クロノスの子供達

絃屋さん  

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仲良し兄妹

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目的地に向かって列車は走っていく。
マリッサとゴーフルは、アイルランドに向かっていた。
「アーシャ、起きろよ」
眠っていたゴーフルに向かって囁く声がした。
「ん、誰?」
いつの間にか、マリッサも隣りでスヤスヤと寝息をたてている。
「俺だよ」
声の主はイワンだった。
「たしか、さっきの……」
急に話しかけられて、ゴーフルは戸惑っていた。
「ちょっと探検しようぜ」
「嫌だよ、なんでお前なんかと……」
ゴーフルはマリッサの余計な一言を思い出していた。
「いいから、来いよ。甘えん坊のアーシャちゃんはママの側から離れたくないのかな」
イワンが挑発する。
「そういう訳じゃないけど」
チラッと盗み見たマリッサはまだ起きそうにない。
「ほら、行くぞ」
イワンは大胆に、ゴーフルの腕をつかむ。
「分かったよ。ちょっとだけだよ」
仕方なく、ゴーフルはイワンに付き合う事にした。
「まずは、前の車両に行ってみよう」
「うん」
遠目から見ると、二人は中の良い兄妹のように見えた。
「ほら」
イワンは照れくさそうに手を差し出した。
「え?」
「手を繋がないと、お前迷子になるだろ」
イワンにとっても、やはりゴーフルはまだ小さくて手のかかる幼児なのだろう。
「分かった」
ゴーフルは、ここで抵抗する事も出来たのだが無意識にイワンを頼る気持ちも生まれていた。
小さな子供の身体で、マリッサから離れて列車を歩き回る事に少なからず不安を覚えてもいた。
「ほら、気を付けろよ」
「怖くないか?」
イワンは探検しながら、ゴーフルの歩くスピードに合わせて歩いており、段差や車両の連結部などでも、小さなゴーフルに気を配っているようだった。
ゴーフルの手は自然にイワンの手を求めるようになり、二人は本当に兄妹のようだった。
列車の先頭まで行った後で、二人は引き返す事にした。
時間はそれほど経っていないがマリッサが心配するかもしれない。
帰り道の途中で、ゴーフルは強い尿意を感じていた。
イワンに起こされた時はまだ、おねしょはしていなかった。
ゴーフルは自然に内股気味になり、足の歩みも目に見えて遅くなっていた。
「ん」
「あっ」
イワンに気付かれないようにするのだが、時々声にならない吐息が漏れる。
握る手や額にも、汗が滲む。
「大丈夫か?」
気づいているのかいないのか、イワンが心配して声をかける。
まさか、トイレに行きたい等と言える筈もなくゴーフルの膀胱は限界に近い。
それに加え、揺れる列車の動きや連結部の微妙な段差に悶える。
オムツを着用しているのだから、そのままオシッコをしても大丈夫なはずだが無意識にするのと、意識して漏らすのでは訳が違う。
「よし」
イワンは決心して、小さなゴーフルを抱えあげた。
「わぁ、ちょっと」
自分で出す事が出来ないゴーフルを見かねてイワンはトイレの便座までゴーフルを連れていった。
「あ、ダメだよ」
ゴーフルが苦しそうに言う。
「いいから、そのまま力を抜いて」
イワンの声はいつもより穏やかで優しい。
「ほら、しー」
一人でトイレが出来なかった頃、おまるに座らせたイワンに力ませる時に母親がよく使った方法だった。
小さな子供は、なかなかトイレをする感覚が解らずに、おまるに座っても出ない事があるのだ。
「アーシャ、しー」
「や、やめて。あーやだ、身体が勝手に」
限界まで尿意を我慢していたゴーフルにとってはその方法は効果的だった。
強制的に弛められたゴーフルの下半身は勢いよく決壊した。
一度溢れてしまえば、途中で止める事は不可能である。


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