クロノスの子供達

絃屋さん  

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ジャスミンとリッカ②

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「さぁ、ここにゴロンしよっか?」
ジャスミンがゴーフルに言う。
「は、はい」
既に何度か経験してはいるが、他人の手でオムツを替えられるのに慣れる事はない。
しかも、ジャスミンは看護士や身内はない赤の他人の女性だ。
「大丈夫よ。アレクもリッカも私が世話をしてきたんだから。今さら、恥ずかしがる事は何もないのよ」
ジャスミンの表情は慈愛に満ちており、ゴーフルも抵抗しようという気にはなれなかった。
言われた通り、オムツ替え用のベットに横になる。
「良い子ね、じゃあパタパタするわね」
ジャスミンがシッカロールを、ゴーフルの下半身にはたいていく。
隣りでは、リッカが興味深そうに見つめていた。
この家では一番年下のリッカにとって、自分以外の子供がオムツを替えられている状況は新鮮な光景であった。
最初は同年代の子供としてゴーフルを見ていたリッカは今では、自分よりもさらに幼い子供のように思えるのだった。
「さぁ、これでおしまいよ。新しいオムツもよく似合ってるわ」
ゴーフルが最初に履いていたのは、洋服に、あわせて熊のシルエットがちりばめられたブルーのオムツだった。
履き替えたオムツは、同じデザインだったが色はピンクのものだった。
「じゃあ、私はマリッサに連絡してくるわ。アーシャちゃんはリッカと遊んできてね」
「ぼ、ぼくなら1人で帰れます」
「だーめ、こんな小さな子供を1人で帰せないわよ。外も暗くなってきたし、怖い怖い犬もいるのよ!」
ゴーフルの脳裏に恐ろしいハーデスの姿か甦る。
「大丈夫、あなたの保護者。親戚なのかな?マリッサとは知り合いだから。連絡すれば迎えに来てくれるわよ」
「は、はい」
ジャスミンはゴーフルの正体には気付いていないようだ。
「リッカ?貴女のお古をアーシャちゃんに貸してあげようね」
「うん、わかった。あたちお姉たんだから妹にお下がりするのよね」
「そうそう」
リッカはゴーフルの手を引く。
「いつまでも裸ん坊だと、風邪を引くわよ。リッカも早くパンツはきなさい」
「はーい、アーシャたん行こ!」
ジャスミンは、マリッサに連絡する為に部屋を出ていった。
ゴーフルは、流されるままリッカの子供部屋に案内された。
「えーとぉ、たしかこの辺かなぁ」
リッカはタンスの中から、次々に衣服を取り出す。
少女らしいヒラヒラのついたドレスや、ヒロインものの仮装に近いものもある。
「あー懐かしい!このサマードレス、おばぁちゃまが買ってくれたやつだぁ」
「もう少し男の子っぽい服はないのかな?」
「うーん、似合うと思うけどなぁ」
比較的落ち着いたデザインのものを選びたいゴーフルにとってリッカの衣服はどれも派手過ぎた。
「やっぱりぴったり!」
頭からスッポリとひまわりの柄のドレスを着せられ、さらに丸いぼんぼりのついた靴下も履かされた。
「わぁ、可愛い!」
リッカは、ゴーフルを着せ替え人形にして楽しんでいる。
「ふふ、短いドレスの裾からぷっくりとしたオムツが見えていて、とっても可愛いアーシャたん!」
興奮したリッカは、思わしゴーフルを抱きしめる。
「わぁ、ちょっと」
その勢いで、バランスを崩しゴーフルは転んでしまった。
「まだまだ、アーシャたんはあんよが上手じゃないのね」
慣れないオムツのせいで、ゴーフルの歩き方はぎこちない。
「あたちと一緒にお人形で遊ぶ?それとも、おままごと?」
リッカは妹ができたようで、はしゃいでいた。
「おーい、リッカ。さっきすごい音がしたけど大丈夫か?」
心配したアレクが、様子をみにリッカの部屋に入ってくる。
「あ、これは……」
見られたくない姿を、アレクにまで晒してしまった。
「あー、なんというか似合ってるよ」
目をそらしながらアレクが感想を洩らす。
「でしょ、でしょ?」
リッカは気付かず喜んでいる。
「連絡ついたみたい。もうすぐ迎えにくるらしいらしいよ」
それだけ言うとアレクは部屋から出ていった。

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