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31話 

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今日は元王妃だけではなく、カン、という子供と一緒に裁縫を教えてもらい、少し遊んでいた。
鬼ごっこやかくれんぼ、ボタン縫いなどをしていた楽しい時間は、あっという間に時は過ぎ、もう昼過ぎで、お腹も空いたし、そろそろお茶会を開こう。という話になっていた。

 「カンはね、まふぃんがすき」
 「まふぃん……まだ食ったことないな」
 「じゅわーっておいしいんだよ!バターと、生地が、じゅわー!」
 「マフィンって……じゅわーってするかしら?何かと間違えてる?」
 「えー!まちがえてないよー!」
 「うふふ、本当に?」

明るく人懐っこいカンは、初めてあった時から俺の膝の上に座り、興味深く顔を見つめたり、手元をじっと見ておとなしくしていた。
やんちゃな子なので……と言われていたので、もっと走り回ったりするのか?と思っていたので、意外とおとなしい子供にびっくりした。

もふもふとした耳が大きく、尻尾をブンブンと降る姿は、アンヌやブーケからはイメージがつかなかった。結構尻尾に感情に出るタイプもいるらしい。
いや、もしかしてアンヌも出てるのか……?短いから分からないせい?

 「カンちゃんは、このあとは何するの?お茶会して……お風呂一緒にはいる?」
 「うーうん!ぱぱとおふろはいるからいい!」

家族仲睦まじくて羨ましい。というか、この国はこんな感じで明るいというか、朗らかというか?の人が多いんだろうか。前のパレードの時を思い出しても、そう思う。あの時も挨拶しただけでプレゼントを、ぼこすかと投げられるように渡されたり、笑顔で挨拶された。現に未だに俺に対して厳しすぎる……というか、理不尽な人、嫌っているんだろうな。とわかる人は会ったことが無い。

やはり国が豊かなら心も豊か……なんだろうか。お金が豊かなら聞いたことあるけど……いや、国が豊かならお金が豊かと同義か。

 「あれ、王妃様と入らなくていいの?」
 「おうひさまはー、いいや。ぱぱがいい」
 「勝手に振られた……」

謎に振られたが、とりあえずお茶会へ移動する事にして、カンを連れて客間へ来ていた。
今日は外が曇りで、雨が降りそう。と言う事で客間でお茶会の作法……と言っても、コップの持ち方とかの簡単な作法らしいが、それを習う。

元王妃はやはり凄く、俺がぎこちない動きもすんなりとやってみせる。あの可憐な動きは憧れるものがある。どうにかああやれる方法を身に着けたいものだ。


□◇□◇□◇□


三人で客間へ来ると、ブーケが用意をしながら、こちらへ挨拶をしてくれた。

 「お疲れ様です。お腹空いてますか?」
 「ちゃんと空いてる、まふぃんってやつ……あるか?」
 「マフィンですか?ここ並んでなくていいなら、私のおやつに一応バターとチョコレートならありますけど……」
 「まふぃん!たべたい、なぁ……!」
 「別に大丈夫ですよー食べたい時言って下されば出します」
 「あら、良かったわね~!ほら、ここに座ってね」
 「えー、おうひさまのおひざがいい!」

そう言って俺に抱きついてくる、可愛いし、ぽかぽかと暖かくて嫌じゃないので、大歓迎だ。
座れないのが可哀想なので、急いで座ってカンを膝の上に乗せる。
ニコニコとしながらちょこんと、小さな手を膝の上において行儀よく机の上のお菓子を見つめている。

 「はい、今回の紅茶はアールグレイですよ」
 「あーるぐれい、おいしいやつ?」
 「そのまま飲んだらあなたには苦いかもねぇ、ミルクは如何?」
 「ほしい!です!」

元王妃とカンのやり取りは、ほのぼのとする。元王妃に入れてもらったミルク入りの紅茶をコクコクと飲み、美味しい!と、にこにことしているカンが、膝の上で小さく跳ねる。
かわいい、やっぱり小動物味があるというか、素直で良い子だから……?だろうか。いや、普通に子供が可愛いのかもしれない。結構自分でも自覚しないくらい、子供が好きなのかもな。

カンの姿に、のほほんとしていると、ブーケがそっと耳打ちをしてくる。

 「ガード様、朝おっしゃってくれたことですが……夕食後は如何でしょうか?カンもいる事ですし、父親が暇になってからじゃないと、カンが寂しいかと……」
 「まぁ、たしかにな……そうするか」

朝、起こしに来てくれたブーケにはミーナに呼ばれているらしい、ということを伝えておいたので、時間の調整を頼んでいたのだが……確かに。こんなにかわいい子を放って姉にわざわざ会いたくないしな。

 「おうひさま、あーん!」
 「ん?ん……」

話してる最中に手にマフィンを一欠片持って、アーンしてきてくれたので、口を開いて貰う。
じゅわ……じゅわ?確かにバターの風味が口全体に広がるが、じゅわ……というのは少し疑問だった。前食べたパンケーキの方がじゅわじゅわしてた。

 「えへへ、おうひさまおいしい!」
 「断言された……!?まぁ、たしかに美味いけど……」
 「ね!まふぃんおいしい!」

ニコニコとしているカンがやっぱり可愛い。こうすると子供がより一層ほしい。これで成長を見届けて、反抗期とか来ても可愛いんだろうな……

 「よし、カンちゃんは自由にさせるとして、ガードちゃんは私と特訓よ!まずはカップの持ち方、おすすめの食べ方よ」
 「……!はい!」

そうだ、自分の子にしっかりとした所を見せる為にちゃんと、色々なことを特訓しなければ。
カンを膝に乗せつつ、後の事への現実逃避も兼ねて、王妃からお茶会のルールを学ぼう。
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