133 / 190
番う二人
しおりを挟む
瞼の裏がチカチカして、背筋がゾクゾクして落ち着かない。
口開けて、舌出して、と要求に応じ続けたニコラスはすっかり翻弄されていた。
「ニコラス君、発情した?」
「・・・し、てない」
「そんないやらしい顔してるのに?」
脳に酸素を送るために一生懸命呼吸をしているだけで、いやらしくはないとニコラスは思う。
「まぁ、でもここで発情しても困るね」
そう、誰も来ないといってもここは騎士団本部の裏庭なのである。
よいしょ、とニコラスを抱き上げたジェラールはその耳元に囁いた。
「発情できるとこ行こうか」
にこやかな顔と台詞が全く合っていない。
ニコラスがフルフルと首を振っても聞き入れてくれそうにない。
「気づいてない?フェロモンがすごく出てる。半分くらい発情してんじゃない?欲しい、満たして、愛してって言ってるみたい」
「耳元で、言わないで」
「じゃ、大きな声で言おうか」
「っ、駄目!」
思わずその胸にしがみついたニコラスに、ジェラールがクスと漏らした笑いは意地悪で、瞳には愉悦の色が浮かんでいた。
これは誰だろう?空気が丸くなったように穏やかで、眠たくなるような声音で、包み込むような優しさを持った人、だと思っていた。
「ジェ、ラールど・・・」
「ん、いいね。そう呼んで」
「ジェラール?」
「ニコラス君」
本部に入る扉の前でピタリと足を止めたジェラールの顔がニコラスに近づいていく。
これはまたキスをされてしまう、そう思って目を閉じたニコラスだったが一向にその気配がない。
そろっと瞼をあげると、にんまりと笑った顔があった。
そして、ふうっと唇に息を吹きかけられる。
息と共にぶわっと広がったバーベナのスッキリした香りは、甘さを多分に含みニコラスを包みこんだ。
その後、ニコラスはどうしてかコックスヒル邸のジェラールの寝室で蕩かされていた。
ニコラスの逞しい体を、綺麗だ、美しいとジェラールは撫で回し唇を這わせた。
裏庭を出てここまでの記憶がない。
「ほら、力抜いて。まだ硬いよ」
そう言って胸を揉むジェラールだったが、そんなの無理だとニコラスは思う。
いつの間にか自分だけ裸に剥かれて、ジェラールはきっちりと着込んでいるのだ。
羞恥心が勝って逃げ出したくて、暴れてみてもあっさりと押さえ込まれてしまう。
「あはは、ニコラス君に内緒で少し鍛えてたんだよ。嫌われたくはないからね」
言いながらサイドテーブルの引き出しから取り出した瓶からとろりとした液体を出した。
手のひらでにちゃにちゃと擦り合わせて、芯を持ち始めたニコラスの陰茎に触れる。
馴染ませるようにゆるゆると上下に動かされてそれはあっという間に勃ち上がった。
いくら鍛えているとはいえ、体に見合わない小さなΩのそれが恥ずかしいとニコラスは両手で顔を覆った。
「ニコラス君、手をどけて?」
「無理、です」
「もう一回言った方がいい?」
ずんと腹の奥に響く低い声が恐ろしくてゆっくり顔を見せると、思いのほか穏やかな顔があってホッとしたのは束の間だった。
あっという間に唇に吸いつかれ、舌を捩じ込まれた。
唾液を送り込まれる度に熱があがっていく。
その間も陰茎はぐちゅぐちゅと卑猥な音をたてているし、胸の突起はコリコリと弄られて声も出せずにニコラスはただただ快楽に支配された。
「ぁっ・・・イッちゃうからっ、やめっ・・・」
「いけ」
耳をねぶられながら命令されたニコラスはあっさり吐精した。
その瞬間に後孔からとぷりと愛液が零れた。
わなわなと震えるニコラスをジェラールは嬉しそうに抱きしめてまたぞろキスをした。
「可愛いね」
「あっあぅっんっ・・・はっあんっ・・・」
つぷりと後孔に差し込まれた指はなにか探りながら侵入してくる。
ここかな?と前立腺を当てられてすりすりと撫でられた。
「ここ気持ちいい?」
「わ、わかんなっ、、あぁっ!」
「わかんないの?」
増やされた指も相まってそこを押しつぶすように捏ねられてニコラスは嬌声をあげた。
「ここ、気持ちいい?」
「あぁっ、あっあっ、き、もちい・・・」
「さっき嘘ついた?」
ぐりぐりと攻めたてられてニコラスの口から出るのは声にもならない喘ぎ声だけだった。
ニコラスにはなんとなく思い描く理想があった。
騎士団の男達が語る下半身の話に辟易していたせいもあるかもしれない。
初めては甘く囁かれながら、ふわふわと雲の上のような気持ちで甘い砂糖菓子のように抱かれたいと。
ジェラールならきっと、と夢見ていた。
だが、現実は背後からどちゅどちゅと穿たれている。
確かに可愛い、綺麗と愛してくれるが行為は激しい。
もう訳がわからない。
「ここ突かれるのと、ぐりぐり押すのとどっちがいい?」
「やだ、、もうっわかんなっ、」
「どっち?」
「はっ、あぁっ、ぐりぐりっするのっ」
「じゃ、いっぱい突いてあげる。さっき嘘ついたからお仕置きだよ」
もう無理、絶対無理、初めてには刺激が強すぎる。
渾身の力を込めてグッとシーツを握りしめ逃げようとしたその時、ベタリとジェラールが密着してきた。
まるで逃がさないと言うように握りしめたシーツごと手を掴まれ、囁かれた。
「ニコラス君、諦めて?」
なにを?と問い返す暇もなく更に激しく奥を穿たれ、無防備な項に甘い痺れと痛みが走った。
「これで全部、私のもの」
満足気な声と腹にじわじわと広がる熱い波にニコラスの体が作り変えられていく。
あぁ甘い毒のようだ、と頭の片隅で思いながらニコラスは目を閉じた。
※ニコラスは騎士団本部でジェラールのフェロモンに当てられて、気をやられたので記憶がありません。
※覚えてらっしゃらないかもしれませんが、ナルシュが出奔する時に晒された挿絵付き官能小説(複数)はジェラールのバイブルです。
ほんとはもっとねちっこくやってると思います。
やだ、むっつり。
口開けて、舌出して、と要求に応じ続けたニコラスはすっかり翻弄されていた。
「ニコラス君、発情した?」
「・・・し、てない」
「そんないやらしい顔してるのに?」
脳に酸素を送るために一生懸命呼吸をしているだけで、いやらしくはないとニコラスは思う。
「まぁ、でもここで発情しても困るね」
そう、誰も来ないといってもここは騎士団本部の裏庭なのである。
よいしょ、とニコラスを抱き上げたジェラールはその耳元に囁いた。
「発情できるとこ行こうか」
にこやかな顔と台詞が全く合っていない。
ニコラスがフルフルと首を振っても聞き入れてくれそうにない。
「気づいてない?フェロモンがすごく出てる。半分くらい発情してんじゃない?欲しい、満たして、愛してって言ってるみたい」
「耳元で、言わないで」
「じゃ、大きな声で言おうか」
「っ、駄目!」
思わずその胸にしがみついたニコラスに、ジェラールがクスと漏らした笑いは意地悪で、瞳には愉悦の色が浮かんでいた。
これは誰だろう?空気が丸くなったように穏やかで、眠たくなるような声音で、包み込むような優しさを持った人、だと思っていた。
「ジェ、ラールど・・・」
「ん、いいね。そう呼んで」
「ジェラール?」
「ニコラス君」
本部に入る扉の前でピタリと足を止めたジェラールの顔がニコラスに近づいていく。
これはまたキスをされてしまう、そう思って目を閉じたニコラスだったが一向にその気配がない。
そろっと瞼をあげると、にんまりと笑った顔があった。
そして、ふうっと唇に息を吹きかけられる。
息と共にぶわっと広がったバーベナのスッキリした香りは、甘さを多分に含みニコラスを包みこんだ。
その後、ニコラスはどうしてかコックスヒル邸のジェラールの寝室で蕩かされていた。
ニコラスの逞しい体を、綺麗だ、美しいとジェラールは撫で回し唇を這わせた。
裏庭を出てここまでの記憶がない。
「ほら、力抜いて。まだ硬いよ」
そう言って胸を揉むジェラールだったが、そんなの無理だとニコラスは思う。
いつの間にか自分だけ裸に剥かれて、ジェラールはきっちりと着込んでいるのだ。
羞恥心が勝って逃げ出したくて、暴れてみてもあっさりと押さえ込まれてしまう。
「あはは、ニコラス君に内緒で少し鍛えてたんだよ。嫌われたくはないからね」
言いながらサイドテーブルの引き出しから取り出した瓶からとろりとした液体を出した。
手のひらでにちゃにちゃと擦り合わせて、芯を持ち始めたニコラスの陰茎に触れる。
馴染ませるようにゆるゆると上下に動かされてそれはあっという間に勃ち上がった。
いくら鍛えているとはいえ、体に見合わない小さなΩのそれが恥ずかしいとニコラスは両手で顔を覆った。
「ニコラス君、手をどけて?」
「無理、です」
「もう一回言った方がいい?」
ずんと腹の奥に響く低い声が恐ろしくてゆっくり顔を見せると、思いのほか穏やかな顔があってホッとしたのは束の間だった。
あっという間に唇に吸いつかれ、舌を捩じ込まれた。
唾液を送り込まれる度に熱があがっていく。
その間も陰茎はぐちゅぐちゅと卑猥な音をたてているし、胸の突起はコリコリと弄られて声も出せずにニコラスはただただ快楽に支配された。
「ぁっ・・・イッちゃうからっ、やめっ・・・」
「いけ」
耳をねぶられながら命令されたニコラスはあっさり吐精した。
その瞬間に後孔からとぷりと愛液が零れた。
わなわなと震えるニコラスをジェラールは嬉しそうに抱きしめてまたぞろキスをした。
「可愛いね」
「あっあぅっんっ・・・はっあんっ・・・」
つぷりと後孔に差し込まれた指はなにか探りながら侵入してくる。
ここかな?と前立腺を当てられてすりすりと撫でられた。
「ここ気持ちいい?」
「わ、わかんなっ、、あぁっ!」
「わかんないの?」
増やされた指も相まってそこを押しつぶすように捏ねられてニコラスは嬌声をあげた。
「ここ、気持ちいい?」
「あぁっ、あっあっ、き、もちい・・・」
「さっき嘘ついた?」
ぐりぐりと攻めたてられてニコラスの口から出るのは声にもならない喘ぎ声だけだった。
ニコラスにはなんとなく思い描く理想があった。
騎士団の男達が語る下半身の話に辟易していたせいもあるかもしれない。
初めては甘く囁かれながら、ふわふわと雲の上のような気持ちで甘い砂糖菓子のように抱かれたいと。
ジェラールならきっと、と夢見ていた。
だが、現実は背後からどちゅどちゅと穿たれている。
確かに可愛い、綺麗と愛してくれるが行為は激しい。
もう訳がわからない。
「ここ突かれるのと、ぐりぐり押すのとどっちがいい?」
「やだ、、もうっわかんなっ、」
「どっち?」
「はっ、あぁっ、ぐりぐりっするのっ」
「じゃ、いっぱい突いてあげる。さっき嘘ついたからお仕置きだよ」
もう無理、絶対無理、初めてには刺激が強すぎる。
渾身の力を込めてグッとシーツを握りしめ逃げようとしたその時、ベタリとジェラールが密着してきた。
まるで逃がさないと言うように握りしめたシーツごと手を掴まれ、囁かれた。
「ニコラス君、諦めて?」
なにを?と問い返す暇もなく更に激しく奥を穿たれ、無防備な項に甘い痺れと痛みが走った。
「これで全部、私のもの」
満足気な声と腹にじわじわと広がる熱い波にニコラスの体が作り変えられていく。
あぁ甘い毒のようだ、と頭の片隅で思いながらニコラスは目を閉じた。
※ニコラスは騎士団本部でジェラールのフェロモンに当てられて、気をやられたので記憶がありません。
※覚えてらっしゃらないかもしれませんが、ナルシュが出奔する時に晒された挿絵付き官能小説(複数)はジェラールのバイブルです。
ほんとはもっとねちっこくやってると思います。
やだ、むっつり。
44
お気に入りに追加
1,599
あなたにおすすめの小説
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた8歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
運命の番なのに別れちゃったんですか?
雷尾
BL
いくら運命の番でも、相手に恋人やパートナーがいる人を奪うのは違うんじゃないですかね。と言う話。
途中美形の方がそうじゃなくなりますが、また美形に戻りますのでご容赦ください。
最後まで頑張って読んでもらえたら、それなりに救いはある話だと思います。
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
ふしだらオメガ王子の嫁入り
金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか?
お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
捨てられオメガの幸せは
ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。
幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる