異世界陸軍活動記

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ご褒美

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「とっても美味しかったよ、また来るからさ一緒に行こうよ」

 「また来るから」またってことは2年後ぐらいかな? 右手を差し出し握手を求めてきたネクターに俺も右手を出し、ネクターの手を握る

 途端

 ビリビリ! と手に激痛が走った
「痛ぁぁぁ!」

 クスクスと笑い「またね」と言い残し、ネクターは魔法陣の模様のような羽を広げ、飛び去って行った。

 何? 威圧掛けていったの? 悪戯っぽいのか、それとも女の姿の事でまだ根にもってるのか、まだ痛みが残る右手を振ってみる、そこに少し違和感が‥‥、

 右手を見てみるとそこには

「‥‥指、生えてる‥‥」

 無くなっていた3本の指がキレイに再生されていた。

 ・・・・・・・

 オヤスには本当に美味しい物を作ってくれたお礼として、ネクターに名前を借りてもいいか相談したところ、あっさりと
「いいよ、こんな美味しい物を作ってくれたかね、とっても満足だよ」
 と了承された。

 なのでメニューの欄に
『天使ネクターおすすめ』

 と、記載させてもらうことにした。
 それを聞いたオヤスは「ありがとうございます!」と泣きながら笑っていた、天使に認められたことで感極まったのだろう。

 ただ、笑っていたのは仕事熱心な分、お金にも熱心なオヤスのことだから、また儲かると考えたに違いない、また、オヤスは俺に「グース」の名前を使ってもいいかを聞いてきたが、別にいいかと思い了承した。

 クオルシとクオルシゼリーもあるから、この店が今度はどう変わっているか結構楽しみでもある、また増築したりして‥‥

 完全に威圧が無くなったことで、精神的にも時間的にも楽になった。買い物一つでも、店員に怯えられ、更に泣かれ、中々清算を済ませてもらえなかったこともあるし、レジから店員が逃げ出したこともあったが、それが無くなりスムーズに買い物を出来るようになった。
 
 本当にありがたいことだ。

 ・・・・・・

 日をまたぎ、俺は朝一番で教会に来ている、「俺の女神」マシェルに祈りを捧げるため、何故あの時俺は幽霊だと思ったのか? どこからどう見ても美しい女神様にしか見えない、俺は悪くない、その時の俺の目が悪いんだ。

 やれやれと、その時の俺の目の節穴具合を呆れつつ、女神マシェルに向かって祈りを捧げる、天使ネクターの話によると、ネクターの母、女神サーナも美しいらしい
「母上は厳しいお方だけど、とても美しいんだよ」
 と言っていた。

 将来的にネクターを妻に迎える俺としては(妄想)、女神サーナは義理の母になるわけだから、女神マシェルの次に祈りを捧げる。

 指が完治し、威圧も無くなったことは、今の所誰にも話していない。暫くは内緒にしておくつもりだ、なので俺の顔にはまだ、不倫パーティで使用されるという不倫仮面が掛けてある。
 
 内緒にする理由として、指が完治したのが首相のゴルジアにバレたら
「次は○○の村の~」
 とか言い出しそうだし、威圧が無くなったのがバレたら、誠意のある説得(脅迫)が出来なくなる、今まで無理行って色々買わせていたのに、これが出来なくなるのは正直痛い、だから暫くは首相の連絡も通信機だけにしようと思う、首相もそっちの方がいいだろう精神的に

 さて、指が治ったことでやる事が沢山ある、軍の武器保管施設と備蓄施設、家具店からホームセンターまで、色々周り、それだけで一日が終わった

 ◆◇
 翌朝

「さて、今日から忙しくなるぞ~、お前らしっかりと頼んだぞ」
 目の前のノーム3体はコクコクと頷く

 教会で「俺の女神マシェル」に朝一番で祈りを捧げてから、軍本部に向かう。

 向かう途中、今までなら俺が歩いていると、人が割れるように避けていたが、もうそのような事は無い、顔に掛けてある仮面に気付くと『ギョッ』とするが、それ以外は普通にすれ違う、若干歩きにくくもあるが、その事も少しうれしくある。

 ・・・・・・
 
 なんやかんやで目的地に到着
 
 今いる場所は軍が貸し出している鍛冶場兼作業場、ノーム達にはレールガンで使う弾を作ってもらっている、コンセの村に行ったときには、もう既に弾が3発しか残ってなかった、最後の切り札となるレールガン、それも使い果たしてしまってどうしようと、内心ビクビクしていたのだけど、何とか乗り切れてよかった。

 仕事だと真面目に働くノーム3体を尻目に、鍛冶仕事や、『風』魔法を使い木材加工を進める、コンセの村で変種と戦い色々と力不足を実感したので、召喚獣達の使う道具や、魔法契約で成功した者達のご褒美を作ることにした。

 ゴルジア首相には、次の任務のために時間をくださいと連絡したら、結構あっさりと了承してもらった、手の怪我云々以前に、申請したら休暇はくれるらしい。

「手の怪我が~」
 何て必要は無かった、意外と人使いが荒い人ではなかったようだ、軍事に関しては素人だけど


 ◇◆◇◆◇

 毎日教会に出向き、その後は作業場に缶詰め状態がひと月過ぎた頃、ようやく全ての作業が完成した。

 召喚獣達のご褒美も全て完成、それを渡す事にする
 
 首相から与えられている住宅の庭、目の前には尻尾フリフリの柴犬2匹

「よし! まずは前からお前らが欲しがっていた物だぞ」
 サイクロプスの皮で作った首輪を2匹に付けてやる、程よい硬さとしなり具合が首輪にピッタリだった。オルには青色に染色した物を、トロスにはピンクに染色した物をそれぞれに付けてやる

「やった! やっと貰えた」
「これでついにご主人のものに」

 オルはそこら中を走り回り、トロスはその場で目を閉じその喜びを噛みしめていた。

「それじゃあ次は契約のご褒美の方ね」

「「 えっ! 」」
 二匹とも首輪がご褒美だと思っていたらしく、こっちを凝視したまま固まる、首輪の方はコンセの村で荷台を運んでくれた方のお礼だ。魔法契約のご褒美はこっち、専用のフリスビーだ。

 木材を『風』魔法でフリスビーの形に切り、そして下地になる薬品を塗り、その上に塗料そしてそれを守るためのコーティング、更に水を弾くコーティングをした後、『硬化』をかけてある、色は2匹の首輪の色に合わせてある。

「大事にするんだぞ」

 そっとそれを2匹に渡すと、手を噛み千切られるんじゃないかという勢いで奪い取られ、オルの方は何故か地面にフリスビーを叩きつけて「ぎゃんぎゃん!!」と、まるで威嚇をするように歯茎を剥き出しにし、フリスビーに向かって吠えていた。
 トロスは先ほどの落ち着きはどこに行ったのか、自分でフリスビーを咥えて投げ、自分でキャッチしていた。

「次の召喚獣のご褒美があるから、そろそろ戻ってね」

 と、お願いすると2匹とも「「 ワン! 」」と吠え、自分の『収納』に大事そうにしまってから戻って行った、もう人語も話せないようだ。

 続けてはノーム、まずはノームの武器の強化、通常の銃では全く活躍出来なかったコンセの村、今回『収納』をノーム達が覚えたことによって、ノーム自身が武器を運べることが出来るようになった。
 俺がノーム達の武器を持つと自分の『収納』が圧迫され運べなかったので、とてもありがたいことだ。

 まず3体にロケットランチャーを持たせる、軍支給品の一つで正式名称は違うが、俺が分かりやすいのでそうする、正式名称は‥‥小型、えー‥‥小型なんちゃら砲だった気がする。
 30㎝程の人工魔石を先端に取り付け、それを射出する、弾は一人20発程持たせる。
 
 通常弾が3㎝程の今までの銃と違い、かなりの効果が期待できるだろう、変種のライカンスロープでも足止めぐらいは出来るはずだ。それと『照明』を付与した照明弾と、照明弾を改良した閃光弾も各自に持たせる、更にノーム1号には『照明』を改造した信号弾も持たせる。
 昼用と夜用の2発、支給されている物を俺が更に手を加え改良してある

 更に、今まで使っていた銃の先端に銃剣を付けさせる、ただの刃物ではなく、俺の刀雷雲・改に使われている魔力を這わせるタイプに改良された銃剣、それにより接近戦闘能力のないノームの強化をする、そして手榴弾ならず手榴石を持たせた、こぶし程の大きさの人工魔石に『火魔法』の起爆を付与した物を与える、ちなみに『手榴石』という名前は勝手に俺が付けた

 そして別の人工魔石に『土』魔法を付与し、ノーム一人がすっぽりと入れる土嚢を作れるようにする、そこには『硬化』『耐壁』が掛けられている、それを1体ずつにそれぞれ渡す

 3体はどこで覚えたのか敬礼をする、多分俺に感謝をしているのだろう、だけどちょっと待ちなさい、これは契約のご褒美ではなく、必要だからそろえた物、俺は自分の『収納』からガラスのジョッキを3つ取り出した、もちろん『硬化』付き

 表情が変わらないノーム達が何かを察したらしく、ハッ! とする、少しだけだが眉毛が動いた気がした。
 俺がジョッキを作っても良かったのだけど、型を作ったりとかめんどくさいので、買った物だけど

 3体が期待の眼差しを向けてくる中、俺は3体の目の前に、業務用サイズのパナンのシロップが入った容器を12個取り出した。

「これが契約のご褒美だ」

 これにはノーム3体も大喜び、声が出せないので見ていると何だか、昔の音のない白黒映像時代のコメディ映画を見ている気分になる。

「一人4個までな」

 喜んで自分の『収納』にしまい込み、ジョッキを掲げ戻っていった。俺の頭の中ではノームならずドワーフが酒盛りしている光景が再生される。

 
 最後になったがデュラハンのご褒美、デュラハンの場合少し時間がかかるので最後にした、デュラハン用のご褒美の一部を用意してから呼び出す。
 
 馬から降りた状態で、一人と一匹ゆっくりと魔法陣から出てきた
「主命によりこのデュラハン参上しました」
 いつもの言葉を口にしているが、目はご褒美であろう物にくぎ付けになっていた。

「もう分かっているとは思うけど、お前達のご褒美な」

 デュラハンのご褒美は、まず人型のデュラ子の方には武器をキレイに仕舞うことが出来る入れ物、これは大型の洋服ダンスの扉を取り外し、あらゆる武器をキレイに納めることが出来るように改造した、入れ物だけではなく、デュラ子専用の武器も作ってある、メイス・ランス・盾の三つ

「これは!」
 感嘆の声を上げるデュラ子、驚くのは早いぞ

「まずはお前の元々持っている大剣をここに入れてみて」
 デュラ子の大剣は、指定された場所にすっぽりと収まった

「これでいちいち背負うことがないだろ? 続けて武器の説明な、まずは右からメイス、丸形のメイスだけど、所々に尖っている場所があるだろ? その内の一つに集中して魔力を流してみ」

「分かりました」とデュラ子が魔力を流すと、突起の一つから魔力が飛び出し20センチ程の棘のようになった。
 突起の先端に穴が開いており、魔力を流す事によりそこから魔力で出来た棘が飛び出すように作ってある、ちなみにモデルとなった武器は、ガン〇ムに出てくるビー〇メイス

「おぉぉ!」

「一応全体に魔力を纏わせてあるから、メイスとしての破壊力もあるし、攻撃範囲で相手を騙すことができるだろ?」

「はい!」
 何度も魔力で出来た棘を出し入れして確認している

「続いてランスだ、コレも作りはメイスと同じ先端から魔力の槍が出てくるようになっている、ちなみにデザインは俺が新しく作ったのとお揃いだ」
 自分の『収納』からほぼ同じデザインの物を出して見せてやる、俺のランスはデュラハンのと少し違い、持つところ以外全て魔力で出来ている、雷雲・改よりも魔力消費が激しいが、魔力を流すとデュラハンのランスとほぼ同じ姿になる

「お揃い‥‥」
 お揃いが嬉しかったのか頬を染めるデュラ子

「そして盾だ、お前は防御に乏しいだからコレを用意した」
 俺の手のひらには、縦横厚さ、それぞれ1㎝の正方形の物体これが12個、これには表と裏がありそれぞれ『重力』が付与されている。
 金属や魔鉱石、魔石をウエハースのように『合成』を使って重ねて作ってある

「まずはこれをハン子の頭と尻そして側面に3つずつ付ける、そして残り4つをデュラ子の右手の甲左肩、そして胸の所と背中に張り付けるんだ」

 デュラ子と手分けしてハン子に取り付ける、デュラ子にも付けようとしたら自分で付けてしまった、残念、背中は付けられないので俺が付けてやる

「よし、武器を納める入れ物をお前の『収納』に入れるんだ」
 言われたままに自分の『収納』に収めるデュラ子

「では、『収納』からお前の右肩に盾を出すようにしてみて」

 「ハイ!」と右肩に盾を出すと『重力』の付与された正方形の表側と、盾の裏に付与してある『重力』が引き合い、空中で盾が浮く様に停止している、これは車のサスペンションに使っていた『重力』を参考にして作った、かなり強めの『重力』魔法を掛けているので、衝撃を受けてもグラグラ動くことは無いと思う

「凄い!!」

 別の場所に盾を移す場合、一旦盾を『収納』に入れてから、その場所に移すようにする、盾には『耐壁』が5重で重ね掛けしている、同じものに何度も同じ魔法を付与出来ないので、盾の裏に人工魔石が4つくっついており、それに『耐壁』を掛けてある。

 残りの『耐壁』の数を分かりやすくするために、耐壁を破られた場合、力を使い果たした人工魔石は砕け散るようにしてある。

 俺も同じような仕組みの盾を用意している、デュラハン用のとはちょっと違い、ロマンが隠されているけれど。
 盾自体は軍で用意した物だが、いずれは自分でも作ってみようと思う、

「さて、武器のことはこれで終わり、もう一つの洋服ダンスの方だ、こっちの小物入れの中には俺が作ったデュラ子のアクセサリーと、ハン子のアクセサリーが入れてある」

「ヒヒーン!!」
 ハン子が喜びの声を上げていた、ハン子のアクセサリーには『耐壁』を掛けており、万が一にも備えてある。

「で、この観音扉をあけると‥‥」
 その扉の裏一面には大きな鏡を備え付けていた、しかし、それ以外に中身は空だ、端の方に鎧をコンパクトに納めることの出来る場所があるだけ

「中身はない、だから今から買いに行こう」

「えっ?」
「ブヒヒ?」

・・・・・・

・・・・

「すみません、この子に合う服を揃えて貰えますか?」
 来た場所は女性の服や下着を扱っている服屋さん、ハン子は申し訳ないが外で待機してもらっている

「はい! 喜んで‥‥ひいっ!!」
 この「ひいっ!!」は俺に対してではなく、デュラ子に対しての反応、首が無く、それを手で持ち抱えている姿は、この世界ではホラーになるらしい。

「この子俺の召喚獣なんで、そんなに恐ろしい物じゃないですよ」

「これが召喚獣? え? え?」
 混乱している店員さんに、予算を渡し、鎧姿に合うパンツ、俺としては赤を希望する、多分色的に映えると思うし、それと普段着とその下着をお願いした。

「こんなに予算を?」
 と驚いていたけど、女性の服って結構するよね? 日本でも何万とかした気がする、これは姉の洋子が、彼氏からのプレゼントで
「何万の服が~」
 とか言っていたので間違いないと思う、それにお金ならほとんど使ってないので結構あるんだ、給料もやたらといいし

「ではお願いします」
 と店員さんに言い残し、ハン子と一緒に店の外で待とうとしたら、デュラ子に呼び止められた

「主! 主は私の服や下着を選んでくれないのですか!?」
 俺に見て欲しいのだろうデュラ子がそう言ってきた、だが、それだけは出来ない、何故なら‥‥

「デュラ子‥‥、ただでさえお前を見ていると興奮してしまうんだ、その上更にエロい下着姿を見せつけられたらどうなると思う? 俺はこの後、夜の繁華街に足を運ばなくてはならなくなる」
 デュラ子に諭すように、真剣な顔で答える

「‥‥なるほど、主に無駄な時間を費やさせてしまうのですね‥‥このデュラ子そこまで考えが及びませんでした、どうかお許しください」
 自分の考えの浅さに深く悔いるデュラ子、大丈夫、間違いは誰だってあるさ

「では、外で待っているからな、期待してるぞ」

「ハッ! 必ずや主好みの姿になり戻って見せます」

 その二人のやり取りを、「何を言っているんだろう」と不思議そうな顔で見つめる店員さん

 俺が店を出たのは俗に言う、女の買い物は長いって事で遠慮したいからだ、それと下着姿を見たら本当に手を出してしまいそうだから、俺には恋仲になったネクター(妄想)がいるからね。





 ◆◇◆◇


 ド━━ン!!

「グッ! うぅ‥‥」

 特大の『火』魔法がが仲間がいた場所に着弾した、一瞬視界を失ったダブ小隊の隊員の一人ベルフは、頭を振るい着弾した場所を確認する、そこにはさっきまで生きていた仲間のフルセの体が焦げ付き、バラバラになった状態であった

「フルセ!?」

 これでダブ小隊で生き残っているのは、ベルフを含めて3人しかいない、上空には絶対に逃がさないと言わんばかりに、敵の竜翼機が飛び交う、そして先ほど『火』魔法を放った敵の部隊も近づいていた。

 今回ダブ小隊が受けた任務は失敗してしまった。
 敵の拠点破壊の任務を受けていたが、何故か情報が漏れており、『探知』魔法が届かないギリギリで待ち伏せされ、周囲を囲まれてしまった、包囲を抜け出す為に隊の半数以上を失い、更に追撃を受けている、竜翼機が出ている以上、上空の目から逃れるため足場の悪い森の中を進むしかない、更に後ろからは小隊規模以上の敵軍が迫っている

「ベルフ、ベルフ聞こえるか!」
 小隊長のダブがベルフを呼ぶ

「隊長フルセが!」

「分かっている、ベルフお前はソルセリーを連れて逃げきれ! 俺はここでマシェルの兵を止める」
 ダブ小隊長の側には、今の攻撃で気を失ったのか、ソルセリーが目を閉じて倒れていた

「隊長! なら俺が残ります隊長がソルセリーと一緒に‥‥」

「ベルフ!‥‥‥‥ダブ小隊隊長ダブの名において命ずる、ソルセリーを連れこの場を離れろ、そして無事にソルセリーを本国に帰還させよ」

「‥‥っ!」
 ダブ小隊長は隊長権限を発動させる、これを発動させると、いかなる命令にも隊員は従わなければいけない、この権限は絶大で、隊員に命を捨てても敵軍に突入しろなど命令することが可能、だが実際に使われる時は、今のように隊員の命を守る為に使われることが殆どである

 ベルフはダブ隊長の足から出血し、曲がっているのを確認した後
「‥‥了解しました」
 ベルフはソルセリーを肩に担ぎ、森の木が竜翼機からの追跡を遮る用にして走り出した

 ダブ隊長は、彼らが無事に逃げ切れるとは思っていない、しかし、何か奇跡が起きてくれればと、心の中で思っていた。

「頼むぞベルフ、無事に破壊の一族を本国に返すんだ」

 ダブは力の入らない左足を庇うように立ち上がり、そして‥‥
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