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監獄の匣
#03 悪阻
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度々襲ってくる吐き気が悪阻だと分かったのは、それから二週間後のことだった
いつもより、力を入れることができず、ぐったりとしていた。ちょうど、死んだ金魚のように...
檻の扉がガタガタと鳴る音で目を覚ます
「チョル!チョル!」
イーシュかな...、そう思って、扉の方を見る...
扉の向こう側にいたのは、イーシュではなく長官だった。どうして、私の名前を知っているのだろうか...
今まで、私の名前を呼んでくれたことはあっただろうか...
さまざまな思いが、頭の中をぐるぐると駆け巡る
ふと、めまいがした。あ、もうダメだ...
私は気を失った
しばらくして、また目を覚ました
「大丈夫か..」
長官が問う。
「ありが...ざ」
一応、礼を言っておこう...と思い口を開く
咳込んでしまった。目の前が真っ赤に染まる
「安静にしていろ...、これ、貸すから...」
長官は、タオルケット(のようなボロ布)をくれた。
「あと、これ、飯...」
長官は、レジ袋を掲げて見せる。ごま油のいい匂いが漂ってきた
「ピビンバだ...、後で食え」
長官はそう言うと、檻の中に入ってきた
「落ち着くまで、話そう...」
話を乞う長官は、初めて見た
「私は、いつも落ち着いていますが...。どこを見てそう仰っているのですか?」
「全部だよ…」
的確かつ辛辣な私の質問に触れずに返したような一言。
『久しぶり』に、長官に腹が立った
いつもより、力を入れることができず、ぐったりとしていた。ちょうど、死んだ金魚のように...
檻の扉がガタガタと鳴る音で目を覚ます
「チョル!チョル!」
イーシュかな...、そう思って、扉の方を見る...
扉の向こう側にいたのは、イーシュではなく長官だった。どうして、私の名前を知っているのだろうか...
今まで、私の名前を呼んでくれたことはあっただろうか...
さまざまな思いが、頭の中をぐるぐると駆け巡る
ふと、めまいがした。あ、もうダメだ...
私は気を失った
しばらくして、また目を覚ました
「大丈夫か..」
長官が問う。
「ありが...ざ」
一応、礼を言っておこう...と思い口を開く
咳込んでしまった。目の前が真っ赤に染まる
「安静にしていろ...、これ、貸すから...」
長官は、タオルケット(のようなボロ布)をくれた。
「あと、これ、飯...」
長官は、レジ袋を掲げて見せる。ごま油のいい匂いが漂ってきた
「ピビンバだ...、後で食え」
長官はそう言うと、檻の中に入ってきた
「落ち着くまで、話そう...」
話を乞う長官は、初めて見た
「私は、いつも落ち着いていますが...。どこを見てそう仰っているのですか?」
「全部だよ…」
的確かつ辛辣な私の質問に触れずに返したような一言。
『久しぶり』に、長官に腹が立った
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