8 / 18
犬も歩けば花にあたる
しおりを挟む
「さぁエル様、しっかりお兄ちゃんとお手手をつなぎましょうね」
「そうそう、迷子になっちゃうよ」
慣れないスカートを気にしながら歩くソシエルの足取りは重い。
ただでさえ恥ずかしい格好をしているのに、街の人にそれを見られるのは苦痛だ。
「あらあら、可愛い兄妹ね」
そんな言葉や、向けらる視線にいちいち顔を赤らめる。
「どうしたの?お家ではあんなにお転婆だったのに」
「大丈夫だよ、しっかり手を握ってれば怖いひとは来ないから」
ポンは当然の事のように妹扱いをしてくる。
「そうですね、いざとなったらポンと私で返り討ちです」
禁書管理者は、常に革命思想家達に狙われる存在である。
彼らが、公僕の犬であることは勿論だが思想家達は検閲や表現の自由を抑圧する存在を毛嫌いしている。
特に裏崑崙で最近勢力を増しているのが郎花衆だ。
「クソ花どもが仕事を増やすから、趣味の読書がはかどらないです」
「アン、変なフラグ立てないで」
3人が歩いてると、知らない人はただの母親と兄妹に見える。
「まって、ちょっと」
「ん?どうしたのエル様?」
「ごめん、ごめん。ちょっと歩くの早かった?」
「いや、そうじゃなくって……その」
ソシエルは自身の状況をどう伝えればいいか分からなかった。
「慣れないお散歩で疲れちゃった?抱っこしてあげようか?」
アンが提案するのを、首を横にふり否定する。
「ちがうの、えーとね」
「分かったぁ、エルちゃんはママと手を繋ぎたかったんだね。ごめんねお兄ちゃん気付かなかったよ」
そう言ってポンが手を離すと、ソシエルはもう完全に1歩も動く余裕がない様子だった。
さきほどから、ソシエルは膝をすり合わせながら、手でスカートの前をギュッとおさえて身体を小刻みに震わせている。
そして、タイミングが悪いことに3人の前に敵が現れる。
「こんな所でお主達に会うとは何の因果か」
袈裟を着た坊主頭の男が、わざとらしく物陰からあらわれる。
「白々しいな、ストーカーの癖に何を格好つけている」
男はアンと面識があるらしく、既に敵意をむき出しにしていた。
「いやいや、今日あたり何か動きがあると踏んで見張っていたのだよ」
「認めやがったな生臭坊主め」
さらに、後方からもう一人目の下のクマが酷い女が姿を現す。
「はぁはぁ、政府の犬に天誅を!」
「僕は狐だけどね、お姉さん顔色悪いよ」
女は釘と木槌を手に、ポンに襲いかかってくる。
「死ね、死ね、死ねぇぇ」
「うわ、なんだよいきなり。危ないなぁ」
言葉とは裏腹に、余裕で身をかわす。
さらに、少し離れたビルの屋上にもう一人の刺客がいた。
拡声器のようなものを手にした学ランの若い男だ。
しかし、様子を見ているだけで今は手を出さない。
「ちっ、怪力女は今日は居ないのか、なんかちっさい娘がいるけど初めて見る顔だな」
男は当てが外れたのか、傍観を決め込むようだ。
「そうそう、迷子になっちゃうよ」
慣れないスカートを気にしながら歩くソシエルの足取りは重い。
ただでさえ恥ずかしい格好をしているのに、街の人にそれを見られるのは苦痛だ。
「あらあら、可愛い兄妹ね」
そんな言葉や、向けらる視線にいちいち顔を赤らめる。
「どうしたの?お家ではあんなにお転婆だったのに」
「大丈夫だよ、しっかり手を握ってれば怖いひとは来ないから」
ポンは当然の事のように妹扱いをしてくる。
「そうですね、いざとなったらポンと私で返り討ちです」
禁書管理者は、常に革命思想家達に狙われる存在である。
彼らが、公僕の犬であることは勿論だが思想家達は検閲や表現の自由を抑圧する存在を毛嫌いしている。
特に裏崑崙で最近勢力を増しているのが郎花衆だ。
「クソ花どもが仕事を増やすから、趣味の読書がはかどらないです」
「アン、変なフラグ立てないで」
3人が歩いてると、知らない人はただの母親と兄妹に見える。
「まって、ちょっと」
「ん?どうしたのエル様?」
「ごめん、ごめん。ちょっと歩くの早かった?」
「いや、そうじゃなくって……その」
ソシエルは自身の状況をどう伝えればいいか分からなかった。
「慣れないお散歩で疲れちゃった?抱っこしてあげようか?」
アンが提案するのを、首を横にふり否定する。
「ちがうの、えーとね」
「分かったぁ、エルちゃんはママと手を繋ぎたかったんだね。ごめんねお兄ちゃん気付かなかったよ」
そう言ってポンが手を離すと、ソシエルはもう完全に1歩も動く余裕がない様子だった。
さきほどから、ソシエルは膝をすり合わせながら、手でスカートの前をギュッとおさえて身体を小刻みに震わせている。
そして、タイミングが悪いことに3人の前に敵が現れる。
「こんな所でお主達に会うとは何の因果か」
袈裟を着た坊主頭の男が、わざとらしく物陰からあらわれる。
「白々しいな、ストーカーの癖に何を格好つけている」
男はアンと面識があるらしく、既に敵意をむき出しにしていた。
「いやいや、今日あたり何か動きがあると踏んで見張っていたのだよ」
「認めやがったな生臭坊主め」
さらに、後方からもう一人目の下のクマが酷い女が姿を現す。
「はぁはぁ、政府の犬に天誅を!」
「僕は狐だけどね、お姉さん顔色悪いよ」
女は釘と木槌を手に、ポンに襲いかかってくる。
「死ね、死ね、死ねぇぇ」
「うわ、なんだよいきなり。危ないなぁ」
言葉とは裏腹に、余裕で身をかわす。
さらに、少し離れたビルの屋上にもう一人の刺客がいた。
拡声器のようなものを手にした学ランの若い男だ。
しかし、様子を見ているだけで今は手を出さない。
「ちっ、怪力女は今日は居ないのか、なんかちっさい娘がいるけど初めて見る顔だな」
男は当てが外れたのか、傍観を決め込むようだ。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる