ダーティマシーナリーの享楽

腐ってもタイ

「さぁ、準備はできましたか、エル様」
「う、うん」
何十年かぶりに袖を通した園児服には赤いリボンタイと丸い大きなボタンがついていた。
それは幼児の小さくて不器用な指でも扱いやすいようにという配慮なのだろうが、すでに成人しているソシエルにとっては恥ずかしめ以外のなにものでもなかった。
また、女児の制服はヒダのついたスカートになっており、なんとも心許ない。
加えてじつはもう一つ大きな問題があったのだった。
以前のソシエルはわりと夜型だったのだがこの姿になってからは、何故か早く眠気に襲われてしまう。
身体は人形なのに、眠気がくるというのも不思議だがそのような設定にされているのだろう。
強制的なスリープ状態のせいで、ソシエルの夜の行動は大きく制限される。
寝る前に絶対にすましておかなければならないタスクがあるが、それもままならない。
というのがソシエルが必死に考えた、おねしょの言い訳だった。
「だから、これはおねしょじゃない！」
「なんというか……呆れるアル」
「全く、お掃除やお洗濯をする身にもなってほしいです」
ポンもアンも怒っているのはフリだけで内心はニヤニヤしている。
「うー、それはすまない」
「そんなくだらない言い訳考えてる暇があるなら、早くパンツを脱ぎ脱ぎしてシャワー浴びにいってくださいね」
「ぐすん」
情けなさと恥ずかしさで、ソシエルは少し涙ぐむ。
アンはその可愛さに密かに悶るのだった。
「急がないと初日から遅刻になるよ」
「早く着替えて！」
慌ただしく朝の着替えを済ませたソシエルは、そのスカートの丈の短さに驚いた。
「さすがに、これは……下着が丸見えじゃないかな」
「そうですか？小さい子はそんな事気にしませんよ」
「俺は気にする」
「それに、裾が長いと踏んづけて転びますよ。お姫様のドレスじゃないんですから」
「まぁ、それはいい。それよりもう一つ気になるんだが……」
「ん？どうしたアルか？」
「パンツ履いてない！」