
同じ頃───
リュカは苦悶の表情でうなされながら眠っているアイザックの眉間の皺を伸ばしていた。
「悪夢でも見てるのかなぁ」
ナルシュはニヨニヨと笑いながら眠っているエルドリッジを見てゾクリと体を震わせていた。
「・・・嫌な予感がする」
ニコラスはすよすよと眉ひとつ動かさず眠っているジェラールを珍しいものを見る目で見ていた。
「いつも私より先に起きてるのに・・・。滅多にないからよく見ておこう」
☆あけましておめでとうございます
皆さまに幸多からんことを!!
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