クロノスの子供達

絃屋さん  

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アーシャのお着替え

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バニラの家は、昔からある立派な邸宅だった。
門はバニラを認識すると自動的に開かれる。
ゴーフルを抱き上げたまま石畳の上をスタスタ躊躇なく入っていく。
「おおきい……」
あまりに屋敷が立派なのでゴーフルはますます萎縮して、バニラの腕の中で小さくなっていた。
「さぁ、うちに着いたわよアーシャちゃん!」
玄関先には、バニラを出迎える老齢の家政婦の姿があった。
「おかえりなさいませ。バニラ様」
「ただいま、マーガレット。うちのお姫様は今日もいい子にしてたかしら? 」
「それはもちろん……それよりバニラ様、そちらのお嬢様は? 」
「あぁ、アーシャよ。寒空の下で震えてたからうちに連れてきたの」
「……バニラ様!それでは誘拐では?」
「違う違う。迎えがくるまで保護するだけ!こんな遅くまで駅のベンチに待たせておくご両親にもひと言言ってやらないと」
「さようですか……しかしせめて警察には連絡を」
警察という言葉に、ゴーフルは反応した。
「まって、マーガレット。きっと何か事情があるのよ」
「そうですか……まぁとりあえず中へ。お召し物も取りかえてあげましょう」
「ええ、そうして頂戴」
ゴーフルは、バニラの腕からやっと解放される。
「あ、ありがとうございます」
マーガレットに頭を下げる。 
「さぁ、アーシャちゃんはこちらに」
「はい」
屋敷が広すぎて迷わないように、ゴーフルはしっかりマーガレットに従って歩いた。
「私も着替えてくるわ。後でね」
バニラはそう言って離れていく。
それを、見届けてからマーガレットはゴーフルの方をじっと見つめた。
「な、なんでしょう」
「お嬢様かと思ったら、坊っちゃんでしたか……私としたことが一瞬では見抜けませんでした。私もまだまだですね」
ゴーフルが連れていかれたのは、広めの脱衣室だった。
奥には浴室がある。
「1人で脱げます!」
ゴーフルは先手を打ってマーガレットに宣言する。
「あらあら、私が見ているから1人で脱ぎ脱ぎしましょうね」
いつも人の手を借りて着替えさせられる事が多いので、今回は少しは自主性を認められたようだ。
上着とスカートは、時間はかかったものの苦労をせずに脱ぐことが出来たが、立ったまま靴下を脱ぐのに手間取った。
「お上手ですよ。靴下はお座りになって脱がれたらどうかしら?」
そう促され、ゴーフルは床にお尻をおろして靴下にとりかかる。
そうすると、見ないようにしていても自分の下半身を覆う厚手の布が目に入る。
ベンチで着替えた為、新しいオムツはピンクを貴重としたファンシーな柄になっている。
それも、すっかり吸収されたおしっこでぼってり垂れさがっている。
「アーシャちゃん、オムツは私がやりましょうか?」
マーガレットが助け船を出す。
「だ、大丈夫。やれます」
そう強がってみたものの自分の手でオムツを脱ぐのは初めてで戸惑っていた。
「さぁ、おばあちゃまに任せて。あなたはよく頑張ったわ」
いつの間にか背後に立っていたマーガレットがゴーフルに手を添える。
ベリベリとテープを剥がしたあとは、するりとオムツを外してしまう。
あっという間の出来事に、ゴーフルはただ見ているしかなかった。
「じゃあ、温かいシャワーを浴びますよ」
マーガレットは服のまま、ゴーフルを浴室に導いた。
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