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巣ごもりプラン C
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夕飯を食べて、風呂に入った辺りからしとしとと雨が降り始めた。
冬の雨は冷たい、ベランダへと続く掃き出し窓は結露に濡れて白くモザイクのかかったような世界になる。
裸足にスウェットで胡座をかいた武尊の膝の間で髪を乾かしてもらうのは気持ちいい。
頭皮を滑る指に、ちょうどいい温度の風に、しとしとと降る雨の音に睡魔が襲ってくる。
武尊の部屋は当たり前だが武尊の匂いでいっぱいだ。
「シュウ?眠い?」
「うん」
うんうんといいながらもカクンと落ちる頭が重くて上がらない。
ふわりと体が軽くなり、あぁ抱っこされたのだとわかると嬉しくてすりすりとほほを寄せた。
同じシャンプーと石鹸の匂い、それに混じる武尊だけの匂い。
理想郷というものがあるならば、それはきっとこの胸の中ではないだろうか。
おやすみ、と低く甘い声が現実のものなのか夢の中のものなのか、ふふふと笑いながら周平は眠りに落ちた。
次に周平が目を覚ました時は室内はまだ薄暗く、カチカチという時計の秒針だけが響き雨の音はいつの間にか消えていた。
すぅすぅという寝息の元を見ると武尊がぐっすり眠っていた。
「体が熱い・・・」
指先が、足の先がじわりじわりと熱を持ち始めた。
はぁ、と息を吐くとそれもまた熱かった。
じくじくと下腹部に熱が集まってくる。
発情期だと確信するのに、これは違うという思いも同時に感じた。
ずくずくと疼く熱を解放したい、今までの発情期はそうやって自身を慰めて放出してきた。
それが今は熱を受け入れたいと思っている。
放つのではなく注いでほしい。
「・・・武さん、起きて」
むにゃむにゃと寝ぼけながら、起きたの?と言う。
額にふにとあたる柔らかいものに、それだけでほぅと息が零れた。
「ん?シュウ、熱がある?」
「え?」
「なんか熱っぽい気がする」
「ううん、発情してるみたい」
さっきまでのふにゃふにゃと寝ぼけていたのが一気に覚醒したのか、武尊がガバッと身を起こした。
「ほんと?」
「うん、なんか感じる?」
「・・・いや、なんか熱いなって」
「そっか、ごめん。俺やっぱりちゃんとしたオメガになれないのかも」
言葉が濡れていくのが自分でもわかる、瞼が体のどこよりも熱い。
相性の良いアルファが傍にいれば、かつて医者が言った言葉がぐるぐると頭を巡る。
武尊ならいいな、と漠然と思っていた。
ずっとずっと前から一緒にいると錯覚してしまうような居心地の良い人。
なにもしなくても好きだと言ってくれた人。
「シュウ、泣かないで」
「ごめん」
「謝んないで」
柔らかい唇が顔中に降りてきて、嗚咽をも飲み込むようなキスをされた。
後頭部を支える指先は頭皮を撫で、もう片手は背中に回り引き寄せられた。
「・・・武さん、抱いてほしい」
「もちろん」
至極当然と言った物言いに思わず笑ってしまう。
いつの間にか涙はひっこんでクスクスと笑いあってお互いの服を脱がしあった。
自分のモノも武尊のモノも勃ちあがっていて、擦り合わせると気持ちよさが背筋を這い上がった。
対面座位の格好でキスを交わしながら、武尊の手は淫らに周平の体の上を滑っていく。
ぷくりと膨らんだ胸の頂きも指で捏ねられ弾かれ、もう片方の手は後孔へと伸びて周りをなぞるように触れてくる。
それだけで言いようもなく感じてしまい喉から声があがるが、全て武尊に飲み込まれていく。
つぷりと一本指が入ってきただけでたらりと愛液が漏れた。
尻の割れ目に沿ってぽたりぽたりと溢れてくるのがわかる。
こんなのは初めてだ、一人の発情期では後孔への刺激などいらなかった。
武尊に体を作り変えられていく感覚がする。
「すごい、もうぐずぐずだ・・・」
ぐちゃぐちゃと音をたてながら出入りする指に、興奮したようにハァハァと吐息を漏らす武尊にゾクゾクとした。
「んっ、武さん、まだ?まだ挿れたらだめ?」
「もう欲しいの?」
自分がどれほどはしたなく恥ずかしいことを言っているのかわかっている、だけど早く早くと奥が疼く。
挿れてかき混ぜて奥に注いでと、頭の芯が痺れていく。
「だめ?」
「っダメじゃない」
ころりと転がされて開いた股の間に武尊がいる、ぐいと髪をかきあげる仕草が壮絶に色っぽくてクラクラした。
早く早くと腰が勝手に揺れる、恥ずかしくて堪らないのに止められない。
濡れそぼったそこにキスするように何度も武尊の先端をあてがって、溢れた愛液がそこに纏わりついていった。
挿れるよ、とぐっと腰が進められて内側が開いていく。
ゆっくりゆっくり進むのがもどかしい。
うっうっと声を我慢していると、尻にジャリと武尊の下生えが触れた。
「全部・・・挿入った?」
「ん、ちょっと待って・・・はぁ、馴染むまで」
きゅうと眉間に皺を寄せて長い息を吐き出すのに、待てないとばかりに腰を揺らした。
トントンと奥に当たるのが気持ちいい。
「んっ、、こら」
「待てないよ、あぁ・・・んっ、きもちい」
「迎え腰なんて、んなエロいことどこで覚えたの?」
ん?と色気たっぷりに問いかける武尊に、周平の頬がふにゃりと緩む。
その瞬間、やや性急に抽挿が始まって周平の奥を犯していった。
可愛い可愛いと呟きながら腰を振り、チュッチュと届く範囲の全てにキスをしていく。
一際強く首筋に吸い付いたかと思えば、すぐさまうつ伏せに転がされた。
喪失感に切なくなる間もなく一気にまた貫かれ、項をぺろぺろと舐められた。
「噛むね」
周平の返事を待たずに武尊はそこに歯をたてた。
ブチリと肌が裂ける音、ドクドクと腹の中が熱い飛沫に満たされていく。
愛してると囁かれる耳、背中に感じる汗ばんだ肌、絡めた指、二人を繋ぐ全部、幸せに形があるならきっとそれなんだなぁと周平は瞼を閉じた。
冬の雨は冷たい、ベランダへと続く掃き出し窓は結露に濡れて白くモザイクのかかったような世界になる。
裸足にスウェットで胡座をかいた武尊の膝の間で髪を乾かしてもらうのは気持ちいい。
頭皮を滑る指に、ちょうどいい温度の風に、しとしとと降る雨の音に睡魔が襲ってくる。
武尊の部屋は当たり前だが武尊の匂いでいっぱいだ。
「シュウ?眠い?」
「うん」
うんうんといいながらもカクンと落ちる頭が重くて上がらない。
ふわりと体が軽くなり、あぁ抱っこされたのだとわかると嬉しくてすりすりとほほを寄せた。
同じシャンプーと石鹸の匂い、それに混じる武尊だけの匂い。
理想郷というものがあるならば、それはきっとこの胸の中ではないだろうか。
おやすみ、と低く甘い声が現実のものなのか夢の中のものなのか、ふふふと笑いながら周平は眠りに落ちた。
次に周平が目を覚ました時は室内はまだ薄暗く、カチカチという時計の秒針だけが響き雨の音はいつの間にか消えていた。
すぅすぅという寝息の元を見ると武尊がぐっすり眠っていた。
「体が熱い・・・」
指先が、足の先がじわりじわりと熱を持ち始めた。
はぁ、と息を吐くとそれもまた熱かった。
じくじくと下腹部に熱が集まってくる。
発情期だと確信するのに、これは違うという思いも同時に感じた。
ずくずくと疼く熱を解放したい、今までの発情期はそうやって自身を慰めて放出してきた。
それが今は熱を受け入れたいと思っている。
放つのではなく注いでほしい。
「・・・武さん、起きて」
むにゃむにゃと寝ぼけながら、起きたの?と言う。
額にふにとあたる柔らかいものに、それだけでほぅと息が零れた。
「ん?シュウ、熱がある?」
「え?」
「なんか熱っぽい気がする」
「ううん、発情してるみたい」
さっきまでのふにゃふにゃと寝ぼけていたのが一気に覚醒したのか、武尊がガバッと身を起こした。
「ほんと?」
「うん、なんか感じる?」
「・・・いや、なんか熱いなって」
「そっか、ごめん。俺やっぱりちゃんとしたオメガになれないのかも」
言葉が濡れていくのが自分でもわかる、瞼が体のどこよりも熱い。
相性の良いアルファが傍にいれば、かつて医者が言った言葉がぐるぐると頭を巡る。
武尊ならいいな、と漠然と思っていた。
ずっとずっと前から一緒にいると錯覚してしまうような居心地の良い人。
なにもしなくても好きだと言ってくれた人。
「シュウ、泣かないで」
「ごめん」
「謝んないで」
柔らかい唇が顔中に降りてきて、嗚咽をも飲み込むようなキスをされた。
後頭部を支える指先は頭皮を撫で、もう片手は背中に回り引き寄せられた。
「・・・武さん、抱いてほしい」
「もちろん」
至極当然と言った物言いに思わず笑ってしまう。
いつの間にか涙はひっこんでクスクスと笑いあってお互いの服を脱がしあった。
自分のモノも武尊のモノも勃ちあがっていて、擦り合わせると気持ちよさが背筋を這い上がった。
対面座位の格好でキスを交わしながら、武尊の手は淫らに周平の体の上を滑っていく。
ぷくりと膨らんだ胸の頂きも指で捏ねられ弾かれ、もう片方の手は後孔へと伸びて周りをなぞるように触れてくる。
それだけで言いようもなく感じてしまい喉から声があがるが、全て武尊に飲み込まれていく。
つぷりと一本指が入ってきただけでたらりと愛液が漏れた。
尻の割れ目に沿ってぽたりぽたりと溢れてくるのがわかる。
こんなのは初めてだ、一人の発情期では後孔への刺激などいらなかった。
武尊に体を作り変えられていく感覚がする。
「すごい、もうぐずぐずだ・・・」
ぐちゃぐちゃと音をたてながら出入りする指に、興奮したようにハァハァと吐息を漏らす武尊にゾクゾクとした。
「んっ、武さん、まだ?まだ挿れたらだめ?」
「もう欲しいの?」
自分がどれほどはしたなく恥ずかしいことを言っているのかわかっている、だけど早く早くと奥が疼く。
挿れてかき混ぜて奥に注いでと、頭の芯が痺れていく。
「だめ?」
「っダメじゃない」
ころりと転がされて開いた股の間に武尊がいる、ぐいと髪をかきあげる仕草が壮絶に色っぽくてクラクラした。
早く早くと腰が勝手に揺れる、恥ずかしくて堪らないのに止められない。
濡れそぼったそこにキスするように何度も武尊の先端をあてがって、溢れた愛液がそこに纏わりついていった。
挿れるよ、とぐっと腰が進められて内側が開いていく。
ゆっくりゆっくり進むのがもどかしい。
うっうっと声を我慢していると、尻にジャリと武尊の下生えが触れた。
「全部・・・挿入った?」
「ん、ちょっと待って・・・はぁ、馴染むまで」
きゅうと眉間に皺を寄せて長い息を吐き出すのに、待てないとばかりに腰を揺らした。
トントンと奥に当たるのが気持ちいい。
「んっ、、こら」
「待てないよ、あぁ・・・んっ、きもちい」
「迎え腰なんて、んなエロいことどこで覚えたの?」
ん?と色気たっぷりに問いかける武尊に、周平の頬がふにゃりと緩む。
その瞬間、やや性急に抽挿が始まって周平の奥を犯していった。
可愛い可愛いと呟きながら腰を振り、チュッチュと届く範囲の全てにキスをしていく。
一際強く首筋に吸い付いたかと思えば、すぐさまうつ伏せに転がされた。
喪失感に切なくなる間もなく一気にまた貫かれ、項をぺろぺろと舐められた。
「噛むね」
周平の返事を待たずに武尊はそこに歯をたてた。
ブチリと肌が裂ける音、ドクドクと腹の中が熱い飛沫に満たされていく。
愛してると囁かれる耳、背中に感じる汗ばんだ肌、絡めた指、二人を繋ぐ全部、幸せに形があるならきっとそれなんだなぁと周平は瞼を閉じた。
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