異世界陸軍活動記

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科学

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 雨が降り注ぐ中、濡れた地面を踏みしめながら進軍する、なかには少しぬかるんだ土に足を取られ、倒れそうになっている兵士もいる

「雨の中の進軍と言うのは、あまり気持ちのいいものではありませんね」
 今回、全指揮権を得たタクティアは、顔に張り付いた雨を鬱陶しそうに手で弾く

 中隊に対し一時待機を指示したが、その後7日程何事もなく過ごし、8日目に天気が崩れ出したので敵から奪った拠点を出発した。

「まあね、色々濡れるしね」
 雨に濡れ、肌に張り付くインナーが気持ち悪いようだ。俺は『土』魔法で傘を作り、雨をしのいでいるから関係ないが

「私もその中に入れて貰えませんか?」

「嫌だよ、二人だと狭くなるし、これ以上大きくしたら木にぶつかるし」
 この様な時『土』か『氷』など固形にできる魔法を覚えている者達は、魔法で傘を作り出せるので便利だ。

「エクレールはソルセリーを入れてあげてますよ、2人位余裕だと思いますが」

「その入れて上げてるエクレールはびしょ濡れだよ」
 『氷』魔法で作った傘のほとんどをソルセリーに取られ、エクレールはただの傘持ち係になっていた。

「軍から支給されている雨具着てるんだから、いいじゃない」

「でも隙間から漏れてくるんです」
 文句を言ってくる、そんなタクティアを見ていると、前と違って体力が付いたなと思った。最初の頃は歩いているだけでひーひー言っていたのに‥‥よくよく考えたらもう一個傘を作って渡したらいいんだけど、もう着いちゃったからいいか

「そんな事言っている間にもう着いたよ、作戦が成功したら一瞬で雨が止むから我慢しなよ」

 目の前には今回攻略する敵の拠点が見えている。
 今日の作戦の為に砦付近に生息していた木の殆どを伐採している、その見通しの良くなった小高い丘の上に立つ円柱形の砦、幅40メートルの高さが60メートルと推測する

「うーん、落としてくれって言ってようなものだね」

「ハヤト隊長本当に大丈夫なんですか?」

「うん、落としやすそうな形をしているし、今回はちゃんと当たるだろう」

「‥‥今回はって、前回は失敗したんですか? この前は聞かなかったんですが、どこで試したんですか?」

「い、今はそんな事どうでもいいじゃない、それよりも目の前の拠点に集中しようか」
 あ、危ない、感ずかれる所だった。

「そうですね、ルマジ・ラタクーの息子が女神の怒りに触れたとは聞いてはいますが、それはさておき、作戦を開始しましょうか」
 
 バレてた、タクティアの口が金属よりも固い事を願う

 タクティアが指示を出すと、部隊が事前に打ち合わせした通りに動き出す。
 俺とベルフ、ライカそして『探知』魔法が出来る兵士の計4人で、敵砦から攻撃が届かないギリギリの線まで前進する、残りは後方待機となる。

「では、自分は『探知』を開始します」

「そうだそうだ、これ使ってください」
 『探知』用の、うさ耳天然魔石を渡す

「え‥‥‥これって」
 一瞬ためらい、その兵士はどこか嫌そうに受け取った。
 俺もこの世界になじみつつあり、この世界の常識や価値観を身に着けてきている、当時は何も考えず、必要だからゴルジア首相におねだりしたが、後々知った事はではこのうさ耳天然魔石、そこそこの家が一軒建つらしい。
 俺だってそんな価値のある物を渡されたら困る
「この壺で豪邸が一軒建つんですよ」
 何て言われて日にはその場から逃げたくなる、一応は『硬化』も掛けてあるので、ちょっとの事では壊れないのだけど。

 『探知』を担当する兵士は、そーっと自分の頭の上に乗せた、いつもは自分が使っているので気づかなかったが、他の人がそれを付けたのを見て分かった。

 何となくアホっぽい

 さて『探知』は他の人に任せ、ギリギリまで近づく

「隊長、これからどうするんですか?」

「え? どうって、タクティアから聞いてないの?」

「はい、隊長が何かするとは言ってましたが、何をするかは見てのお楽しみと言われて」

 あいつはホントに‥‥そこはちゃんと言っとかないと

「俺も聞いてないぞ、どうするんだ? お前の攻撃が成功してから直接砦を攻略すると聞いているが」

「それはね‥‥いや、見てからのお楽しみだ」
 説明がめんどい

「おい」

「取りあえず俺が魔法を使うから、それでもしかしたら、敵の魔法を無力化する魔道具を、破壊出来る可能性がある‥とだけ言っておくよ」

「あの魔道具を無力化する程の魔法ってどんなのだよ、女神クラスの魔法なのか?」

「‥‥そう言えば、タスブランカで女神━━」 
「あー!! あー! ああー!!! 今はその話はいいだろ! 集中しよう集中!」

「あっ、はい」

 危なかった‥‥タスブランカで俺が落とす場所を失敗した雷は、女神の雷としてかなり有名になってしまった。
 本来なら、俺の近くにあった大きな木に落とす予定だったのが、途中で方向を変え、やたらと大きい豪邸の方に落ちていった時は、体が凍り付いてしまった。
 バレないように、どうか犠牲者がいませんようにと、逃げるように帰り、次の日2人死亡したと報道で知った時は、正直生きた心地がしなかった。
 いつ、「少しお話をお聞きしてもよろしいですか?」とお巡りさんが来ないかと、毎日恐怖に怯えていた。
 結局の所死亡した2人は、ルマジ・ラタクーの息子であり、尚且つ、間接的にリテア様の誘拐に関わっていたのと、普段から悪い噂しかない人物だったので、女神から天罰が下ったという事にされ正直ほっとしている。

 あの時はあの豪邸の方が少し高い所にあったんだろう、でも今回は間違いなくあの目の前の砦に落ちる





「ここが限界か」
 目の前に敵拠点から発せられた魔法が着弾する

「ハヤト頼むぞ」

「ああ、ベルフもライカも頼む」

「おう」
「はい」

 今回『探知』要員で付いてきてくれた兵士の方を振り向き
「警戒お願いします」

「了解しました」

 『土』で出来た傘を放り投げ、雨が降り注ぐ空に向かい、手を高く上げる
「女神より賜りしこの力! その身に刻め!」

「え?」
「女神から?」

 嘘です、雰囲気作りに言って見ただけです

 伸ばした腕の先にあるのは雨雲、大気中の魔力に働きかけ、尚且つ自身の魔力も使う事で魔法の届く距離を最大限に伸ばし、雲の内部に何千もの小さな氷の粒を作り出す、距離的にはギリギリで、どう頑張っても作れるのは不完全な小さな粒だけしか作れない、しかし、今はこれで十分、俺が雲の中に作り出した氷の粒を振動させ、元々雲の中に存在している氷の粒にぶつける

 日本人なら殆どの人が知っているであろう『雷が出来る仕組み』、俺もどこで知ったかは忘れたけれど、多分学校で教わったんだと思う

 雨は水が蒸発して雲になり、今度はそれが雨になり大地に降り注ぐ
 
 しかし気温の低いさらに上空にある雲は、雲の中で水分が凍って氷になる、それが互いにぶつかり合い、静電気を起こし、それが溜まりに溜まって雷として大地に落ちる。

 今まで何度も雷を落とそうと思い、まず雲を作る事から始めていたが、ずっと成功しなかった。
 ならば雨を降らそうと色々とやってみたが、結果なんとか雨は降らすことが出来た。
 ただし一瞬だけ
 
 雨を降らせると同時に雲が霧散してしまい、長く続かない。これは多分だが女神の力が干渉してきていると思う
 気候まで操る女神の力、その力に阻まれ思うようには行かなかった。
 
 それでも諦めず練習していた所に
「女神の意思に逆らうことが無いように・・・」
 タスブランカ次期代表候補のリテア様に言われ、それを聞いた時「なるほど」と思った。
 無理やり雲を作り雨を降らせよう、雷を落とそうとしても、女神の意思に反するから力が解除される、ならば女神の意思に逆らわず力を使えばいいと考えた。

 俺がしていることは小さな氷の粒を作り、それを振動させているだけ、女神の意思には逆らっていない


 ゴロゴロゴロ!!

 雲からは早くも大きな音と、わずかな光が発せられていた

「そ、そんな‥‥」
「おい、ハヤト‥‥お前本当に女神の‥‥」

 
 やっぱきっついな‥‥

 体の中から次々と魔力が抜けていき、体の姿勢が自然と崩れてゆく、目の前にチカチカと光が見えてきた時‥‥‥

 ピシャァァァァ!!!!

「「うわぁぁぁ!」」
 
 雲から一直線に光の柱が砦に落ち、その音は体の中から響いてくるような重く大きな音を出した。

「ふぅーっ‥‥っしゃ!、直撃した!」
 見事に砦に雷が落ち、砦の上からは火の手が上がっている、今落ちた雷は自然現象であり魔法ではない、なので砦の魔法を防ぐ魔道具は通用するはずがなかった。

「ベルフ、ライカ、俺は下がるから後は作戦道りにね」

「「‥‥‥うん」」

「ああ、あとそのうさ耳返してください」
 尻もちを付いていた『探知』担当の兵士にお願いする

「‥‥‥‥」
 兵士からは無言でうさ耳を返されるが、かなりの魔力を使ったせいか受け取った瞬間ふらつき姿勢を崩してしまった。
「あっ‥‥と」

「うわぁぁぁぁ!」
 落としそうになったうさ耳を、『探知』をしてくれた兵士が慌てて両手で受け取る
「か、勘弁してくださいよ」

 落とした位では壊れないんだけど
「ごめんごめん、ふらついちゃって」
 一応謝って置く

 俺の仕事はここまで、後は後方に下がり待機となる

 後方に下がろうとした時、さっきまであれほど降っていた雨は既に止んでおり、空を埋め尽くしていた雨雲も、異様とも思えるスピードで散っていった
 



 ◆◇◆

 諸葛亮先生もこのような景色を見ていたのでしょうか‥‥‥‥
 
 タクティアは自身の憧れの存在でもある諸葛亮孔明に思いを馳せる

 今回この作戦の責任者になったタクティアラティウス
 本来なら本部の部屋の中で、ハルツール軍という名の駒を動かすだけの存在だった。しかし、目の前には駒の代わりに本物の兵士が存在し、それを自身が直接指揮を取っている

 隊長ハヤトの魔法が成功し、魔法の威力にまだどよめいている、味方の部隊に作戦開始を言い渡し、敵砦に向かう自軍の兵士の後ろ姿を見ていた。
 
「あの部屋の中にいただけでは、得られない世界もあるのですね」
 自軍の兵の後ろ姿を見て呟いた
 
 彼の左手には、自身の隊長が作った扇方の武器が強く握られていた。
 隊長のハヤトが言うには、諸葛亮は扇形の武器を持ち、軍師として戦に参戦していただけではなく、必要とあらばその扇で前線に立ち、千を超える敵兵を倒したと聞かされた。時には敵陣に単騎で突入したりもしたそうだ。

 一騎当千ですか‥‥私には敵兵を倒すような力はありませんが、この作戦を直接指揮し勝利すれば、少しは諸葛亮先生に近づく事が出来るでしょうか‥‥‥‥

 隊長のハヤトが使った女神の魔法、実際はただの自然現象だとハヤトは言っていた。
 ハヤトが言うには、女神が天候をコントロールすると、どうしてもこの星にストレスが溜まる、そのストレスを発散する為に標高の高い山にストレスを集めている、それがこの世界では魔力溜まりと言われている。
 山に落ちる雷が女神の力では無い、その山に集めている力が女神の力だ

「と、思うよ? 知らないけど」
 ハヤトはそう言っていた。

 それにしても、本当にあの女神が使うと言われる雷を実際に使うとは‥‥
 あの破壊力と、体の芯から響くような音、まだ体の震えが止まりませんよ

 震えで力が入りずらく、武器を落としそうになるため意識して強く武器を握っていた。
 今の状況を確認するため、双眼鏡で砦の方を確認する

 んー‥‥‥‥あ、ハヤト隊長はちゃんと下がってますね。

 隊長のハヤトが、少しフラフラしながら後方に下がっているのを確認する

 敵は『召喚者殺し』を使用してくるかもしれません、あれで攻撃された召喚獣は二度と呼び出す事の出来なくなるという、まさに召喚者の能力を殺す文字道りの召喚者殺し・・・・・
 あの砦では使用されたと言う報告はありませんが、用心に越した事は無いでしょう、召喚者が前に出るにはまだ早い。
 それでハヤト隊長の召喚獣が狙われてしまったら、ハルツールにとっては大きな損失になります、あの珍しい召喚獣達は我が軍には大きな財産です、他の召喚者がそれで召喚獣を失っても多少なら問題ありませんが、ハヤト隊長の召喚獣だけは守らないと‥‥‥

 現在の砦の状況は、兵士が魔法で外壁を破り中に突入しようとしている、魔法が通っているという事は、ハヤトの言った通り、魔法を無効化する魔道具が破壊されたのであろう、砦からの攻撃が少ないのは、砦内で混乱が起きているか、もしくはハヤトの魔法で犠牲が出たせいか、どちらにしても今が攻める絶好の機会にあるのは変わりない

「んー、あれは、ライカとベルフですか‥‥」
 双眼鏡で覗く先には、同じ部隊で常に一緒にいる二人の姿があった。一緒に居る時間が長いからだろう、その動きや姿で、これだけの兵がいるにも関わらず直ぐに見つかった。

「ライカは‥‥前に出過ぎではないですかね」
 明らかに他の兵士と比べ前に出過ぎている、破壊された壁に一人で侵入、それに続くのはベルフ、砦からの魔法攻撃を身に受けながらもライカを追い壁の穴から侵入する

 

 ライカは魔法が使えないが兵士としての能力が高く、特に剣技に対してずば抜けた力を持っている、ハルツール軍の中でもかなりの上位に来る腕前だろう。
 だが、魔法が使えないというのは彼にとって大きなハンデとなる。

 戦場での魔法と言うのは、攻撃はもちろんの事、牽制や足止めにも使う。
 ライカの場合、攻撃手段が刀だけしか無い、しかし、敵の懐に入ってしまえば彼を止められる者は、マシェルモビアにもそうそう居ないだろうと思われる
 ライカ自身も
「近づく事さえ出来ればどうとでもなります」
 と発言している
 
 ライカの実力を100%発揮させるためには、魔法で彼をサポートする役が必要になる、その役をベルフが担当することになっていた。
 
 タクティアは最初ハヤトとライカを組ませる予定でいた。そして部隊の隊列もそのように作っていたのだが、一応ベルフにも相談した所

「いや、それは止めた方がいいでしょう」

「ほう? それはどうしてでしょうか?」

「ハヤトは『探知』魔法を使えるせいか、全体をよく見るという能力はあります、ただ、特定の人間の補助となるとあいつはまだ未熟な所もあるし、何よりハヤト自身の良い所を半減させることになります」

「半減とは?」

「大陸深部を通過した時もそうだったんですが、『探知』で全体を見渡せる分、ハヤトは全体をよく攻撃していました。1体2体ではなく、とにかく自分の周りの敵全部です、ハヤトをライカに付けた場合、そちらに集中する事でハヤトの能力を縛る事になります、そう言う意味での半減です、あいつは自由にさせておいた方がいいでしょう」

「ふむ‥そうなると」

「ライカの補助なら俺がやりましょう」

 ベルフがそう発言した事で、ハヤト隊の隊列は極端な二等辺三角形の形になった。ハヤト少し離れた前方に配置し、ベルフとライカを組ませる為に近くに置く、ハヤトは嫌がっていたが、ライカの補助をベルフがすると想定したら、タクティア自身はこの隊列がベストだと思っていた。
 
 しかし、あまりにもライカの力が突出しすぎていて、ベルフには少々重荷になっている所も否めなかった。

 ‥‥‥‥ベルフにもう一度確認しておきましょうか


 ・・・・
 
 ・・・・

 ライカとベルフが突入すると、次々にハルツールの兵が後を追い、あれほど攻略の糸口すら見えなかった砦も嘘のようにあっけなく落とすことが出来た。



「凄かったっすよ先輩! アレどうやったんっすか!? 俺小便ちびっちゃう所だったっすよ!!」

「お、君も気付いたかね、『洗浄』は必要かい? それにしてもドルバにもあれの凄さが分かるとは‥‥ドルバも成長したな」

「分かるも何も、アレがどんなものか分からない奴なんていないっすよ! なんすか!? あれって一体なんなんすか!?」

「ふふ、ならドルバだけに教えてやろう、あれは実は女神から直接賜った‥‥‥‥」

 『科学』でしょ、と心の中で思いつつ、軍学校の後輩によいしょされているハヤトを尻目に、タクティアは制圧された砦の中に入る

「おい、タクティア!」
 頭上から呼ぶ声が聞こえ、顔を上げるとそこにはベルフがいた
「こっちに来てくれ!」

 軽く手を上げベルフの言葉に応える、砦の中は吹き抜けのようになっており、砦の中心部には何かを囲むように壁のような物が作られていた。

 砦の中に何かを守るようなこの壁は‥‥、砦の兵士のための居住施設なのでしょうか? その割には随分と武骨な

 階段を上りきるとそこには鎧が所々損傷し、傷だらけになっているベルフがいた。

 やはり‥‥‥かなりベルフにはきつかったようですね
 心の中でそう思いつつ
「どうしました? 何か見つかりましたか?」

「タクティア、アレを見てくれ」
 ベルフが指を指した方に目を向ける
「アレは何だと思う?」

 ベルフが示した場所には、放物曲線の形をした何らかの装置があった、タクティアはアレ何だろうと考えたが、自分の知識の中にある物で似たような物が頭の中に浮かび、口からその言葉が出た

「集魔機‥‥‥‥」
 ハッとなりベルフを見ると、ベルフもタクティアを見ていた

「タクティアもそう思うんだな」

「‥‥い、いえ、そう思っただけです、似たような物が思い浮かんだだけで、こんな小さな集魔機なんかあるはずがありません、きっと何かの別の装置でしょう」

「あの独特の形で他の装置と言えるか?」

「形は同じようですが、この小ささはあり得ません、もしそうだったとしても魔力なんか集まりませんよ」

 大気中に漂う魔力を集める事の出来る集魔機、集めた魔力は人工魔石に充填したり、ケーブルを使い各施設、または家庭に送られる。
 実際の集魔機の大きさはかなりの物で、目の前にある装置の何倍、何十倍にもなる

「そうだといいんだがな‥‥‥、今下に調べに行ってるがもう少しで結果も出るだろう」

 タクティアは、心の中であり得ないと何度もつぶやいた。もしこれが集魔機でそれなりの能力があるのなら、もし量産可能だったら‥‥我がハルツール軍は窮地に立たされるだろう、こんな物が本当に集魔機だったら‥‥


 カンカンカン
 階段を駆け上ってくる音が聞こえてくる、上ってくる兵士には焦りの表情が浮かんでいた。

「どうでしたか?」
 その表情に不安を覚えつつタクティアは声を掛ける

「あっ参謀、いい所に!」

「この装置は何か分かりましたか?」

「はい、下の方には魔力を溜めておける巨大な人工魔石がありました。間違いなくこれは集魔機です」
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