親子の縁

第一章 (中学生)

母の死 (4)

　その時微笑んでいた大人たちが我に返り話し出した。

　「えっと、本台に入るわね」

　それを聞いてそこに居る全員が頷いた。そんな中で椛は話についていけなくなり一人首を傾げていた。そんな椛を見て瑠梨はすぐさま説明しだした。

　「椛ちゃんこれからお葬式とぎ終わったら私達も自分の家に帰らないと行けないの、そうなったら椛ちゃんこの家で一人になるでしょ」

　その言葉に椛は頷くことしか出来なかった。

　「だからね、私達の誰かが椛ちゃんを引き取ろうかって話になってね、それを椛ちゃんに決めて欲しいの」

　その話に椛はその場で初めて口を開いて答えた。

　「それは、絶対決めないとダメ」

　と泣きそうになりながら答えた椛を見てその場にいた大人達は泣きそうになるのを堪えるのに必死で椛の答えに反応するのが遅くなるほどだった。

　「そんな事はないよ、椛ちゃんが社会人になって1人でも大丈夫になったらこの家に戻ってくることもできるよ」

　と瑠梨がとっさに答えて他の人がそれに付け加えるように話し出した。

　「そうだよ、椛ちゃんこの家は椛ちゃんのお母さんが必死でお仕事をして買った家なんだから椛ちゃんの家なんだよ」

　その言葉に椛は安心した表情を見せその場の大人達はその表情にやっと安心することが出来た。
　安心した表情をそのままに椛は話し出した。

　「私、この家から離れたくない」

　その言葉にその場にいたもの達は全員が悲しそうな表情をしていた。椛はワガママだとわかっているがお母さんが居なくなり、それに合わせて今まで2人で暮らしていた家を出るより1人でもこの家に残って暮らしたいと思っていたのだ。

　「ワガママだとは分かっているんだけどでも、この家から離れたくない」

　そう言いながら泣きそうな顔で訴えられそれ以上は何も返せなくなった。
　そんな大人達に気づかず椛は尚も続けた。

　「お母さん仕事が忙しくて私が家事してたこともあるもん、お金の事も高校生になったらアルバイトをしたりするし、それまでのお金も貯金で何とかするから、ね、お願いここに残らせて」

　そう言って椛はまたも泣きそうな顔で訴え続けとうとう大人達が折れることになった。

　「わかった、いいよ、でも高校生になるまでは私もここに住むよ」

　瑠梨は椛の頭を撫でながら椛に自分と一緒に住むのが条件だと伝えそれがのめないのであればダメだとも伝えた。
　そんな瑠梨の答えに椛は申し訳なさそうに聞き返した。

　「でも、瑠梨お姉ちゃんお仕事もあるしお家には家族も居るでしょ、いいの」

　そんな椛に瑠梨は大丈夫だと言うふうに答えた。

　「大丈夫よ、仕事もここから通えるし、家も近いからすぐ帰ることも出来るもの、それにあの人達はもう立派な大人よ、この事を話したらすぐにそっちに行けって言われるわ」

　瑠梨はそう言いながら笑って椛のことを抱きしめていた。