上 下
3 / 29

3普通の人間

しおりを挟む
「あの。すみません……」



「あ?人間が来た」
男は目をギラギラさせていた。

蜃気は男に声をかけたのだ。




俺は気付いた。
蜃気は気付いていない。
彼は普通の人間ではない。




「蜃気!!そいつぁーぶない!」



叫んだが、蜃気は気付かなかった。
今はあっちの方に集中しているんだ。


何故かと言えば、蜃気君は遺伝子操作されている超人のような存在。俺らは彼らの事を超能力者と掛けて跳能力者と呼んでいる。それほどに彼は人間とは少し違う。そして、彼の集中力は凄まじいのだ。だから今ここで何を叫ぼうと、意味は無い。


「ふへええ!でっけえ蜘蛛だなコイツ!」

蜃気は何か妙な事を言っている。
デカイ蜘蛛なんてどこにも見当たらない。
ただ男の方を向いて蜃気が何かブツブツ言っているだけだ。何をしているんだ?

男は田中をクタクタにさせたあと担いで去ろうとしていた。蜃気は何かブツブツ言っているだけで何もしていなかった。


「てめー蜘蛛逃げんな。ぶん殴る!」
蜃気は立ち去ろうとしていた男の方を向いた。

蜃気はジャンプをした。5メートル位跳んだ。
着地すると同時に男の頬を殴った。





「うええええええええええ」


男は倒れ、田中はかろうじて息をしていた。





「てめーマジ許さんからな……え?」


「もうやめたほうがいい!蜃気」
俺は蜃気の腕を掴んで男に殴りかかるのを止めさせた。



「あれ?俺は今まで何をしていた?何か蜘蛛とか言ってたっけ?」




男は田中を担いで何事もなかったかのように公園を立ち去っていた。




「蜃気、追いかけよう」


「そうだな、田中を助けないといけない。さっきの俺はどうかしていた。あれが幻覚って奴だったのか、強いな」


「多分何かが違う。」

「え?」

「いや、何でもない」


「そうか……って土蜘蛛(どぐも)!もうアイツ歩いて行ってるぜ?」



「そうだな、追いかけよう。」

「走って行かないともう追いつかないんじゃないか?」



蜃気と俺は、田中を担いだ男の後をつけて行く。
    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲

俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。 今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。 「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」 その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。 当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!? 姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。 共に 第8回歴史時代小説参加しました!

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

最近様子のおかしい夫と女の密会現場をおさえてやった

家紋武範
恋愛
 最近夫の行動が怪しく見える。ひょっとしたら浮気ではないかと、出掛ける後をつけてみると、そこには女がいた──。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...