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いざ負け戦

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 転職して間もない職場、初めての飲み会。定時で帰ろうと挨拶をした上司に雑に誘われ、断り方を知らずノコノコと着いてきてしまったのが良くなかったんだ。乾杯以降誰かしら会話を振ってくれていたのに、上手く受け答え出来ずに曖昧に笑うことしかしない私は本当にダメな奴だと思う。そして自分から会話を仕掛けることも出来ず、隅っこの席で俯いて冷めた唐揚げを少しずつ齧って時間を潰そうとしていた。別に一人が好きな訳じゃないのに、楽しく会話したいのに。他の参加者は皆盛り上がっているらしく、お開きになる様子はまだまだ無さそうだった。店内が少し薄暗い照明なので、あわよくばこのまま帰ってしまってもきっと誰も気付かないのでは思ったけれど、一応少しでも飲み食いしている以上精算の声掛けはしていかないと…。そんなことを鬱々と考えていると、不意に肩にドンッと衝撃を喰らった。

「なあ、君」
「えっ、あ、すいません」

 一撃を喰らった肩の方を振り向くと、片膝を着いた短髪のイケメンが私を冷たい眼で見下ろしていた。確か彼は隣の課の先輩で、佐崎さんって言ったっけ。長身美形でモテそうなのに、同じフロアの女の人達からは何故かちょっと敬遠されてる感じの人。あまり誰とも話せていない私にはその理由は分からないけれど、男性にまるで耐性のない人生を送ってきた私が、その美しい顔立ちに見とれていた瞬間。彼は低めの声、呆れた様な口調でナイフみたいな言葉を私の心に突き立てた。

「あのさ、朝田さんやっけ?」
「あっ、はい。ありがとうございます…」
「せっかくめでたい場なのに、嫌ならそもそも来んなよ。さっさと帰れば?」 

 あまりにも吐き捨てる様な言い方に思わず思考が固まってしまったけれど、もう一度佐崎さんのセリフを反芻して何を言われたのか理解した瞬間、ザァーっと全身から血の気が引いていくのを感じた。私はまだ入社して1ヶ月の新人で、今日は隣の課の女性の送別会みたいなものだということをさっき飲み会の最中に他の人達の会話から知った。退職する彼女とは縁も薄い私が何故か送別会に参加して、なおかつ暗い顔でつまらなそうに唐揚げをつついてなどいれば、それはもう彼女を慕う人達は嫌な気になるだろう。
 周りは誰も佐崎さんと私のやり取りに気付く様子もなくまだまだ盛り上がっている。こんなに騒がしい場所にいるはずなのに、水の中に潜ってしまったみたいに色んな音が遠くに聞こえる。何とか上手くこの場を脱してしまいたいのに、申し訳無い、恥ずかしい、屈辱やらといった様々な感情の爆発に脳が混乱してなにも発することが出来ない。じわじわと溢れていく涙も止められず、視界までも塞がっていく。逃げ出すことも出来ずに八方塞がりの状態で色んな液体でぐちゃぐちゃの顔を手で隠そうとした時、目の前にいるはずの佐崎さんが立ち上がる気配がした。
 あ、この人がどっか行った瞬間にもう帰ってしまおう。お金は明日渡そう。逃げ出す覚悟を決めた瞬間、ぐいっと手首から強い力で引っ張り上げられた。え?と混乱する間もなく、佐崎さんがとりわけ近くにいた人に声を掛ける。

「悪い!朝田が飲み過ぎたみたいだから駅まで送ってくわ」
「まじ?大丈夫か?」
「今のところ若干気持ち悪いだけだって」
「おー、良かった。じゃあ頼むわ。朝田さん、気を付けて帰ってね」

 突然の出来事に涙も引っ込んでしまい、ただ呆然としていた。佐崎さんはそんな私をちらりと確認すると、幹事らしき人に「じゃあこれ、二人分」とお金を渡している。そんなやり取りを背中越しに聞きながら、今にもパニックで倒れてしまいそうだった。







「うお、さぶ」
「あ、はい。寒いです」

 外に出た瞬間、すごい音と共に風が吹き付け、寒さのあまり剥き出しの肌を針で刺すような冷たい痛みが襲ってくる。先ほど驚き過ぎて一度引っ込んだ涙が、目を開けていられない程の北風に襲われてまたじわりと滲んでくる。

「え、マジで?さすがに外では泣いてくれんなよ」
「っはい、すいませっ、ごめんなさい…」
「謝らなくていいけど。一人で帰れるよな?」
「えっ、すいません。あの、お金おいくらですか?」

 あっさりと背中を向けて駅へ向かおうとする彼に思わず声を掛けると「泣かせちゃったしいいよ」と半身だけ振り向きひらひらと手を振られた。それでも急いで財布を出そうと焦ってしまい、店の前でカバンの中身をバサッとぶちまけてしまった。
 
 死にたい。なんでこんなにどんくさいの、私。

 恐らく店に入りたいおじさん達が邪魔そうに跨いでいく。もう自分の情けなさに死んでしまいたくなりながら落ちた中身を急いで拾っていると、ふと地面との間に大きな手が差し出され、私のスマホを拾ってくれた。

「佐崎さん、ありがとうございます。本当に、ごめんなさい」
「疲れてんなー。しっかり休めよ」
「疲れてるとかはないんですけど…。すいません、私、ダメで。ごめんなさい」
「いや、さっきからさ…、うん、まあ、あー」


 置いていかれると思ったのに、戻ってきてくれたのか。意外と優しいのかもしれない彼の何か言い淀む様子に首を傾げて見上げると、彼は手招きして私に横を歩く様に促した。

「あの、佐崎さんは飲み会戻って下さい。私のせいで申し訳ないです。あと、やっぱりお金も払います」
「は?あー、別にいいよ。知らん奴の送別会とかめんどくさいよな。お前は顔に出し過ぎだったけど」
「う、はい。それは本当に申し訳ありませんでした…」

 ぶっきらぼうで言い捨てる様な話し方ではあるけれど、足取りはゆったりしている。身長差がある分私に合わせてくれているのが分かって、胸にじんわりと嬉しさが広がっていく。こんなこと、普通に社会生活を送っている女の子達にとっては当たり前のことなのかもしれないけれど、私にとってはとても特別に思えた。

「ああいう風に飲み会で浮いたままだと、うちの会社の暇な女達に目付けられるからな」
「え?」  
「あいつらの理不尽さはマジでめんどくさいぞ。あんな飲み会帰って正解。不参加で空気決め込むのがもっと大正解だったけどなー」
「あ、はい…。よく分からないけど、怖いですね」
「ははっ、言い方キツくて悪かったな!抜ける口実作るのにちょうど良く浮いてる新人いるなーと思って声掛けたけど、マジで泣くからビビった!」

 目を意地悪く細めてニヤニヤしていても佐崎さんの顔はやっぱりイケメンで、悪戯っ子みたいな表情はちょっと可愛いななんて思ったけれど。あれ、それって。

「あの、もしかしてめんどくさい飲み会抜け出す為に私のこと利用しましたか?」
「うん?まあまあ、ね。お互い抜けれて良かったよね」
「は!?最低かよ!いきなり知らない先輩怒らせちゃって、終わったかと思ったんですけど!」
「ふっ、あははっ、そっちこそいきなり口悪いな。いや、悪かったよ。お詫びに飲み直そーぜ!」
「何がせっかくだよ!ふざけんな、やだ」
「ははっ。おい、敬語取れてんぞー」

 この先輩、意外と話しやすくて第一印象ほど怖くないのかもしれない。背が高く顔もキリッとした印象だけれど、屈託なく誘ってくる笑顔は愛嬌があってやっぱり可愛い。男の人とまともに会話するなんて学生の時以来だったのに、慣れないお酒が入っていたせいもあり、私は少し強気で調子に乗ってしまっていた。







 佐崎さんのことなんて、顔と名前と優秀な人ってことくらいしか知らなかった。まったく話したことなかったし、興味も無かった。でも、何故か今二人でお酒を飲んでいて、色んな事を話している。野球少年だったこと。イカが好きでイクラが嫌いなこと。お酒が強いこと。揚げ物が最近キツくなってきたこと。映画鑑賞が趣味なこと。意外と聞き上手なこと。首筋にほくろがあること。

 佐崎さんと過ごす時間は本当に楽しくて、あっという間にそろそろ終電という時間まで話し込んでしまった。それでも明日は土曜日。少し酔っていたこともあり、どこかで期待して受かれている自分を自覚していた。店を出てこれからどうするなんて話もせず、まだ喧騒の中にいる町を無言でゆっくりと進んで行く彼の広い背中だけ見つめて歩いた。
 やがて彼が立ち止まった場所は、他より少しだけ値段設定が高そうなラブホの前。私はコミュ障を拗らせている無愛想で地味な耳年増女であり、当たり前みたいに処女だった。佐崎さんはイケメンで面白くて仕事も出来る素敵な人で。私はたったの2時間一緒に過ごしただけで、もう85%くらい恋に落ちていた。残されたあと15%の理性が「お前みたいなブスが本命になれる訳ないだろ」と必死で忠告をしてくるけれど、こんなかっこいい人に抱いて貰えるなら、遊びでも本望じゃないかと心の天秤が傾いていく。今日初めて話したその日にラブホの前に連れて来られたということは、一夜限りのポイ捨て確定演出なのだろう。処女とは言え伊達に24年も生きて来た訳ではないので、それくらいは分かるよ。それでも、遊ばれて終わっても良いと思えるくらいには、彼の魅力の沼に沈んでしまっていた。
 この人になら、もう何されたっていいや。ただそんなことを思いながら、光るラブホの看板に反射して光る彼の横顔を見つめて、短命の恋を楽しむ覚悟をした。
 







 当たり前みたいな流れでラブホまで誘われて、私もまるでそれが当然みたいに佐崎さんに着いていった。彼の雰囲気作りが上手いせいなのか緊張はあまりしていなくて、パネルの前で部屋を選び出した彼に「あ、この水族館みたいな部屋がいい」なんてワガママを言ったりした。彼はハイハイと私の言うとおりにしてくれて「こっちだわ」と手を握り、すぐに開いたエレベーターに私を先に押し込んだ。それが少し強引だったため、覚悟を決めたとはいえほんの少しだけ恐怖心が沸いた。

「手、痛い」
「あ?ごめん」
「ここまで来たんだからもう逃げませんよ」

 あなたとセックスする気でいるのだと視線で伝えてやると、佐崎さんは一瞬ポカンとした顔をした後、すぐに嬉しそうに笑ってくれた。

「ふははっ!いや、たまにいるからな、寸前でやっぱり無理ーとか言って帰ろうとする女!」
「帰りたいなら帰してあげれば?」
「いやー、ちょっとそれはつらいわ」

 部屋はさすがに少しお高めということもあり広くて真新しかった。水族館がモチーフらしく、部屋の真ん中には大きな水槽があり、美しい魚達が優雅に泳いでいる。
そしてその目の前には初めて見るような大きなベッド。
あ、どうしよう。さっきまで余裕あったのに、やっぱりちょっと、いやかなり緊張してきた。今日どんな下着だったっけ?毛の処理ってマナーとかあるんだろうか。
 薄暗い室内で、バレないように佐崎さんの様子をちらりと伺えば、慣れた様子で室内の気温を調整していた彼も少し固い表情でスーツの上着を脱いでいた。彼もこれから私を抱くことに少しでも緊張してくれているのならば、嬉しい。

「朝田、お前先に風呂入る?」
「あっ、えっと…。は、入ります」
「おっけー。あ、一緒に入りたい?」
「うわ、急に近い!それは嫌です!待っといて」

 心の準備をする為の時間が欲しくて、いつの間にか距離を詰め私を囲う様に腕を広げている佐崎さんの脇からするりと抜け出し、バスルームへと逃げた。
 ドアを締め、彼が追って来ない事を確認してからさっさと服を脱いでいく。少しでも時間稼ぎをしたい気持ちはあれど、あまり彼を待たせて焦らす様な事もしてはいけない気がしていた。着込んでいた全てを脱ぎ捨て下着姿になり、鏡でその姿を確認した。そうだ、今日はたまたまこんなに強気な赤い下着の上下を身に付けていた。つい先日、普段から地味なベージュや黒ばかりを選ぶ妹の為に「下着で女は変われるから。いざって言う時は引いちゃダメよ」と、半ばネタの様に派手な下着を姉に押し付けられたのだ。どうせ他人の前で脱ぐ予定なんてないしな、と普段使いしていたのだが、今日はそれが大当たりとなってしまった…。それともこんな下着を着けていたからこそ、無意識に強気な女になってしまっていたのだろうか。
 まじまじと自分の姿を確認すると、そこにいるのは白くて地味で平坦な丸顔、伸びっぱなしの黒いショートヘアの眼鏡をかけた女だった。そのぽよんとだらしない身体には、まるで似合っていない赤くて派手なデザインの下着。胸はFカップあるけれど、負けじとお腹周りも柔らかい肉がたくさんついている。鏡の中では、なんだかちぐはぐな女が困った様な顔で途方にくれていた。
 ドア一つ隔てた向こうにいるのは、あんなかっこいい人が待っているというのに。私はこんなにも。

「こんなブスが調子に乗ってごめんなさいぃ…」

 ここまで来ていざ自分を見つめ直してしまうと、佐崎さんとのあまりの差に急に絶望してしまったのだ。何で私なんかをこんな所に連れ込んだんだろう。抱けるならば誰でも良かったのだろうか?それにしても、彼ならもっとマシな女を選べるハズだ。

「帰りてぇ…」

 泣きそうになりながらぽそりと呟いた時、ドアがガチャリと開けられた。

「そんなこと言うなよ」
「え、は?う、わあぁーっ!!」

 絶賛絶望中に、いきなりバスルームに入ってきた佐崎さんに思わず大声を浴びせてしまった。「うわ、うるせ」と顔をしかめる彼を混乱しながらもとにかく追い出そうとシャツの胸を押すが、やはりと言うべきかビクともしない。

「お前、さっきまでヤル気満々だったくせに…」
「いや、ちが…、わないけど!ちゃんと戻りますから待ってて下さいよ!」
「いや、後で俺がシャワー浴びてる間に帰っちゃったら嫌だし、やっぱり一緒に入ろうと思って」

 結局、そのまま押しきる形でバスルームへと侵入されてしまった。男に下着姿を見られることも初めてだったため、恥ずかしさから思わずその場から逃げ出そうとドアに手を掛けた瞬間、腕を取られて強く引かれた。「あ、倒れる」と思った勢いのまま、正面から広い胸に抱き寄せられた。汗と少し甘いフォルムが混ざった香りに包まれて、何故か胸がぎゅっと苦しくなる。それと少しのタバコの匂いが後から鼻の奥を擽ってくる。

「マジでさ、帰んなよ。今日は一緒にいよ」

 胸に抱かれているため佐崎さんの顔は見えないけれど、本気で落ち込んでいる様な声に切なさで胸が締め付けられる。『今日は一緒に』か…。やっぱりそうだよな。今日だけの関係だなんて分かっていたけれど、辛いなあ…。いや、でも逆に考えると、今日はラッキーなんじゃない?こんなイケメンに処女を貰ってもらえるなチャンスなんて、こんな私の人生じゃ今後はありえないよな!うん!

「あの」
「んー?」
「私、処女なんです。それなりに考慮して優しく貰えますか?」
「処女って…。え、マジで?!」
「あ、もしかして処女はめんどくさいからお断りの方針ですか?」

 開き直って、どうせ後からバレるのだし今申告しておこうと伝えてみたのだけれど、それから佐崎さんは固まってしまっている。気軽なワンナイトを楽しむ相手としては、やっぱり不合格だろうか。

「いや、お断りとかはないけど…。そっちはいいの?」
「もちろん。ぶっちゃけ私なんかが佐崎さんに抱いて貰えるなんてラッキーだなって感じです」
「そんな気軽な感じで大丈夫なんか?!」
「ふふっ、誘っといてなんですかそれ。私なんかどうみても男慣れしてないでしょ」
「朝田って年の割に色気あるし、多分モテるだろうなって思ってたんだよ!マジか…」

 嘘でもそんな風に言って貰えるなんて嬉しすぎる。申し訳なさそうな表情で、それでも逃がす気はないという様に私を抱き締める腕に力を込める彼。私は何を言って良いのか分からなくて、その胸に甘えるように頭を擦り寄せてみた。今日の事は全て一生の思い出にしようと心に決めて。彼を満足させるために精一杯頑張ろうと思った。一応悩む素振りを見せている男を、ほとんど泣きそうになりながら見上げた。うわ、ホントに顔がいいなこの先輩。一生見ていられる。今まで何回か転職してきたけれど、今の会社は絶対辞めないって決めた。

「ん、まあ、お前が良いなら帰さんけど」
「わーい。良かった!」
「えぇ…。さっきぼそっと帰りたいとか言ってたくせに…」
「それは処女ゆえの不安定メンタルですよ。抱いて欲しいに決まってんじゃないですか」
「えー、俺メンヘラかまってちゃんって怖いから結構地雷なんだけど」
「あー、もうさっき言質取ったし帰りませーん」

 私って本当にメンヘラなのかもしれない。さっきまであんなに気分が落ちてたのに、佐崎さんに抱き締められただけでこんなに浮上してふわふわした気分になってる。どうせなら、もうこのまま乗り切ってやろう!
 勢いのまま赤い下着を取っ払い、眼鏡を外して先に風呂場へと駆け込んだ。セックスの流れなどまるで分からないのだから、取り上えずさっさと身体を綺麗にしてしまおう。知らないメーカーのボディソープを身体に塗りつけていると、やっと彼が後を追って入ってきた。その瞬間、ぶわりと頬に熱が集まる。眼鏡を外しているのでよく見えないのが逆に幸いだった。佐崎さんの出方を伺う様に動きを中断して、なるべくその下半身に目をやらないように視線を下げた。
 ちらりと仰ぎ見れば彼は浴槽の縁に腰掛け、風呂椅子に座っている私と目が合うと手招きをした。

「洗ってやるよ」
「あ、大丈夫です。目、あんまり見えてなくて触られるのちょっと嫌だから」
「まあまあ…。そう言うなって」
「いやいやいや、恥ずかしいから。ちょっとホントにっ、やだっ」

 佐崎さんは抵抗する私の腰に腕を回すと、ぐいっと引き上げて膝の上に乗せた。ボディソープのせいでヌルヌルと滑るため、あまり暴れると危ないと思い、仕方なくそこに収まる。佐崎さんの濡れた肌と密着する感触に、また胸が高鳴る。抱き締める腕は逞しくて、筋肉の弾力とその芯にあるだろう骨の太さが伝わる。私のぷよぷよの身体とは大違いだなあ…。男の人ってすごいなあ、なんてぼんやりしている間に、大きな掌がいつの間にか肌の上を撫で回していた。腕、肩、太もも、お腹。そのまま脇の下から差し込まれた両手に胸を包み込まれる。あまりの恥ずかしさから下も向いていられず、ぎゅっと両目を閉じた。優しく感触を確かめる様にやわやわと揉まれている。特にくすぐったいとしか思わないけれど、男の人はなぜこれをしたいのか分からない。

「胸でかいな」
「う、はい。すいません」
「ふっ、何で謝ってんの。感謝しかない」
「誰にだよ」
「ふはっ、ちょいちょい口悪いのウケる」
「育ちが悪いもんで。胸って触って楽しいですか?」
「ん?楽しいっていうか、諸々エロくて興奮する。触られるん嫌?」
「…正直、くすぐったいなーって」
「あー、まあそのうち、な」

 これは、自分の経験不足のせいで萎えられてしまうのではないだろうか。特に気持ちよくはないけれど、喘いだりしてみた方が良いのか。ていうか喘ぐってどうすれば。また未経験故に悶々と悩んでいると、佐崎さんの骨張った指が内太ももを優しく撫でた。

「あっ、ちょっ」
「うん、痛いことはしないから。ちょい足開いて」

 低く掠れた声で促されてそれに従えば、指はするりとその中心に滑り込んだ。

「ひっ!」

 反射的に閉じようとすると、ぐいっと片方の膝裏を持ち上げられ、脚を強制的に開かされた。

「えっ、は、はずかしっ、待って!」
「大丈夫、湯気で俺もよく見えてないから」
「ううっ、み、みないで…」
「ハイハイ。…あ?てかお前、ちゃんと濡れてんじゃん」
「え?」

 思わぬ言葉に焦って下半身に目をやれば、佐崎さんの指が光ってぬめる愛液を大陰唇に塗り付ける様にゆるゆると動いていた。その余りの卑猥さに、ぎゅっと下腹に力を込めてしまい、子宮がジンと疼いた気がした。

「ちょっと胸触っただけでこんな濡れてんの?」
「ちがうっ、なんでっ?」
「ははっ、いや知らんけど。気持ちいいなら良かったわ」
「き、気持ちよくないしっ!」
「あ?序盤でこんなマンコぐっちゃぐちゃな女初めてだぞ」
「…は、ぁぅっ!それっ、やだっ!」
「クリ触られんの好き?」
「やだってぇっ!ひっ、強いっ、だめ、一回離してっ」
「だぁめ」

 自分で慰める時とは段違いの強い刺激に、腰をくねらせ逃げようともがいた。それでも背後から抱き締めてくる男はびくともせず、更に大きく脚を開かせると、ぐちゅりと中指を蜜壺へと差し込んだ。

「あっ!まだ、やだ!」
「こんだけ濡れてりゃ大丈夫だよ」
「ゆっくりしてよぉっ」
「ちょっと触るだけだから」
「ううっ。何か、入ってるの、怖いです…」
「ごめん、怖いよな。痛く無い様にするから」

 優しくしてって何度も言っているのに、いきなり指を挿れてくるとか。もうちょっとクリとか触ってどうにかしてくれても良いんじゃない?と、処女が生意気にも思ってしまったんだけど、そこんところ他の人達はどうなの?ていうかこの人のセックスけっこう雑じゃね?普段から会社の女性陣に遠巻きにされている理由がなんとなく分かった。多分だけど雑なんだわ。色んなことが。さっきの飲み会での私への絡み方も酷かったもんな。あれマジで怖かった…。
 少し粗っぽい前戯にイラッとしながら彼の日常生活に想いを馳せていると、知らぬ間に指が二本に増やされぐちゅぐちゅと派手な水音を立てていた。

「うっ、ぐっ、ちょっと、もういいでしょ…」
「うん、いやー、もうちょい広げとこかなと思って」
「ベッドでしてよ!ていうか広げるって言い方!ムード無さすぎて引く」
「俺にムードとか求めてくれるな。そんなもん捨てた」
「今日だけ拾ってきて、マジで!処女喪失はロマンチックにさせて!」
「ぶっ!お前こそおもしろいこと言うなよ、ちんこ萎える…」

 まるでムードのない応酬を続けながらも、左手が胸へと伸ばされる。佐崎さんの太く節だった二本の指が激しく中を掻き回すのに合わせて、先程は触れられなかった乳首を強めに捏ねられて肩が跳ねた。ぐにゅぐにゅと乳首を前へと引っ張る様に捏ねながら、たまに爪先で先っぽをカリっと引っ掻いていく。胸なんて弄られても感じないと思っていたのに、段々と自らの息が荒くなっていくのを感じた。佐崎さんは相変わらず「つきたての餅みたいな乳だなー」なんてデリカシーのない言葉を吐いているけれど、指先の動きはどんどん卑猥になっていて、無意識に腰をくねらせてしまう。蜜壺を責める指に腹側の手前らへんをしつこく刺激され続け、一度そこから快感を拾ってしまうともうダメだった。

「あっ、あっ、ふっぅ、ゆびっ、いやぁっ!」
「痛くないだろ?」
「やっ、あぅっ、い、たくないけどっ、こんなとこで、っ、やだよぉっ!」
「ふっ、今は指だけ。ちゃんとベッドでしてやるから安心しろって」
「ううっ、いつまでっ?やだっ、あ、あぁっ!いっ、あっ、…んんっ、…えっ?」
「んー?どした?」
「なんかっ、へんっ、とめて、あっ!やぁっ!ぐちゅぐちゅっ、しちゃ、だめっ!」

 情感たっぷりに乳房を揉み抜かれ、少し膨らんだGスポットを強く刺激され続ければ、もう堪らなかった。バスルームの湿気も手伝い全身から汗が吹き出る。「ハッ、ハッ」と浅い呼吸を繰り返し、追い掛けてくる快感から逃げようと脚の爪先をキュウっと丸めたり伸ばしたりしていたが、ついに捕まってしまった。佐崎さんの指が弱いところを擦り上げて一際奥を突いた瞬間、全身がぶわっと総毛立ち、あり得ないほどの切ない気持ち良さが子宮から全身へと広がっていった。

「ああぁっ!ぁあっ、はんっ、んっんっ、イクッ」

 あまりの甘い衝撃に脳まで痺れている気がする。ガクンっと前のめりに倒れそうになる身体を、背後から太い腕が抱き留めてくれた。生理的な涙で滲む視界の片隅で、ああ、早く顔が見たいなと思った。







 少し毛先の濡れてしまった髪が地肌に張り付いて気持ち悪い。風呂場から裸のまま抱き抱える様にして運ばれ、広いベッドへと寝かされた。起き上がろうとする暇もなく圧掛かられて、もうここからは本当に後戻り出来ないんだなと悟った。ふと天井を見ると、プラネタリウムの様に星座が泳いでいた。さすがちょっと高い部屋なだけあるな。ムード満点。風呂場で散々身体を弄られ、緊張と疲れから現実逃避を始めてしまう。これからが本番だというのに。

「おーい、目イッてるけど大丈夫か?」
「大丈夫じゃないって言ったら、一旦保留とかにしてくれます?」
「…大丈夫そうで良かった!ウン!」
「初めてって言ってんのに、優しくしろよ!クソ男っ」

 顔をしかめギャンギャンと吠え始めた私を見て、「くはっ」と音に成らない様な低い声で彼が笑った。彼が笑ってくれる度に、身体中の血液が沸騰したように熱くて、とても満たされてしまう。こうなるまでたった数時間しか経っていないのに、チョロ過ぎるだろ私は。

「で、ほんとにいいんか?」
「え?」
「セックス。本当に厳しかったら、まあ帰してやらんこともないよ」
「…何で急にそんなこと言うんですか」

 佐崎さんの優しさが痛い。嫌だ、最後まで求めて欲しい。抱いて。メンヘラスキルをなんとか押さえ込もうとぐっと下唇を噛んだ時、彼が笑う気配がした。

「お前面白いからさ。セックスなしでもこれから普通に友達みたいな感じでいくのもありかなと思って」

 悪戯っ子の様な顔で目を細めて笑う佐崎さんは本当に可愛いかった。でもそっと盗み見た彼の股間は言葉とは裏腹にグロテスクな程固く張り詰めていて、きっとここで止めたら辛いだろうなって。友達としての適度な距離なんて欲しくないから、今だけでも彼と一つになってみたいと思った。

「あんたと友達なんて、お断りですよ」

 あの瞬間の佐崎さんのマヌケ顔、もっとちゃんと目に焼き付けておけば良かった。












 
 激しく揺さぶられ安定しない視界の中で、佐崎さんがギラギラとした欲望に濡れた瞳で私を見ていた。背後で光るプラネタリウムを模した天井はとても綺麗で、ただでさえ美しい男をさらに盛り立てていた。この部屋当たりだなあ、眼福、眼福。こうなると視力が悪いことが悔やまれてならない。もっと彼のことを近くで見たくて、「キスしてっ」なんて甘ったるい声でねだれば、彼は噛みつく様に応えてくれた。大きな口でがぶがぶと顎を甘噛みされ「そこちがうぅ~」と泣けば、笑って開いた唇に肉厚な舌をぐちゅっと差し込まれた。歯列をなぞられ
舌を絡み取られる。そのままきつく吸われれば、息も出来ず脳が溶けてしまいそうだった。

「はっ、はぁっ、あ、佐崎さん、きす、きもちぃ…」
「息してる?」
「してない…」
「ははっ、死ぬぞおい」

 出会った頃よりもずっとずっと優しい顔で笑ってくれる。それだけで本当に胸がいっぱいだった。「なんて顔してんの」なんて言われても、どんな顔してるかなんて自分じゃ分からない。涙とか涎とかで汚いということだけは分かるけど。見られたくなくて身体を捩り顔を背けると、乳首に濡れた感触があった。胸を握る様に形が変わるまで揉み抜かれ、片方の乳首は歯を少し立てられながら吸われた。最初はちょっと乱暴で痛いけれど、続けられればそれもムズムズとした快感に変わっていく。啜り泣く様に喘げば、更に腰の動きを速められ、乳首をぐりっと捻られた瞬間、ビクンっと喉を晒して達してしまった。そのせいで痙攣した蜜壺で、ずっぷりと嵌め込まれたガチガチの陰茎をギュウっと締め上げてしまった。

「あ、あぁーっ!い、イクぅッ」
「…っ!、おいっ!くっ、はあっ、食い千切る気か!」
「あぅっ、ふふっ、お、終わってくれても良かったのに…」
「…覚悟しろよボケ」
「えっ、なんで怒るの?!」

 憎まれ口ではなくて本心からの素直な気持ちだったのに、何故か佐崎さんの琴線に触れてしまったらしい。汗が滲む額にピキッと青筋を浮かせた男は、上半身を起こして体勢を立て直すと、私の肉の付いた腰を両手できつく掴んだ。あ、やばい。本能的に察知して身体を捩り逃げの姿勢を見せたけれど、子どもみたいにあっさりと押さえ込まれた。そんな遠くに行ってしまったら、貴方の顔がよく見えない。泣きべそをかいて腕を伸ばしても、彼がその手を掴んでくれることは無かった。
 
 パンッパンッと肉のぶつかる音が部屋中に響いている。先程までは一応手加減してくれていたんだなあと分かってしまう程の激しい律動に、思考がぶつぶつと途切れ、何も考えられなくなっていた。彼の恵まれた体型と比例した大きな陰茎がずるりと抜けて、全部出ていってしまうと思ったところで角度を付けて勢いよく貫かれる。張り出したカリでGスポットを擦られ、絞る様に絡み付くヒダを掻き分けられる。そのまま子宮口まで大きく膨らんだ鬼頭で責められれば、もう頭をめちゃくちゃに振って腰を掴む彼の手の甲を引っ掻いた。それでも彼はなんてこと無い様に更に腰を回しながらいやらしい動きで蜜壺を蹂躙していく。私はもう既に何度目か分からない程甘く達していたけれど、彼は一度も出していない。

「は、っぁあう、やだっおく、またいくっ」
「はぁっ、きっつ、さすが処女」
「い、いやぁっ、なんで、私っ、初めてなのにきもちいいのっ?」
「そんなん知らんて。相性良いんかな。あ、でもやっぱり血は出てる。グロ」
「ぐロとかっ、言うなくそが!」
「くそとか言うなよ。いっそ泣いとけ」

 佐崎さんは身体を倒すと、全体重をかけて私を貫いた。大きな身体に閉じ込められて、もう天井の星達も見えない。彼しか見えない。速いピストンで中を抉られ、今までになく密着しているせいで、彼の陰毛が隠されていた陰核を刺激してくる。その刺すような快感にまた甘く達して、もう泣きじゃくることしか出来ない。突かれる度に達していて、本気で死んでしまうと思った。


「うっ、やめっ、ムリ!あっ、はぁ、んんっ」
「っ、くっ、はぁっ、イけよ」
「ああっ!やっ…!っ、はぁっ…、あーっ、ダメっ!あっ、んっ」
「っ、俺も、出るっ」

 ズンッと一際奥を突かれた瞬間、一際深く達してしまった。長い絶頂から降りて来られず、身を震わせている間も亀頭でグリグリと子宮口を捏ねられ、全身の毛穴からぶわりと汗が滲んでいく。佐崎さんのモノがビクッと跳ね、薄いゴム越しにやっと彼が射精してくれたことがわかり、胸にじんわりと喜びが広がった。彼が自分で感じてくれた事がこんなにも嬉しい。満たされた気持ちで彼を見上げて、絶望した。佐崎さんはまだ獲物を痛ぶる肉食獣の様な獰猛な顔をしていたから。あまりのことにポカンとしていると、彼は男臭く口の端を上げてニヤリと笑った。外したゴムの口を縛ってゴミ箱へ放ると、新しいゴムを出したばかりだと言うのに既に硬度を取り戻している陰茎へと装着していく。その間に逃げようとバタついていた腕を取られ、ベロリと舐め上げられる。

「まだ終わらんぞ」

 ぐいっと身体を反転させられ、バックの形を取らされる。何で、私、初めてなのに、こんな気持ちいいのは嫌だ。助けて、もう離して。ぐいっと背中を押されてお尻を高く持ち上げられる。そのままししどに濡れた蜜壺へと、またズブズブと挿入された。先程とは角度が違うせいで、新たな場所を開発されていくようで堪らなかった。

「あああっ!、はぅ、あ、ん、いじめないでぇ…」
「はっ、悦がりまくってるくせにうぜー」
「気持ちいいよぉっ、もうむりぃっ、これ以上はしぬ、ほんとに」
「おー、俺も死にそうなくらい気持ちいい」
「うぞっ、ふぅっ、うそだぁっ、私だけっ、しぬっ、あぁっ」

 両手でシーツを掴み泣きながら喚いていると、彼が背中から覆い被さってきた。耳元に掛かる息が熱く、そのまま耳軸を舐められてまた身体が跳ねる。太ももをいやらしく撫で回していた手が伸ばされて、陰核を探し当てられてしまう。

「ひぅっ!それっ、ダメだってばぁっ!!」
「ん、クリ気持ちいいか?」
「ダメっ、それ、イク、イクぅっ、イぐっ!」
「答えろや」
「くりっ、きもちい、すぐイクのそれっ」
「ははっ、かわい。もっとしてやるよ」
「だめっ、たすけてっ!そこゆるじてくださいぃっ」

 ナカに奥までずっぽりと埋め込まれたまま激しく揺さぶられる。抜き差しされる動きとは違い、まるで逃げ場のない快感に壊されてしまいそうだった。その上一番敏感な陰核をグリッと大きな親指で潰された瞬間、身体から一瞬魂が抜けた気がした。声も出せずに達して、ぐぅっと締め上げた彼のモノも弾けたのを認めながら、そのまま意識は遠退いていった。








「それじゃ、楽しかったです。ではまた月曜日に!」
「おー、気を付けてな」

 わざとらしいまでにニコニコと笑う女の顔は、数時間前に初めて言葉を交わした時よりもずっと憔悴していた。それでもあどけない顔立ちに色気がプラスされ、前から目を付けていて正解だったなと思った。こいつを先程まで本気で泣かせる程犯していたのだと思うと、散々出した後だと言うのにまた腰が重くなった。何か気の効いた甘い言葉でも掛けてやりたいけれど、生憎そういう性分ではないためそんなものはスッと出てこない。まあ会社でいつでも会えるんだし、保留でいいか。

「あの」
「んー?」
「安心して下さい。私、変な勘違いとかして今後馴れ馴れしくしたりとかはありませんから」
「は?」

 脈絡もない唐突な言葉に、思わず眉間に皺がよってしまったらしい。朝田は少し怯えた様な顔で俺から一歩距離を取った。きゅっと引き結んだ口元のほくろがエロい。何か飲み中にコンプレックスだとか言ってたからあまり触れんかったけど、次は舐めまくってやろう。

「だから、今日のことは全部忘れます。あ、でも初めてのエッチは気持ち良かったです。ありがとうございました!それでは!」
「はあ?って、おい!」

 こっちが何も把握出来ていない間に、あっという間に始発の改札へと逃げ込まれてしまった。泣きすがる女を置き去りにすることは何度かあったが、逆に置いてけぼりにされるのは初めてかもしれない。気持ち良かったんかい。それはようござんした。

「あー、めんどくさい女」
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